介護の“特定技能試験”とは?試験の概要について解説

介護の“特定技能試験”とは?試験の概要について解説

外国人雇用特定技能

少子高齢化が進む日本では、“介護を必要とする高齢者の急増”と“介護人材の不足”が、年々深刻化しています。 高齢者が増加する一方で、将来、介護の担い手となる子供たちの出生人数が減り続けるのです。
“少子高齢化による介護人材の不足問題”をかかえている日本では、外国人労働者の雇用を積極的に行っています。 本記事では、外国人労働者が日本の介護現場で働くために必要な試験の概要について、徹底解説します。

介護分野の“特定技能試験”とは?

介護

外国人労働者が日本の介護分野で活躍するひとつの方法として、「特定技能1号」の認定を受けるという選択があります。 また、外国人労働者が「特定技能1号」として、日本の介護分野で活躍するには、以下の3つの試験を受験し、合格する必要があります。

      ①介護技能評価試験
      ②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験N4以上」
      ③介護日本語評価試験

上記3つの試験は、外国人労働者が日本の介護分野で働くための“日本語能力”や“介護スキル”を有していることを証明するために行われるものです。 それぞれの試験のレベル・難易度の違いは、以下の通りです。

②「国際交流基金日本語基礎テスト」:基本的な日本語を聞き、理解することができる能力を有していることが証明できます。
同じく②「日本語能力試験N4以上」:N1〜N5までの5つのレベルがあり、最もやさしいレベルはN5、最も難しいレベルはN1です。

③「介護日本語評価試験」:日本の介護現場で活躍するうえで必要な介護用語などを使える日本語能力が求められます。
「国際交流基金日本語基礎テスト」と「日本語能力試験N4以上」は、介護分野以外の各分野共通の試験です。
「介護日本語評価試験」は、介護分野で働く外国人労働者の上乗せ要件として必要になっている試験です。
日本の介護分野での就労を考えている外国人の方は、これらの試験の申込方法や受験の流れについて理解しておくことが大切です。

ここからは、日本の介護現場で即戦力として活躍するために必要な「介護技能評価試験」の概要についてご紹介します。

「介護技能評価試験」の概要

介護技能評価試験とは、外国人労働者が持つ介護スキルを証明するための試験です。
介護技能評価試験については、日本語や英語、ベトナム語など、受験者が任意で選択した言語を使用して受験できます。
また、以下の条件に当てはまる方においては、「特定技能1号」の在留資格を取得するにあたり、「介護技能評価試験」の受験が免除されます。

  • 介護職種の第2号技能実習を良好に修了した方
  • 介護福祉士養成施設を修了した方
  • EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)の方

※引用:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」より

介護分野の特定技能試験に必要な“試験言語”

外国人労働者が日本の介護分野で活躍するうえで、必要な日本語が話せるかどうかが極めて重要です。 ここからは、外国人労働者が「特定技能1号」の認定を受け、日本の介護分野で活躍するために必要な「介護日本語評価試験」について、ご紹介します。

「介護日本語評価試験」とは?

介護日本語評価試験とは、外国人労働者が日本の介護分野で活躍するうえで必要な「日本語」が備わっていることを証明するための試験です。 介護技能評価試験と同様に、日本語や英語、ベトナム語など、受験者が任意で選択した言語を使用して受験できます。
問題文は任意で選択した言語で表記されますが、解答欄の選択肢に関しては、日本語表記です。 また、介護技能評価試験と同様に、以下の条件に当てはまる方においては「特定技能1号」の在留資格を取得するにあたり、「介護日本語評価試験」の受験が免除されます。

  • 介護職種の第2号技能実習を良好に修了した方
  • 介護福祉士養成施設を修了した方
  • EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)の方

※引用:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」より

介護分野の特定技能試験への申し込み方法

申し込み方法

介護分野の特定技能試験に申し込む前に、まずは試験日程や試験会場を確認する必要があります。試験日程・試験会場の確認方法は、国内で受験する場合と海外で受験する場合で異なります。


国内で受験する場合 【試験日の確認方法】 「プロメトリックHP試験日」にアクセスする
【試験会場の確認方法】 【試験会場の確認方法】 ・「全国の試験会場(テストセンターリスト)」にアクセスする ・「プロメトリックHPテストセンター(会場)の状況」にアクセスする

いずれのサイトも試験日や試験会場が随時更新されているため、ページの更新マークを押して、最新情報をご確認ください。ここからは、特定技能試験への詳しい申し込み方法をご紹介します。

受験申込手続きの方法・流れ

介護分野の特定技能試験は、以下の予約サイトにアクセスし、プロメトリックIDを取得することで予約申請を行うことが可能です。 ・予約サイト PROMETRIC

予約サイトからIDの作成を行った後は、テストを受けたい国を選択してから、取得したIDでログインします。ログイン後は、以下の情報を入力または選択します。

  • 受験者情報
  • 顔写真の登録
  • 試験の日時
  • 受験会場
  • 受験費の支払い方法

また、アップロードする顔写真には、以下の規定があります。試験当日の本人確認の際に使用するため、規定を満たした顔写真を用意することが大切です。

  • 画像ファイルの形式は「JPEG」とすること
  • 画像ファイルの容量は「10MB以下」とすること
  • 縦横比「4:3」または「16:9」とすること
  • 縦幅に対し、顔の長さが70%ぐらいになるように調整すること
  • 受験者本人のみが写っていること
  • 無帽で無背景、正面を向いたものとすること
    ※ただし、宗教的な理由で頭部を覆う必要がある場合を除く
  • メガネの反射やふち、マスク、前髪、その他装飾などで顔の一部が隠れておらず、本人だと特定ができるもの
  • 鮮明であり、ブレや影がないもの
  • 口を開けて笑うなど、平常の顔貌と著しく異なるものは避ける
  • 試験日の3ヶ月以内に撮影されたもの

・引用:「顔写真の規定について」

受験資格

介護分野の特定技能試験の受験資格がある方は、以下の条件に該当する方です。

  • 17歳以上の方(インドネシア国籍の方の場合、18歳以上の方)
  • 日本国内で受験する場合は、「在留資格」を有していること

2020年4月1日以降の国内試験から、特定技能試験の受験を目的とした「短期滞在」の在留資格が受験資格として認められるようになりました。

試験当日に必要な本人確認書類

介護分野の特定技能の試験当日に必要な本人確認書類は、以下の2つのうちのいずれかです。

  • パスポート
  • 在留カード

本人確認書類の氏名は、予約サイトのID作成時に登録した氏名と一致している必要があります。
「パスポート」または「在留カード」は、コピーやスマホ画面で提示することは認められていません。
また、有効期限が切れているものや、本人確認書類の顔写真が本人のものであると確認できない場合、受験が認められません。

試験に必要な受験料

介護分野の特定技能試験に必要な受験料は、以下の通りです。

  • 介護技能試験:1,000円(日本円)
  • 介護日本語評価試験:1,000円(日本円)

支払い方法については、個人で申し込む方と、企業で申し込む方とで、それぞれ異なります。

・個人での申し込み: 予約サイトにて「credit card」を選択し、クレジットカード情報を入力します

・企業(団体)での申し込み: 「voucher」を選択し、バウチャー情報を入力します

企業(団体)申し込みで使用する「バウチャー」とは、特定技能試験を受けるためのクーポン券や回数券のようなものです。 初めてバウチャーを購入する場合は、予約サイト内にある「バウチャー購入サイト(バウチャーエクスプレス)」にて、購入用のアカウントを作成する必要があります。

特定技能試験の内容・試験の難易度

特定技能試験の予約については、予約日から2ヵ月後(60日後)までの試験を予約することができます。
また、予約内容の変更やキャンセルをすることも可能です。 しかし、予約内容の変更やキャンセルができるのは、試験日から3営業日前の23時59分までです。
試験日が土日・祝日の場合は、4営業日前の23時59分までですので、間違えないように注意しましょう。
ここからは、受験者の方が不安に思っている試験当日の流れや、試験の難易度について詳しくご紹介します。

試験当日の流れ

特定技能試験の試験日当日の流れについては、以下のサイトに詳しく記載されています。
・「日本国内での受験 | 受験の流れ」

上記のサイトでは、試験日当日の受付方法やコンピュータの操作方法などの説明が詳しく記載されているため、試験日当日までにしっかり目を通しておくことが大切です。 また、予約時に「受験票(Confirmation Letter)」が表示されるため、印刷して試験当日に持参することを忘れてはいけません。

試験内容

介護分野の特定技能試験では、「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の2つの試験を受ける必要があります。 どちらの試験も、試験会場のコンピュータとマウス、キーボードを使用する「CBT方式」で回答を行います。

まず、「介護技能評価試験」の試験内容については、以下の通りです。


問題数 全45問
試験時間 60分
試験科目 【学科試験:40問】
・介護の基本(10問)
・こころとからだのしくみ(6問)
・コミュニケーション技術(4問)
・生活支援技術(20問)

【実技試験:5問】
・判断試験等の形式による実技試験課題を出題

介護技能評価試験で行われる「実技試験」とは、“正しい介護手順”と“誤った介護手順”の写真から、“正しい介護手順”の判別・判断を行う試験です。
次に、「介護日本語評価試験」の試験内容については、以下の通りです。


問題数 全15問
試験時間 30分
試験科目 ・介護のことば(5問)
・介護の会話・声かけ(5問)
・介護の文書(5問)

詳しい試験内容や試験の出題基準、サンプル問題については、厚生労働省の「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」に記載されています。
特定技能試験の対策に是非、ご活用ください。

試験の難易度

特定技能試験の合否結果は、試験終了後、試験会場のコンピュータ画面に表示されます。 試験実施後、5営業日以内に、受験者が専用Webサイトにアクセスすることで、合否情報の詳細が記載された「スコアレポート」が発行されます。

特定技能試験の合格基準は、総得点の60%を正答していることです。 特定技能試験の難易度は、「介護職種の第2号技能実習修了相当」とされており、介護技能実習評価試験と同じくらいの難易度で取得できます。
具体的には、以下の能力を有している方であれば、合格することが可能と言われています。

  • 介護業務の基礎的な能力や考え方を持っている
  • 利用者様一人ひとりの心身状況に応じた介護を自分1人で一定程度実践できる
  • 介護業務に支障のない程度の日本語能力を有している

試験を受ける際の注意点

試験を受ける際の注意点

介護分野の特定技能試験を受けるにあたって、注意するべき点はあるのでしょうか。
また、スムーズに試験を受けるために心得ておくべきことはあるのでしょうか。
ここからは、介護分野の特定技能試験を受ける際の注意点について2つご紹介します。

在留資格審査を別に受ける必要がある

介護分野の特定技能試験に合格したとしても、そのまま日本の介護現場で働くことはできません。 特定技能試験とは別に、在留資格審査を受ける必要があります。
在留資格とは、外国人労働者が日本に在留する期間、就労活動を行うことや、一定の身分・地位を証明することに欠かせない資格です。
特定技能試験に合格しただけでは、在留資格の付与が保証されないため、注意が必要です。

試験に関する問い合わせ先を把握しておく

特定技能試験の合否結果については、試験会場のコンピュータ画面で確認できます。 また、試験実施後、5営業日以内に、受験者が専用Webサイトにアクセスすることで、合否情報の詳細が記載された「スコアレポート」を確認することも可能です。
しかし、合否結果やスコアレポートなどに不備や不明点などがある場合もあります。必ず、試験に関する問い合わせ先を事前に把握しておくようにしてください。
特定技能試験に関する問い合わせ先は、以下の通りです。

問い合わせ先 プロメトリック カスタマーサービスセンター (英語と日本語で受け付けています)
電話番号 フリーダイヤル:0120-09-7699
受付時間 月曜日〜金曜日 9:00~17:00(土日・日本の祝日は除く)

まとめ 試験の申し込みは余裕をもって行うことが大切

介護分野の特定技能試験への申し込みは、余裕をもって行うことが大切です。
慌てて申し込みを行うことで、必要な情報の入力ミスや、試験勉強への時間がとれないなど、さまざまな問題が生じてしまいます。 特定技能試験を受けるにあたって、必要な受験資格を満たしたり、在留資格を取得したりと、いくつもの手続きや準備が必要になります。
余裕をもって準備しておくことで、試験日間近になって焦ることがなくなるでしょう。
また、特定技能試験の詳しい内容や準備書類は、年ごとに変更になる場合があります。必ず最新情報を調べてから、予約を行うようにしてください。

この記事を書いたライター
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カナエル運営事務局

外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。