航空業界の人手不足と外国人雇用の状況について解説

航空業界の人手不足と外国人雇用の状況について解説

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2020年1月頃に流行した新型コロナウイルス感染症により、航空業界の需要が低くなってしまいました。新型コロナウイルス感染症の流行前は、高い需要を誇っていた航空業界。「国内人材を最大限に確保しても、人手が足りない」と言われていました。本記事では、航空業界の人手不足と、外国人雇用の最新情報についてご紹介します。

航空業界の人手不足の現状とは?

航空業界の人手不足の現状とは?

航空業界は数ある業界・業種の中で、新型コロナウイルス感染症の影響を最も受けた業界であると言われています。新型コロナウイルス感染症の流行前、航空業界は高い需要を誇っていました。そのため、国内人材を最大限に確保しても足りないほどの、人手不足に陥っていたのです。新型コロナウイルス感染症の流行により、航空業界の人手不足にはどのような変化が生じたのでしょうか。ここからは、2024年現在、航空業界がかかえている人手不足の最新情報についてご紹介します。

新型コロナウイルスの影響

航空業界は、2020年1月頃に生じた新型コロナウイルス感染症の流行により、国内線・国際線ともに需要が大幅に低下していました。それに伴い、数百億円程度の赤字が出てしまった大手航空会社も多く、新規人材採用には、あまり力を入れていないのが現状です。しかし、2023年5月頃に新型コロナウイルス感染症は、危険性が最も低いとされる“5類感染症”へと移行されました。そのため、国際航空運送協会(IATA)は、2024年の総旅客数は過去最多の“約47億人”、運航便数も過去最多の“4,010万便”になると予測しています。航空業界の需要回復に伴い、新型コロナウイルス感染症の流行後、目立っていなかった人手不足が再び目立つようになることが想定できます。

有効求人倍率は別業界・別業種の4倍以上

新型コロナウイルス感染症が流行する前、航空業界の有効求人倍率は2017年度で4.17倍でした。当時の全産業の平均有効求人倍率は1.46倍です。航空業界の有効求人倍率は、別業界・別業種の4倍以上でした。それほど、航空業界は深刻な人手不足をかかえ、人材確保が困難な状況であったことが考えられます。なお、新型コロナウイルス感染症の緩和や収束に伴い、再び同じ状況に戻ることが予想されています。

航空業界で特に人手不足が深刻化している職種

航空業界で特に人手不足が深刻化している職種

航空業界で活躍している職種は豊富にあります。航空業界で活躍している職種の一例は、以下の通りです。

・パイロット
・客室乗務員
・航空整備士
・グランドハンドリング
・ディスパッチャー(運航管理)
・グランドスタッフ
・航空管制官
・入国審査官
・税関職員

数ある職種の中でも、特に人手不足が深刻化している職種があります。ここからは、航空業界で特に人手不足が深刻化している職種についてご紹介します。

空港グランドハンドリング

国土交通省によると、数ある航空業界にかかわる職種の中で、特に空港グランドハンドリングが不足しています。空港グランドハンドリングは、到着した航空機の誘導や貨物コンテナの搭降載、航空機のプッシュバックなどの地上支援業務全般を担う職種です。それぞれの業務内容に応じて、「大型特殊自動車免許」や「危険物取扱者」などの資格が必要になります。

空港グランドハンドリングが人手不足になっている主な理由は、労働環境の過酷さです。空港グランドハンドリングは基本的に不規則なシフト制勤務で働くうえ、拘束時間が長い会社が多くあります。そのため、空港グランドハンドリングは生活リズムが乱れがちです。また、作業内容によっては1日中外で肉体労働をする場合もあるため、体力的にキツイ、つらいと感じて退職する方が多い傾向にあります。さらに類似業種と比べ低い給与になっている会社もあり、労働環境の過酷さから人手不足になっています。

国土交通省による支援措置

新型コロナウイルス感染症が2023年5月頃に“5類感染症”へと移行されたことで、2024年の売上は過去最多を誇ることが予測されている航空業界。航空業界の需要回復に伴い、国土交通省が支援措置の導入を行っています。ここからは、国土交通省の支援措置により、航空業界が得られる効果・メリットを3つご紹介します。

航空業界の人手不足が解消できる

先ほど、「数ある職種の中でも、特に空港グランドハンドリングの人手が不足している」ということをお伝えしました。国土交通省は、空港グランドハンドリングの過酷な労働環境の改善に取り組んでいます。具体的には、福利厚生の充実や処遇改善、労働環境の改善や空港周辺の住居確保などです。国土交通省はこれらの取り組みを通じて、航空業界のスタッフが働きやすい環境を整えています。また、航空業界の人手不足を防ぐために、特定技能制度を利用した外国人労働者の確保にも力を入れて取り組んでいます。

経営にかかわる減免措置

航空業界の需要低下は、日本経済にも大きな打撃を与えます。
そのため、国土交通省は経営状況が厳しい航空会社や空港会社を対象とした、支援措置を行っています。具体的には、雇用調整助成金の拡充や、空港使用料・航空機燃料代にかかる税金を減免するなどです。

航空業界における人材確保の目標設定

有効求人倍率が別業界・別業種の4倍以上である航空業界は、人手が不足してもすぐ確保できるイメージを持たれています。しかし、実際は、有効求人倍率を別業界・別業種の4倍以上に高めるほど、人材確保が難しいという現状をかかえているのです。また、国土交通省は、外国人労働者の雇用を2024年までに1,300人達成することを目標として掲げています。航空業界は、政府目標の2030年に6,000万人の訪日外国人旅行者数を達成するために、今後も定期的な人材確保を行うことが求められます。

航空業界での外国人雇用の推奨

航空業界では、2024年に1,300人の外国人労働者を雇用することが目標として掲げられています。ここからは、外国人労働者の方が航空業界で活躍するために必要な技能や条件について詳しくご紹介します。

航空業界での勤務に必要な特定技能の職種

外国人労働者が航空業界で勤務するにあたって、必要な在留資格は「特定技能1号」です。特定技能1号の中でも、“空港グランドハンドリング業務”が対象になるものと、“航空機整備業務”が対象となるものに分けられています。航空業界での勤務を希望する外国人労働者の方は、自分自身が希望する業務内容に合わせて在留資格を取得する必要があります。

外国人労働者の受け入れ予定人数

国土交通省の「航空分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」によると、外国人労働者の受け入れ予定人数に関して、以下のように示されています。

航空分野においては、令和元年度からの5年間で8,000人程度の人手不足が見込まれる中、毎年1%程度(5年間で2,500人程度)の生産性向上及び追加的な国内人材の確保(5年間で3,500~4,000人程度)を行ってもなお不足すると見込まれる「最大2,200人」を1号特定技能外国人の上限として受け入れることとしていたところである。
しかしながら、その後の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による大きな経済情勢の変化を踏まえ、令和5年度までは当面、1号特定技能外国人の受け入れ見込み数を「最大1,300人」とし、これを1号特定技能外国人の受け入れの上限として運用する。

出入国在留管理庁の調査では、2023年12月末時点で、空港グランドハンドリングに従事する外国人労働者を627人、航空機整備に従事する外国人労働者を5人受け入れています。

業務内容

航空業界に従事する外国人労働者の業務内容は、主に「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2つです。どちらの業務に従事できるかは、取得している「特定技能1号」の種類によって決まります。それぞれの詳しい業務内容は、以下の通りです。

空港グランドハンドリング:航空機の誘導やけん引の補佐、貨物・手荷物の仕分けや罪に作業、客室の清掃や遺失物の捜査を行う
航空機整備:次のフライトまでに整備を行う「運航整備」、機体の隅々まで整備を行う「機体整備」、計器類やエンジンなどの整備を行う

航空業界で求められる技能水準

航空業界で求められる技能水準

航空業界で求められる外国人人材は、以下の条件を満たす人です。

・「技能実習2号」または「技能実習3号」を良好に修了した人
・「技能水準」と「日本語能力水準」を満たした人
・在留資格である「特定技能1号」を取得した人

ここからは、外国人労働者が航空業界に従事する場合に必要な試験の概要についてご紹介します。

特定技能評価試験(航空分野:空港グランドハンドリング)

航空業界で「空港グランドハンドリング」の業務に従事する場合、「特定技能評価試験(航空分野:空港グランドハンドリング)」の試験を受験します。試験概要は、以下の通りです。

試験名 特定技能評価試験(航空分野:空港グランドハンドリング)
実施機関 公益社団法人日本航空技術協会
試験内容 【筆記試験】
・問題数:30問程度
・試験時間:45分
・実施形式:ペーパーテスト形式

<試験内容>
・ランプエリア内での安全・セキュリティ確保
・貨物のハンドリング
・手荷物のハンドリング
・客室内清掃
・誘導作業

【実技試験】
・問題数:15問程度
・試験時間:30分
・実施形式:ペーパーテスト形式の写真・イラストを用いた
 判断試験(選択問題)

<試験内容>
・ランプエリア内での安全・セキュリティ確保
・貨物のハンドリング
・手荷物のハンドリング
・客室内清掃
合格基準 筆記試験・実技試験ともに65%以上の正答
受験料
(国内受験の場合)
4,000円(税込)

特定技能評価試験(航空分野:航空機整備)

航空業界で「航空機整備」の業務に従事する場合、「特定技能評価試験(航空分野:航空機整備)」の試験を受験します。試験概要は、以下の通りです。

試験名 特定技能評価試験(航空分野:航空機整備)
実施機関 公益社団法人日本航空技術協会
試験内容 【筆記試験】
・問題数:30問程度
・試験時間:60分
・実施形式:ペーパーテスト形式

<試験内容>
・航空機の基本技術(締結、電気計測)
・作業安全・品質
・航空機概要

【実技試験】
・問題数:下記の項目ともに1~3つ出題
・試験時間:30分
・実施形式:作業試験形式

<試験内容>
・締結
・電気計測
合格基準 筆記試験・実技試験ともに65%以上の正答
受験料
(国内受験の場合)
2,000円(税込)

国際交流基金日本語基礎テスト

外国人労働者が航空業界で働くには、「国際交流基金日本語基礎テスト」もしくは「日本語能力試験(N4以上)」の日本語水準を満たす必要があります。ここからは、「国際交流基金日本語基礎テスト」の試験概要をご紹介します。

試験名 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT‐Basic)
実施機関 国際交流基金
試験内容 ・問題数:全50問程度
・試験時間:60分
・実施形式:CBT形式

<試験内容>
・文字と語彙(約12問)
・会話と表現(約12問)
・聴解(約12問)
・読解(約12問)
合格基準 200点以上の得点
受験料
(国内受験の場合)
7,000円(税込)
※受験する国によって料金が異なります。

日本語能力試験(N4以上)

外国人労働者が航空業界で働くには、「国際交流基金日本語基礎テスト」もしくは「日本語能力試験(N4以上)」の日本語水準を満たす必要があります。ここからは、「日本語能力試験(N4以上)」の試験概要をご紹介します。

試験名 日本語能力試験
実施機関 国際交流基金、日本国際教育支援協会
試験内容 認定の目安:N1~N5(数字が小さいほど難易度が高い)
※航空分野の場合は、N4以上必要

<N4の試験内容>
①言語知識(文字・語彙):25分
項目:漢字読み・表記・文脈規定・言い換え類義・用法
②言語知識(文法)・読解科目:55分
項目:文の文法1(文法形式の判断)・
文の文法2(文の組み立て)・文章の文法・内容理解(短文)・
内容理解(中文)・情報検索
③聴解:35分
項目:課題理解・ポイント理解・発話表現・即時応答
合格基準 90点の得点
【区分別得点】
・言語知識(文字・語彙・文法)・読解:38点(基準点)
・聴解:19点(基準点)
受験料
(国内受験の場合)
6,500円(税込)
※受験する国によって料金が異なります。

まとめ 航空業界ではコロナ禍収束に向けた人材確保が必要

新型コロナウイルス感染症の流行前と流行後で、航空業界の需要に大きな変化がありました。新型コロナウイルス感染症の緩和・収束により、航空業界の需要は今後高まっていく見込みです。それに伴い、人材確保も必要になります。人材確保にお悩みの航空会社・空港会社は、是非外国人労働者の積極的な雇用で人手不足の解消を図ってみてください。

この記事を書いたライター
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カナエル運営事務局

外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。