介護業界の人手不足の現状とは?対策について徹底解説

介護業界の人手不足の現状とは?対策について徹底解説

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近年、少子高齢化の影響を受け、人手不足が深刻化している介護業界。介護労働安定センターが行った調査では、6割以上の介護施設と、8割以上の訪問介護事業所が「人手不足を感じている」と回答しています。少子高齢化が進む日本では今後、介護業界の人手不足は解消するのでしょうか。本記事では、介護業界の人手不足の現状と、対策方法について徹底解説します。

介護業界の人手不足の現状とは?

介護業界の人手不足の現状とは?

日本では終戦直後の1947年〜1949年に、第一次ベビーブームが起こりました。戦争によって失われた人口を取り戻すため、一時的に出生率が急上昇したのです。第一次ベビーブームに生まれた人たちを「団塊世代」と呼びます。この「団塊世代」が2025年までに全て75歳以上のいわゆる後期高齢者となり、後期高齢者が年少人口や生産年齢人口を上回ってしまうのです。その結果、日本では介護業界の人手不足が深刻化しています。介護労働安定センターが公表した「令和3年度『介護労働実態調査』結果の概要について」では、以下の割合の介護施設・訪問介護事業所が「人手不足を感じている」と回答しています。

・介護施設:63.0%
・訪問介護事業所:80.6%

人手不足の中、体力的・精神的な負担やストレスを抱え込んでいる介護職が多いようです。

介護業界の人材不足は年々“深刻化”している

介護業界の人手不足は、少子高齢化の進行とともに、年々深刻化しています。介護業界では、人手不足と同時に“働き手の高齢化”も問題視されています。介護労働安定センターが公表した「令和3年度 介護労働実態調査」によると、介護現場で活躍する介護職の“最も多い年齢層”は、以下の通りです。

・男性介護職:40歳以上45歳未満
・女性介護職:50歳以上55歳未満

介護業界では若い人材が不足し、40代〜50代の介護職が中心となって活躍しています。また、“働き手の高齢化”が進行している介護施設・介護事業所では、60代〜70代のシニア世代が介護職として働いているところもあるのです。

介護業界が人手不足になっている理由・原因

介護業界が人手不足になっている理由・原因

介護業界の人手不足が深刻化している主な理由は「少子高齢化」による、要介護高齢者の急増と、労働人口の減少です。他にも、職場の人間関係や介護職の専門性が正当に評価されにくいことなどが原因として挙げられます。ここからは、介護業界の人手不足が深刻化している理由・原因を3つご紹介します。

少子高齢化

総務省統計局が2022年9月に推計した「高齢者の人口」では、総人口が減少する中で、団塊世代を含む高齢者人口が3627万人と、過去最多を記録したと報告されています。同時に、高齢者人口が総人口に占める割合も「29.1%」と、過去最多を記録しました。

高齢者人口が総人口の29.1%を占める一方で、新生児の出生数は減少を続けています。国の推計では、令和47(2065)年には、新生児の出生数が56万人にまで減少すると言われているのです。そのため、介護を必要とする高齢者が増え続け、将来介護の担い手となる若者が減少し続けることが問題視されています。

“介護職の専門性”への社会的評価の低さ

介護職が不足している原因の一つとして、“介護職の専門性”が正当に評価されていないことが挙げられます。介護職は限られた人員数で、利用者様を支える・抱える・持ち上げるなどの肉体労働を担っています。また、介護の専門知識・専門技術を習得し、安全かつ質の高い介護サービスを提供することが、介護職の役割です。しかし、介護職は資格や経験不問で働けることから、医師や看護師、リハビリ職などの専門職と比べ、専門性が評価されにくい傾向にあります。さらに、介護福祉士の資格を有している正社員介護職の平均年収は約430万円と言われていますが、日本全国の平均年収である436万円よりも若干低い水準です。そのため、給与水準や昇給制度に不満を感じて退職する介護職が後を絶ちません。

職場の人間関係

介護職は、利用者様やご家族の方、看護師やケアマネジャー、リハビリ職、生活相談員など多職種の、さまざまな人とかかわります。そのため、意見の食い違いや派閥争いなど、人間関係トラブルが生じやすく、人間関係のストレスで退職を選ぶ介護職も少なくありません。人間関係のトラブルや悩みは直属の上司に相談するのが一般的ですが、「相談しても解決策が得られなかった」というケースが多いことが実情です。

介護業界の人手不足がさらに深刻化するとどうなるのか

介護業界の人手不足がさらに深刻化することで、「介護サービスの質の低下」や「介護施設・介護事業所の経営悪化」などが考えられます。また、人手不足が進むと、“介護職1人当たりの業務量の負担”が多くなり、離職率の上昇も懸念されることになるでしょう。ここからは、介護業界の人手不足が深刻化することで起こりうる課題やトラブルを2つご紹介します。

在宅での“介護問題”の急増

少子高齢化が進む日本では、以下のように、さまざまな“介護問題”が生じています。

・介護の担い手不足により、適切な介護を受けられない「介護難民」の増加
・独居高齢者の増加と孤独死の懸念
・老老介護・認認介護の増加

介護を必要とする高齢者がいる世帯では、家族介護者や訪問介護職員の不足も問題視されています。そのため、在宅で必要な介護が受けられず、孤独死する独居高齢者が増加しているのです。また、高齢者が高齢者の介護をする「老老介護」や認知症の高齢者が認知症の高齢者を介護する「認認介護」が在宅介護の課題となっています。

離職者の増加

介護労働安定センターが行った調査では、6割以上の介護施設が「人手不足である」と回答しました。訪問介護事業所では、8割以上の事業所が人手不足に悩んでいます。さらに、離職者が後を絶たず、人材確保が困難であることが課題となっています。それは、人手不足が深刻化することで、介護職1人当たりの業務負担が増え、疲れやストレスを感じて退職を選んでしまうからです。介護業界の人手不足がさらに深刻化することで、離職者が増加し、さらに人手不足に歯止めがかからなくなってしまいます。

各介護施設にできる人手不足への対策

各介護施設にできる人手不足への対策

介護業界の人手不足が深刻化することで、在宅や各介護施設・介護事業所などに多大な影響を及ぼします。ここからは、各介護施設・介護事業所でできる“人手不足への対策”を3つご紹介します。

外国人の介護人材を積極的に受け入れる

深刻な人手不足問題をかかえている介護業界では、外国人労働者の雇用を積極的に行っています。厚生労働省が公表している「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、
令和3年10月末時点で、介護業界の外国人労働者数は約45,000人と報告されています。
届出状況のポイントは、以下の通りです。

・介護分野の外国人労働者数は令和3年時点で約45,000人
・EPA介護福祉士・候補者は2,887人
・在留資格「介護」の在留者数は6,284人
・技能実習の在留者数は15,011人
・特定技能の在留者数は21,152人

日本の少子高齢化により、介護の担い手となる若年世代が減少する中、介護業界では外国人労働者を積極的に受け入れています。外国人労働者の「ビザ取得」や「在留資格取得」に関する専門知識を専門業者に相談する介護施設・介護事業所が増加傾向にあります。また、日本人介護職への理解や周知を呼びかけることも、外国人労働者を受け入れるための大切な準備の1つです。介護分野の在留資格には「EPA」「技能実習」「特定技能」「介護」などの4種類があります。それぞれの取得方法や特徴について、外国人労働者自身が理解しているだけではなく、採用する側である介護施設・介護事業所も理解しておくべきです。介護分野で外国人人材を活用するために必要な制度については、厚生労働省の公式サイトや民間企業のホームページなどで紹介されているため、情報収集しておくことが大切です。

人材派遣業者との連携を図る

介護現場の人手不足問題を解決するためには、各介護施設・介護事業所が、人材派遣会社との連携を図ることが重要です。人材派遣会社は、「欠員が埋まらない」「職員の産休・育休で人員を補わなければならない」という状況の時に、必要な人材を派遣します。有資格者や経験豊富な人員の派遣を行っている派遣会社も豊富にあるため、いざという時のために相談をしておくことをオススメします。

介護業界に特化した“成果報酬制求人サイト”を活用する

近年、介護業界の人手不足を解消するために、介護分野に特化した“成果報酬制求人サイト”が増えてきています。介護業界での転職や再就職を考えている求職者の方を対象に、プロのアドバイザーが求人提案や履歴書添削、面接への同行などのサービスを提供します。求職者は無料で利用でき、採用が決定した場合のみ、介護施設・介護事業所が成果報酬を支払うという仕組みです。必要な人員が短期間で効率よく確保できるため、大変オススメです。

介護職一人ひとりにできる人手不足への対策

介護業界の人手不足への対策は、介護現場で活躍する介護職でも実践することができます。介護施設・介護事業所任せにせず、介護職一人ひとりが自発的に行動することが大切です。ここからは、介護職一人ひとりにできる“人手不足への対策”を3つご紹介します。

介護系の資格を取得する

介護職は一般的に、「無資格や未経験でも働ける」というイメージがあります。しかし、それでは介護職が持つ専門性や専門知識が正当に評価されません。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)などの資格を取得し、介護職の専門性を高めることが重要です。また、都道府県ごとに、介護福祉士や社会福祉士などの修学費用を貸し付けし、一定の条件を満たすと全額返還が免除されるという制度があります。是非、制度の活用で介護系の資格取得を目指してみてください。

働きやすい職場環境を整える

人手不足の状況でも、働きやすい職場環境を整えることで、求人の応募者が増える可能性があります。例えば、手間のかかる記録業務をタブレット端末への入力で時短化したり、シフト管理・勤怠管理をアプリで管理したりなど。また、ユニットケアの導入を行い、介護職1人が担当する利用者様の人数を少なくすることで、負担軽減が図れます。時間のかかる業務を効率化したり、介護職の負担を減らしたりするなど、介護現場で活躍する介護職の創意工夫が重要です。

自己啓発活動を行う

介護業界への就職を促すために、専門学生や大学生を対象とした「福祉就職フェア」が全国各地で実施されています。また、地域の小学生を対象に、介護の仕事の魅力を紹介するイベントも行われています。これらのイベントに参加することは、介護職の自己啓発活動に最適です。自分自身が持つスキルや、仕事の魅力などをアピールすることで、仕事に対するモチベーションアップにもつながります。介護職一人ひとりが自己啓発活動に積極的に取り組むことで、介護業界での仕事をPRできます。

まとめ あらゆる対策方法で人手不足の解消を目指そう

介護業界の人手不足の主な原因は、少子高齢化です。少子高齢化問題は解決・改善が難しいため、介護業界の人手不足の原因を完全に取り除くことは厳しいと言えるでしょう。しかし、外国人労働者の雇用や介護業界の啓発活動など、人手不足解消のためにできるさまざまな対策方法があります。是非、各介護施設・介護事業所で話し合い、人手不足の解消に向けた最適な対策方法を実施してみてください。

この記事を書いたライター
カナエル運営事務局

カナエル運営事務局

外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。