ビルクリーニング業界で特定技能外国人を採用する条件や注意点について解説!

ビルクリーニング業界で特定技能外国人を採用する条件や注意点について解説!

技能実習特定技能

ビルクリーニング分野での人材需要が高まる中、労働力不足を補うために派遣社員や外国人技能実習生に頼ってきました。 しかし、働き方改革に伴い、新たに導入された「特定技能」を活かせるかどうかが懸念されています。 そこで、ビルクリーニング業界で「特定技能」がどのように活用できるかを解説いたします。

ビルクリーニングとはどのようなものか?特定技能や受入人数も解説

ビルクリーニングとはどのようなものか?特定技能や受入人数も解説

ここでは、ビルクリーニングの意味や特定技能、受入人数について解説していきます。

ビルクリーニングとは?

ビルクリーニングとは、オフィスビルやデパート、美術館など、不特定多数の利用者が出入りする建物の清掃のことです。 多くの人が利用する空間の環境を常に清潔に保つため、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(いわゆる「ビル管理法」)により、一定の建物(特定建築物)については日常清掃と半年に一度の清掃が義務付けられています。

人通りの多い場所では、雑菌や汚れが蓄積されやすいため、定期的な清掃が必要です。 大規模な建物の清掃には、床や壁の洗浄、カーペットの掃除機がけ、家具や表面のホコリ取り、ゴミ箱やリサイクル用容器の空け置き、ガラス面の清掃などが含まれます。 大規模なビルの場合、オーナーや店主が毎日清掃するのは難しいので、清掃業者に委託するケースが多いようです。

特定技能とは?

特定技能」在留資格は、深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門知識や技能を持つ外国人が即戦力として働けるようにするための新しい在留資格です。 在留資格とは、外国人が日本に滞在し、求職、留学、起業など一定の活動を行うことを認める在留資格です。 資格により、1年から5年の在留期間を取得することができ、更新も可能です。

ビルクリーニングの分野では、特定技能1号があり、この資格を取得した外国人は、ビルメンテナンス会社と最長5年間の雇用契約を結び、窓ふき、表面磨き、モップがけなどの建物内部の清掃全般に従事することができます。 また、専門分野に関連する建物の什器の運搬・据付、大工工事、空調設備の修理などのメンテナンス業務に従事することも認められています。

ビルクリーニングの受入人数

ビルクリーニング業界全体の目標は、2019年から5年間で37,000人の外国人を受け入れることと設定されています。 この目標はビルクリーニング業界全体の上限値ですが、1社あたりの受け入れ人数に上限はありません。 そのため、特定技能外国人労働者を1社で何人でも雇用することができ、目標達成に関しては進捗率を上げることが可能です。

しかし、2021年12月現在、ビルクリーニング業界全体で650人の外国人しか受け入れておらず、進捗率は約1.7%にとどまっています。 このことは、目標達成に向けた努力は行われているものの、もっと積極的な受け入れを行う必要があることを示しています。 このような状況を改善するために、各社が責任を持って、応募者数を増やす努力をする必要があります。 そのためには、潜在的な候補者に対してよりオープンで歓迎される環境を積極的に作り、外国人にとってより魅力的な選択肢となるようなインセンティブや報酬などを提供することが必要といえるでしょう。

ビルクリーニング業界の現状について

ビルクリーニング業界の現状について

ここでは、ビルクリーニング業界の現状について詳しく解説していきます。

ビルクリーニング業界は人手不足

現在、クリーニング業界では人手不足が深刻化しており、厚生労働省の情報によると、2009年度の有効求人倍率は2.95倍、65歳以上の労働者は37.2%となっています。 クリーニング関連企業の人材確保は、ますます難しくなってきています。 その背景には、「この業界は参入規制が低く、必要な能力や資格も少ないため、派遣社員が過剰になり、労働者の待遇を拡大することができない」「ビルクリーニング業界は、人材確保に積極的でない」「仕事単価が低く、人件費を上げることができないため、非慣用労働者が多く、清掃業に職を求める人が少ない傾向にある」といった要因が考えられます。

また、ビルクリーニングの分野では、雇用される個人の量が限られているため、業務を遂行する側にとっては手間がかかり、資源として維持することが困難になっています。 この課題が長年放置されたまま、人手不足の状態が続いています。 長期的には、外国人労働者の受け入れや、負担軽減のための業界改革に力を入れるべきでしょう。

ビルクリーニングの技能実習

前述したように、ビルクリーニング業界は人手不足のため、国内労働者のみで人員を確保することができず、外国人労働者の募集や受け入れを行っています。 その活動のひとつが「技能実習生」制度で、外国人技能実習生が日本企業や個人事業主などの実習先と雇用契約を結び、母国では習得が難しいとされる技術を習得するものとなっています。 この制度は、日本のビジネス界にとって重要なだけでなく、外国人技能実習生にとっても、母国ではなかなか習得できない専門技術や知識を学ぶ貴重な機会となっています。

外国人技能実習生の受け入れ体制には、「企業単独型」と「団体監理型」の2種類があります。 企業単独型は日本企業が海外の現地法人やパートナー企業、取引先から人材を受け入れるタイプの技能実習生です。 外国人実習生は、日本企業の指導や専門知識を活用しながら、企業での貴重な経験を積むことができます。

特定技能ビルクリーニングはどのようなもの?

特定技能ビルクリーニングはどのようなもの?

特定技能であるビルクリーニングの資格の取得方法などを知らないという人もいるのではないでしょうか。 ここからは、ビルクリーニングにおける資格の取得方法や業務内容、報酬などについて詳しく解説していきます。

資格の取得方法

具体的に特定技能の資格を取得するためには、以下の基準を満たす必要があります。

1つ目は、その科目の習熟度や知識を証明するために、「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」に合格することです。 次に、日本語でのコミュニケーション能力を証明するために、「日本語能力試験(仮称)」または「日本語能力試験(N4以上)」のいずれかに合格する必要があります。

これらの基準を見事に満たすことで、清掃作業を行うための適切な方法を選択し、実行することができると判断され、認定を受けることができるのです。 この資格がプロフェッショナルの期待に応えていることを保証するため、審査は厳格なプロセスを経て行われ、最高水準が満たされているかどうか定期的に見直されます。 将来的には、より幅広い清掃資源と技術をカバーするために、このプログラムの対象となる認定資格の範囲を拡大する計画が進行中です。

クリーニング業界では多くの進歩が続いており、すべての認定者が効果的、効率的かつプロフェッショナルな方法で業務を遂行できるよう、最新の技術と原則を確実に身につけることが優先事項となっています。

特定技能を取得した際の業務内容や給与

特定技能ビル清掃員の雇用形態は、原則として直接雇用に限定されており、派遣は認められていないようです。 ビルクリーニング士の主な仕事内容は、ビルやホテルのエントランス、廊下、階段、トイレ、エレベーター、エスカレーター、駐車場、外壁のクリーニングなどです。 資格によっては、難しい場所のホコリ取りやワックスがけ、モップがけ、磨き、窓拭きなど、より専門的な作業を担当する上級清掃員もいます。

また、セキュリティシステムのチェックや故障・破損の報告も求められることがあります。 比較的重い仕事量ですが、有給休暇や病欠、ボーナスなどは他の社員と同じように支給されます。 特定技能ビル清掃員の報酬については、現在、業界の平均年収は280万円程度と言われていますが、近年の最低賃金の引き上げや人手不足により、将来的には上記数値よりも高くなる可能性があります。

地域によっては、清掃員の需要が高いため、雇用主が食事代の無料支給や家賃補助などの特典を提供するようになったところもあります。 さらに、清掃員の不足を防ぐために、その役割を担う海外労働者を積極的に採用する企業もあります。

国人労働者を受け入れる際の注意点

国人労働者を受け入れる際の注意点

ここでは、外国人労働者を受け入れる際の注意点について解説していきます。

「建築物環境衛生総合管理業への登録」

ビル内の清掃業務に従事する業者が外国人労働者を受け入れる場合、「建築物環境衛生総合「管理業」の登録が必要です。 この登録により、必要な基準をすべて満たしていることが保証されます。

建築物環境衛生総合管理事業者としての登録要件は以下の通りです。
(1)適切な機械やインフラを備えているなどの物理的要件、(2)適切な訓練を受けた十分なスタッフを有しているなどの人的要件、(3)その他必要な許可、保険契約、安全プロトコルなどを備えているなどの要件が含まれます。

請負業者は、清掃やその他の衛生関連の活動を行う個人の資格を文書化した記録を保持し、これらの記録を定期的に更新しなければなりません。

ビルクリーニング分野特定技能協議会への加入

外国人労働者の受け入れを希望する場合、「ビルクリーニング業技能協議会」への加入が義務付けられています。協議会は、特定技能外国人労働者の受入れに必要な情報を共有し、受入れの円滑化を図るために設立された団体です。 この協議会を通じて、事業主には外国人労働者の技能や資格を見るためのプラットフォームが提供され、外国人労働者には、受け入れに前向きな事業主との信頼できるネットワークが提供されます。 また、万が一の雇用トラブルへの迅速な対応や、外国人労働者の転職支援など、採用だけにとどまらない支援も行っています。

ビルクリーニング特定技能の資格試験について

ビルクリーニング特定技能の資格試験について

ビルクリーニング特定技能の資格試験は受験資格や会場などが定められています。 ここからは、特定技能試験の受験資格や試験内容などについて紹介していきます。

受験資格

2020年11月~12月に開催される第3回試験から、中長期の在留経験が不要となり、短期の在留資格でも受験が可能になりました。 より多くの受験希望者が応募できるようになるほか、すでに在留資格をお持ちの方にとっても、在留期間の延長を待つ手間をかけずに受験できるようになり、前向きな一歩になると見られています。 ただし、現在技能実習中の技能実習生は試験を受けることができません。 つまり、実習計画の途中で指定された技能に変更することはできず、現在の技能実習生は、プログラムを修了してから受験するか、実習期間の中断を申請してから受験する必要があるのです。

この規定は、長期在留資格の要件を回避しようとするケースを減らすことを目的としています特定の職業に専念しながら在留を選択することの重要性を再認識させるものでもあるのです。 今回の決定は、受験者の質を向上させ、有資格者の申請手続きを簡素化するためのものとなっています。 この新しいルールが国民から好評を博し、個人がより早く、より便利に、特定のスキルを追求するための新たな機会を生み出すことが期待されます。

受験料

受験料は2,200円で、合格して建設メンテナンス事業所に配属された場合は、在留資格認定証明書交付手数料として14,300円が必要です。 この書類は、特定技能1号の在留資格を取得するために必要なものです。

会場

2020年後半には、北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島、徳島、福岡の国内8カ所と、ミャンマーとフィリピンの海外2カ所で第3回試験の調整が行われました。

定員

第3回試験の応募者総数は700名です。 各試験会場の募集人数は決まっています。 東京が300人、大阪が100人、その他の会場が50人ずつです。 このため、距離規制や健康管理などを考慮し、各会場に試験会場を増設。 各会場には警備員を配置し、衛生管理を徹底するなど、安全・安心を確保するための特別措置を講じました。 さらに、需要の高まりに対応するため、追加の試験用品を用意し、安全性を確保するために各受験生に専用の試験台を提供しました。

試験内容

2020年8月~9月に行われた清掃作業に関する評価は、写真やイラストで採点する17問で40点の理論編と、12分間で合計60点の実技編で構成されています。 合格には、両部門とも60%以上の得点で、合計100点満点でした。 141名の受験者のうち、104名が合格し、合格率は73.7%でした。

まとめ

・まとめ

在留資格「特定技能」の導入により、ビルクリーニング業界への外国人の採用が可能になりました。 企業は、従業員が転職する可能性があるため、この新しい在留資格を利用することに不安を感じています。 とはいえ、従業員の不足がより顕著になる可能性は否定できないといえるでしょう。 したがって、企業としては、できるだけ早く制度の受け入れ態勢を整え、外国人人材との信頼関係を醸成することが望まれています。

この記事を書いたライター
nu-bo

nu-bo

専業ライター。これまでに、150ジャンルほどの執筆経験がございます。