2025年は日本で高市政権が発足しただけでなく、海外でも第二次トランプ政権が発足するなど、国際情勢が大きく変わる出来事が複数ありました。
外国人材市場はこうした国際情勢の影響を大きく受けます。
この記事では2025年にあった外国人材制度に関するニュースをまとめています。
目次
2025年(令和7年)の外国人材制度関連ニュースについての総括
少子高齢化によって各産業で人手不足が深刻化する中、日本に住む外国人の数は増加の一途をたどっています。
日常生活の中で外国人を見かける機会や、そして実際に関わる機会が増えたと感じている人も増えており、2025年には選挙などでも「外国人」というテーマが主要な争点となる場面もありました。
さらに2025年は、2027年の育成就労制度の施行および技能実習制度の廃止に向けた動きも目立ちました。特定技能制度では現場での事務業務負担の見直しや対象産業の見直しが進められると同時に、新制度育成就労についてもより具体的なイメージが見えてきた一年だったと言えます。
2025年に実施された制度的な変更点
国内で働く外国人の数が増加するのに伴い、外国人の雇用に関する制度は毎年様々な変更が加えられます。
育成就労制度の施行開始を見据え、2025年には特定技能や技能実習制度には以下のような変更点がありました。
特定技能制度
報告義務が年4回→1回に減少
従来の特定技能制度では、登録支援機関および受入機関は年に4回受入れ外国人の雇用の実態について入管庁に報告する義務がありました。
しかし2025年4月以降は、定期報告の回数が年1回に変更されました。そのため2025年度分の報告は2026年4月1日から5月31日までの間に提出する1回のみとなります。
定期報告の回数の減少は、受入機関や登録支援機関の事務業務負担を軽減することを目的としています。
訪問介護の解禁など産業分野の見直し
2025年4月21日からは、外国人材も訪問介護の業務に携わることが可能になりました。
介護分野は外国人材の活躍が目立つ産業の一つです。しかしこれまでは外国人材が一人で利用者の自宅を訪ね、サービスを提供することは認められていませんでした。
他にも2025年には新たに倉庫管理・廃棄物処理・リネン供給の3つを加えることを検討するなど、産業分野の見直しも進められました。
2027年4月施行の育成就労に向けて
2027年4月1日に育成就労制度が施行されることが閣議決定されました。新制度の施行と同時に1993年から運用されてきた技能実習制度は廃止されます。
新制度育成就労では、外国人材が現場で不当な扱いを受けることを防止するため、受入れ要件が厳格化されます。また、外国人材本人の来日費用の負担を軽減するなどの改善も加えられています。
さらに地方の企業を優遇し、都市部に人材が集中することを防ぐ、日本語教育の拡充などの内容も改正法には盛り込まれています。
新制度下での転職
従来の技能実習制度では転職が認められておらず、こうした制約が技能実習生の人権侵害にあたるとの指摘もありました。外国人の失踪や犯罪の一因となる恐れもあります。
育成就労制度での転職制限期間についての議論も進められました。
以下の産業は2年の転職制限期間が設けられます。
- 介護
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 飲食料品製造業
- 外食業
また、その他の9分野については転職制限期間は1年とされています。
第27回参議院議員選挙と高市政権の発足
2025年は夏の第27回参議院議員選挙や石破政権に代わり高市政権が発足するなど、政治的な動きも活発な一年でした。
そうした中で「外国人」が重要なテーマとなった場面も少なくありません。
参議院議員選挙では「外国人」が争点の一つに
2025年7月の第27回参議院議員選挙では、各党が「外国人」について言及しました。
特定技能制度や高度人材など、外国人の雇用に関する制度の整備が進められる一方で、
- 日本に住む外国人による社会保険料の未払い
- 投機目的での不動産の売買
- 慣れない日本の道路での運転による交通事故の増加
など、外国人によるトラブルの増加も問題視されています。
外国人の国内での無秩序な増加は治安の悪化を招く恐れがある一方で、排外主義の加速は国の成長を阻みます。
現在「外国人」そして「移民」というテーマが政治の場で注目されているのは日本だけではありません。ドイツやフランス、そしてアメリカでも今後国内の外国人への対応について度々議論されています。
日本の国力を維持・増進し続けるためにも、外国人との共生社会の実現は非常に重要なテーマとして、今後も政治の場での重要な争点として扱われるでしょう。
高市政権下での外国人材
2025年10月には石破政権に代わり、新たに高市政権が発足しました。
「外国人」というテーマは高市首相の所信表明演説でも、
- 人口減少に伴う人手不足の解消として外国人材は必要な存在
- インバウンド需要の高まり
- 悪質な外国人による違法行為を問題視すると同時に、政府としてこうした行為には毅然とした対応をとる
- 排外主義の加速防止の重要性
などについて触れられました。
国内の外国人についての管理は、法務省、厚生労働省、外務省、経済産業省など複数の省庁をまたぐことが多く、それぞれの連携が重要になってきます。
今後は外国人材やインバウンドの重要性を理解した上で、排外主義に走ることなく、
- 外国人に対するルールの認知の拡大と遵守の要請
- 社会保険料の未納、不法滞在、土地取得や運転免許取得に関する規制の厳格化及び制度の適正化
などが進められます。
「外国人」というテーマは参議院議員選挙だけでなく、自民党総裁選でも注目を集めました。
単に規制を強化するだけでなく、日本人とは異なる文化的背景や価値観を持つ外国人との共生を目指した政策が進められることが期待されます。
外国人材と移民政策
選挙をはじめとする政治の場で、「移民政策」といった言葉を耳にすることが増えました。
日本政府は「移民政策を採らない」という立場であることを主張していますが、そもそも「移民」という言葉そのものに国際的に共通する意味が定義されているわけではありません。
国外から労働者を受け入れるための政策を「移民政策」と呼ぶ国も存在します。
日本は特定技能や技能実習生などさまざまな形で中長期で在留する外国人を受け入れており、2024年には17万7,000人を新規で受け入れています。
外国人関連政策のことを「移民政策」と呼ぶかどうかはさておき、外国人を安全に日本に在留させ、労働させるためには制度の整備が必要不可欠であることに変わりありません。
各地で存在感を高めつつある外国人
外国人材の活用が進むにつれて、全国各地、さまざまな分野で外国人の存在感が年々高まっています。
管理職やリーダー職で活躍する外国人
日本での就労を通して技術や知識を高めた外国人が、管理職やリーダー職として活躍するケースも増えつつあります。
全国に店舗を展開する大手の飲食店でもベトナム人が現在店長候補として研修を受けています。
この研修は同飲食店が現地の機関と提携した教育プログラムの一環で、企業の経営理念だけでなく、
- 食の安全や衛生に関する知識
- サービス提供方法
- 製造実習
など、働く上で必要な知識や技術を幅広い範囲に渡って学ぶことができます。
他にも製造業や飲食、宿泊、農業などでも外国人の管理職が誕生しており、特に地方ではそうした外国人が目立ちます。
在留資格特定技能2号は1号に比べて取得に熟練した技術が求められます。取得すると家族の帯同も可能になるなど、日本で生活しやすくなることから、取得を目指している外国人も少なくありません。
今後育成就労制度がスタートし、特定技能1号の取得者が増加するにつれて、管理職などにつく外国人も増えることが予想されます。
日本で働く外国人のキャリア形成
外国人材に日本で長く働いてもらうためには、日本でのキャリア形成支援も重要です。
建設業では外国人と受入企業の双方が、働き手である外国人材の将来のキャリアイメージをしやすくするプランを官民一体となって策定しました。
日本の現場で働く上で欠かせない安全衛生の知識や日本語の習得なども支援することが検討されています。
現在建設業は世界的にも人材獲得競争が激化しており、日本はより外国人に選ばれる体制を早急に整えなければなりません。
国内経済による影響
一方で日本で暮らし、働く外国人が、日本経済の変動や働き方の変化によって日本での生活が苦しくなるというケースも存在します。
多くの外国人労働者は母国に住む家族に給料の一部を仕送りとして送っています。
しかし2025年は日本国内で物価が上昇したことにより、日本で働く外国人からの母国への送金が滞る、さらには逆に母国から仕送りをもらうということも目立ち始めたと感じている人もいます。
原因は物価高だけでなく、残業時間の短縮といった労働規制など、日本の働き方の変化や、円高なども考えられます。
外国人が働きやすい環境を整えるためには、日本経済から彼らが受けるこうした影響についても考える必要があります。
海外での外国人材動向
外国人材がどのように流動するかは、日本だけでなく世界各国の情勢によって決まります。
2025年はアメリカでも第二次トランプ政権が発足するなど、国際経済が大きく動く場面が複数ありました。
トランプ政権下でのアメリカ外国人材
米国第一主義を掲げるトランプ政権下のアメリカでは、移民に対する取締りが厳格化されています。
トランプ大統領は「第三世界」の国々からの移民の受け入れを恒久的に停止する旨をSNSに投稿し、実際に該当する国出身者からの亡命申請について認定を一時停止するなど、移民政策の厳格化を進めています。
しかし、国際機関は亡命希望者の入国を引き続き認め、適正手続きを受けるよう訴えています。
移民政策にはじまるトランプ政権の米国第一主義政策の影響を受け、2026年は世界の人材市場の流れが大きく変わることが予想されます。
日中関係
2025年9月、中国はWTOでの「途上国優遇」を求めないと表明しました。長年中国は「世界最大の発展途上国である」と主張してきましたが、今後はその地位を捨て、世界のリーダーとして国際社会を牽引していくとのことです。
一方、日中関係は緊迫しつつあり、中国からの訪日客の減少など、民間にも影響が及びつつあります。
かつては日本で働く外国人労働者の多くは中国出身者が占めていましたが、近年は減少傾向にあることからも、中国の経済成長ぶりは伺えます。
今後は人材市場においても中国とは獲得競争をすることとなるでしょう。
今後の人材獲得競争の見通し
これまで日本ではベトナムなど東南アジアを中心に人材を受け入れてきましたが、今後はインドやスリランカ、ウズベキスタンを中心に南アジアや中央アジアの国々も開拓していく可能性があります。
すでに厚生労働省による現地での日本での就労ニーズに関する調査も進められており、日本語教育プログラムを始める企業も増えつつあります。
以前は中国から日本に出稼ぎにくる労働者が10万人を超えていましたが、中国の経済成長に伴い、就労目的の来日が減少しました。その代わりに現在はベトナムからの人材が増加していますが、将来は中国と同様の傾向が予想されています。
東南アジア諸国での経済発展が進むことに並行し、韓国や台湾での人材需要も高まっています。
これまで受入れ人数が少なかった南アジアや中央アジアからも人材を受入れようという動きの背景には、こうした事情があります。
まとめ
国内で外国人が増えることには、経済や産業の発展といったメリットだけでなく、治安の悪化といったデメリットも潜んでいます。
深刻化する労働力不足の課題の解決策の一つとして、今後もさまざまな場面で外国人材の活用が進められることが予想される中、2026年は双方にメリットを享受できる社会が実現できるようにすることが大切です。







