特定技能外国人を雇用する場合、受入企業はさまざまな届出を定期・随時行う必要があります。怠った場合は罰則の対象となる恐れがあるため、必ず期限内に行うようにしましょう。
届出には定期的に行わなければならないものと、該当事由が発生したその都度行わなければならないものの2種類が存在します。それぞれ提出期限が定められている上に、実際に誰が届出を行うかも異なるため、事前に把握しておくことが重要です。
この記事では特定技能外国人を雇用する上で行わなければならない定期・随時届出について詳しく解説します。
目次
特定技能を雇用する場合の定期届出と随時行う必要がある届出
日本人を雇用する場合とは異なり、特定技能外国人を雇用する場合はさまざまな届出が定期・随時必要になります。そうした届出を怠ると、特定技能外国人を雇用できなくなるだけでなく不法就労を助長したと見なされ罰せられる恐れもあります。
そのため受入企業は特定技能外国人関連の各種届出を必ず行わなければなりません。
また、特定技能外国人関連の届出には外国人労働者を適正に雇用・管理しているかどうかを報告するために定期的に行わなければならないものと、何か変更等があった場合、その都度行わなければならないものが存在します。
雇用する特定技能外国人についての各種届出を行うことは受入機関および登録支援機関に課せられた義務となっています。
定期届出であれば定められた期間内に、随時届出は事由が発生してから14日以内に必ず届出を行うようにしましょう。
定期届出
特定技能外国人を雇用する受入機関は四半期に1度、受入れ・活動状況や支援の実施状況についての届出をおこなわなければなりません。
随時届出
特定技能外国人関連の諸契約や支援計画等の内容に変更があった場合はその都度届出なければなりません。
また、経営上の事情や特定技能外国人本人の都合で受け入れが困難になった場合や、関連する法令について不正や不当行為があった場合などにもその都度届出を行うことになります。
随時行わなければならない届出
以下では特定技能外国人を雇用する上で、変更等があり次第随時行わなければならない届出について解説します。
雇用契約の内容を変更した/雇用契約を終了した/新たな雇用契約を締結したときの届出
特定技能外国人と交わした雇用契約の内容に変更があった場合や、雇用契約が終了した場合、さらに同一の特定技能外国人と新しく雇用契約を交わした場合はその都度届出をしなければなりません。
「新たな雇用契約を締結した場合」とは、これまで雇用していた特定技能外国人との雇用契約が一旦終了したあと、在留期限内に再度雇用契約を締結したケースのことを指します。
特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出|出入国管理庁
支援計画の内容を変更した/支援責任者・担当者を変更した/委託する登録支援機関を変更した/自社支援に切り替えたときの届出
特定技能1号を雇用する場合、受入企業には雇用する外国人材の労働や日本での生活に対し具体的にどのような支援をするのかを示す「支援計画」を作成し、提出しなければなりません。
その支援計画の内容をすでに提出したものの内容から変更する場合や、支援責任者・担当者が変更された場合はその都度届出を行う必要があります。
また、支援業務を委託していた登録支援機関を変更した場合や、支援業務を外部の登録支援機関に委託していたものを自社支援に切り替えた場合もその都度届出を行います。
特定技能所属機関による支援計画変更に係る届出|出入国管理庁
支援委託契約の内容を変更した/支援委託契約を終了した/支援委託契約を締結したときの届出
外部の登録支援機関に、支援業務委託する際に交わす支援委託契約の内容に変更や契約の終了等の変化があった場合、支援委託契約を締結した場合もその都度届出を行います。
特定技能所属機関による支援委託契約に係る届出|出入国管理庁
特定技能外国人の受入れを継続することが困難となったときの届出
受入機関の経営上の都合や、雇用している特定技能外国人が死亡や病気・怪我、行方不明、帰国等などの理由によって雇用を継続することが困難になった場合もその都度届出を行います。
注意しなければならないのは、この届出は雇用する特定技能外国人が退職するかどうかに関係なく、雇用を継続できなくなった時点で行わなければならないということです。
また、特定技能外国人本人から退職したいという申し出があった場合は、実際に退職した日ではなく申し出があった日から14日以内に届出をする必要があります。
特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出|出入国管理庁
出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為があったことを知ったときの届出
特定技能外国人を雇用する場合、受入企業には労働関連の法律だけでなく出入国関連の法律等の遵守が求められます。
万が一雇用する上でそうした法令に背くような事態があった場合やそうした事態が判明した場合などにはその都度届出を行わなければなりません。
特定技能所属機関による出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為(不正行為)に係る届出|出入国管理庁
随時届出の期限
随時届出は事由が発生した日から14日以内に行わなければなりません。
定期に行わなければならない届出
該当事由があった際にその都度行わなければならない届出だけでなく、四半期に一度定期的に行わなければならない届出も存在します。
受入れ・活動状況に係る届出
受入機関は雇用している特定技能外国人の受入れ、および実際の活動状況についての届出を定期的に行わなければなりません。
届出の内容は具体的には、
- 対象期間内に受け入れていた特定技能外国人の総数
- 届出に係る特定技能外国人の氏名等の情報及び在留カードの番号
- 届出に係る特定技能外国人の活動を行った日数や活動場所及び従事した業務の内容
- 届出に係る特定技能外国人が派遣労働者である場合は派遣先の情報
- 特定技能外国人の報酬を決定する上で比較対象とした従業員に対する報酬の支払い状況
- 日本人も含めた従業員の数、特定技能外国人と同一の業務に従事する者の新規雇用者数、離職者数、行方不明者数とそれぞれの日本人・外国人の内訳
- 健康保険、厚生年金保険および雇用保険についての適用の状況と労災保険の適用の手続きについての状況
- 特定技能外国人の安全衛生に関する状況
- 特定技能外国人の受け入れにかかった費用の額とその内訳
特定技能所属機関による受入れ・活動状況に係る届出|出入国管理庁
支援実施状況に係る届出
特定技能1号を雇用する場合に実施する支援の実施状況に関する届出です。
特定技能所属機関による支援実施状況に係る届出|出入国管理庁
定期届出の期限
定期届出は以下で定められた4半期に1度、当該四半期の翌四半期の初日から14日以内に行うよう定められています。
- 第1四半期:1月1日から3月31日まで
- 第2四半期:4月1日から6月30日まで
- 第3四半期:7月1日から9月30日まで
- 第4四半期:10月1日から12月31日まで
特定技能関連の届出は誰が行う?
随時届出は支援業務を外部の登録支援機関に委託している場合であっても、実際に特定技能外国人を受け入れている受入れ機関が行います。
一方定期届出は登録支援機関に全ての支援計画の実施を委託している場合は、「支援実施状況に係る届出」のみ委託先の登録支援機関が行うことになります。
支援計画の実施の一部のみを外部委託している場合および全ての支援業務を自社で行っている場合は「受け入れ活動状況に係る届出」「支援実施状況に係る届出」ともに受入機関が行うことになります。
届出の書式の入手と提出方法
各種届出の書式は出入国管理庁のホームページからダウンロードできます。
特定技能所属機関・登録支援機関による届出(提出書類)|出入国管理庁
提出方法には、
- 出入国在留管理庁電子届出システムを利用してオンライン上で行う
- 管轄の地方出入国在留管理官署の窓口に持参する
- 郵送
オンライン上での手続きは、事前に利用者登録をすることで可能になります。わざわざ窓口まで赴く手間や書類を印刷する手間を省き、24時間365日いつでも手続きができるため非常に便利です。
窓口に持参する場合は出入国在留管理官署の受付時間内に行くようにしましょう。
郵送する場合は身分を証する文書等の写しを同封した上で、封筒に朱書きで「特定技能届出書在中」等と記載し管轄の出入国在留管理官署に送付します。
もし〆切を過ぎてしまった場合
万が一提出期限に間に合わなかった場合は、必要書類と一緒に間に合わなかった理由を記載した理由書を添付し、速やかに提出する必要があります。
この場合の理由書には決まった書式がないため、自身で作成する必要があります。
また、定期・随時いずれも届出を怠った場合は罰金や過料の対象となる恐れがあるほか、「欠格事由」に該当することになり、特定技能外国人の受け入れ停止の対象となる恐れがあるため万が一〆切を過ぎてしまった場合であっても必ず対処しましょう。
特定技能関連の業務をスムーズにするオンラインクラウドツール「dekisugi」
定期・随時ともにさまざまな届出をしなければならないため、特定技能外国人を雇用すると書類の作成業務がどうしても増えてしまいます。
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まとめ
特定技能外国人を雇用する受入企業にはさまざまな届出を行う義務が課せられています。届出を怠ると罰金や欠格事由の対象となる恐れがあるため、定期・随時ともに必ず定められた期間内に届出を行うようにしましょう。