カンボジア人の技能実習生や、特定技能外国人が年々増えています。
カンボジアは日本と同じ仏教の国で、親日家が多いため、日本の企業文化にもスムーズにとけこめる方が多いと言われています。
ですが、カンボジア人を雇用する企業は、同時に様々な問題を抱えることになります。
中でも問題になっていることは、失踪です。
のちの章で詳しく説明しますが、カンボジアは、来日する技能実習生の失踪率が残念ながらすべての国の中でトップだった歴史があります。
今回は、なぜカンボジアからの技能実習生の失踪率がトップなのか、またカンボジア人の国民性、カンボジア人の仕事観などを解説をしていきます。
目次
カンボジア人の国民性について
まずは、カンボジア人の国民性について、説明いたします。
前述のとおり、カンボジアは日本と同じで仏教が浸透している国です。
カンボジア人の90%以上が仏教徒で、フードタブーもなく、目上の人を敬うなどの文化もほとんど変わりありません。
また親日家が多く、温和な性格の方がほとんどです。
日本のアニメなどの影響もありますが、カンボジアという国自体も、日本に好意を持ってくれています。
その証拠に、カンボジアの500リエル紙幣には、なんと日本の国旗が描かれています。
経済的な援助を行ったことで、国の紙幣にも日本の国旗のマークが書かれているわけです。
もちろんマイナス点もあります。
一概に悪いというわけではありませんが、カンボジア人には、プライドの高い方が多いです。
例えば、特に人前で恥をかかされることなどには、かなり強い不快感を覚える方が多いです。ですので注意をする場合には、個別に行うほうがよいでしょう。
日本も恥を重んじる文化ですので、似た性質を持っていると考えればスムーズに適応できるかと思います。
カンボジア人はプライドの高い一面はありますが、仏教が浸透している国で温和な方がほとんど、なおかつ親日家が多い国民と言えます。
カンボジア人の仕事への思い
カンボジア人の国民性について、簡単に説明をしてきました。
ここからは、そんなカンボジア人は、仕事に対して「どのような思い」を持っているのかについて簡単に説明していきます。
カンボジア人が会社を選ぶ基準
日本や例えばネパールなどの国は、1つの会社で長く働くことを重要とする文化があります。
ですがカンボジアでは違います。
カンボジアには、転職をどんどんしてスキルアップする文化があります。
カンボジアでも1つの会社でずっと働くことを尊ぶ文化が全くないわけではありません。
ですが実際カンボジアでは、いまより待遇がよくなるのであれば、転職する方が非常に多いのが実情です。
ではカンボジア人が会社を選ぶ際、重視している基準は何でしょうか。
それはやはり給料です。
いまより給料がいい条件の会社があれば、どんどん転職していきます。
ですのでカンボジア人には、今の給料の金額はもちろんですが、会社で働き続けることでどう昇給していくのか、ここをはっきりさせることを求めている方が多いです。
身に着けたいスキル
カンボジア人の多くは、国内より海外で働くことを好みます。
海外で働きたいとカンボジア人が思う理由は、主に、給料に大きな差があるためです。
高給を求めて、カンボジア国内でも、プノンペンなどのビジネス都市に居住する若者は、国内企業ではなく好待遇を求めて海外企業で働くことを強く希望します。
では日本企業や海外企業などに、給料以外で求めていることはあるのでしょうか。
給料以外にも、カンボジア人が求めていることがあるということがわかっています。
実はカンボジア人は、給料以外では、ビジネスにおける問題解決能力や、コミュニケーションスキルの向上を求めています。特に若い世代は、ビジネス上のスキルを身に着けることを非常に強く望んでいます。
ですので給料だけではなく、スキル向上の機会があれば、いまより給料の高い会社があったとしても残って働き続ける可能性があるということになります。
日本企業の魅力と嫌な点
カンボジア人には親日家が多く、また高い給料を得ることができるため、日本やプノンペンなどの日本企業で働くことを望む若者が多いです。
そんなカンボジア人は、日本企業に以下のような魅力を感じています。
- 給料の高さ
- ビジネス・スキルが向上する
- 日本の知識を増やすことができる
親日家が多いカンボジアらしく、日本に関する知識が増えること=日本で働く魅力ととらえている方が一定数いるようです。
一方でカンボジア人は、日本企業にメリットだけではなく、以下のようなデメリットも感じています。
- 日本語でコミュニケーションしないといけない
- 規律が厳しそう
- 残業が多そう
コミュニケーションに関しては、やむを得ない部分があります。
ただ規律や残業をネックに思う方が多い傾向にあります。
カンボジア人にはのびのび働くことを好む方が多いためです。
カンボジア人の平均転職回数
カンボジアで働くカンボジア人の20代の平均転職回数は2~3回で、0回の人も当然いますが、20代ですでに5回以上という方も多いと言われています。
技能実習でカンボジアからきている場合には、自由に転職はできません。
ですが特定技能の場合には、条件はありますが転職自体は可能です。
現職より高給の仕事が見つかれば、基本的にはすぐ転職を考える方がほとんどだということは認識が必要です。
転職がなぜ多いのか
転職の理由として「昇給のチャンスがないから」というものがあげられています。
ですが20代で5回6回の転職をしている方たちは、そもそも昇給のチャンスがもらえる前に転職しているのであろうと考えられます。
そのため企業が「育てた特定技能カンボジア人が転職していく」という悩みを持っているのであれば、昇給の仕組み・システムをカンボジア人労働者にしっかり伝える必要があります。
昇給のシステムがあいまいであったり、そもそも昇給制度がなかったりする場合には、対処する必要があるでしょう。
カンボジアの日本企業が抱える問題点
カンボジアに進出した日本企業が、カンボジア人スタッフと働くうえで、困ったことをまとめていきます。
すぐに転職する
前述のとおり、カンボジア人には、待遇がよくなればすぐ転職するという方が多いです。
例えばカンボジア国内で、オープニングスタッフを募集した日本企業がありました。
オープンまでの研修を受けて、そろそろオープンという状態で「いまよりいい待遇の職場があったから」という理由で、半数の方が転職をしたという事例があります。
また日本と同じようにショッピングモールがカンボジア国内にもあります。
そのショッピングモールで働くカンボジア人が「2階のテナントのほうが高給だから」と、同じショッピングモールのなかで、いまより給料が高い職場があったから移ったという事例もあります。
日本国内では、技能実習では転職が自由でないため、そのように苦しむことはないかもしれません。ですがカンボジア人の仕事観として、給料が上がるならどんどん転職すべきだと思っていること・それが普通であることは、認識しておくべきでしょう。
人員供給システム
カンボジア国内では、転職だけではなく、すぐやめてしまう若者の数も多くて問題になっています。
例えばカンボジアに進出した日本企業が、オープン前に12人採用しました。
オープン前の研修には12名全員がきましたが、オープン当日には半分の6名しか出勤せず、オープン当日お昼休憩に行ったら、そのうちの半分が戻ってこなかったそうです。
結果、12名採用しましたが、オープンの午後には3名しか残らなかったとのことです。
そのためカンボジアに進出した日本企業は、「いないと困るカンボジア人を作らないこと」を暗黙のルールにしているとのことです。
日本で働くカンボジア人と問題点
日本で働くカンボジア人の問題点について、簡単に見ていきます。
失踪率がトップ
技能実習生の失踪が、近年非常に問題になっています。
初めに説明した通り、最も多くの失踪者を出している国は、実はカンボジアです。
2017年から2021年度まで、毎年カンボジアが失踪者の割合ではトップです。
またカンボジアの技能実習生の失踪率は、2017年から2021年度まででASEAN諸国の平均の2倍、年によっては4倍です。
例えば2021年度に3.9%が失踪しました。
この数字は非常に大きく、同年のフィリピンの失踪者はわずか0.1%です。
ではなぜ、カンボジア人の失踪の割合は他国に比べ非常に多いのでしょうか。
職場が合わない
技能実習生などの失踪の理由はもちろん様々あります。
劣悪な職場環境や、暴力、賃金の未払いなどもあります。
ですが「職場が合わないから」という理由で失踪するカンボジア人の若者が、いることも事実です。
カンボジア人には、のんびりした性格の方が多いようです。
そのため日本のように時間にきっちりしていて、何事にもスピードを求められることが、肌に合わないと思うようです。
そのため「自分には合わない」と行方をくらましてしまう若者が、一定人数いる模様です。
また「不法就労のほうが給料がいい」という理由で、あえて失踪をして不法就労するカンボジア人もいることがわかっています。
ですがもちろん、職場に適応して、優秀な結果を残すカンボジア人も多数います。
そういう素晴らしい方たちがいる一方で、「スピードを求められることがつらい」「不法就労のほうが稼ぎがよい」と考えて失踪したカンボジア人もいることは認識が必要です。
悪質な送り出し機関
また失踪するカンボジア人が多い理由は、もう一つあります。
それは、悪質な送り出し機関の存在であると言われています。
2023年の11月末から、カンボジアの3つの送り出し機関からの実習生受け入れを、一時停止することが発表されました。
なぜ外国人技能実習機構は、このような処分を発表したのでしょうか。
答えは、カンボジア人の技能実習生の失踪を防止するためです。
出入国在留管理庁は、失踪の主な原因として、以下の2点を挙げています。
- 受け入れ企業の賃金の未払いなど
- 入国時の費用回収
この②入国時の費用回収が、非常に問題視されています。
カンボジアの技能実習生は、他国の実習生と比べて、日本で働くための送り出し機関に非常に高額な費用を払っていることがわかっています。
その平均金額は約5000ドルです。
この金額の異常な高さは他国を見れば明らかです。
例えばインドネシアでは2200ドル程度、フィリピンではわずか800ドル程度です。
小泉法務大臣は、カンボジアと協力して失踪者削減に取り組むとは言っていますが、すぐにその成果が出るとは限りません。
雇ったカンボジア人の技能実習生や、特定技能外国人が、法外な額の借金を抱えていないかも、長く働いてもらう上では知っておいたほうが良い情報となっています。
まとめ
カンボジアの国民性
カンボジアは、日本と同じで仏教が浸透している国です。
そのためカンボジア人のほとんどには、フードタブーは基本的にはなく、目上の人を敬うなどの文化が同じです。温和な性格の方が多く、親日家も多いので、日本人には付き合いやすいと感じる方が多いようです。
ですが注意点として、プライドの高い方が多く、人前で恥をかかされるなどには憤る方もいます。その点には気を遣うほうがよいでしょう。
カンボジア人の仕事への思い
カンボジアには、転職をどんどんしてスキルアップする文化があり、いまより待遇のいい会社があればどんどん移っていくことが普通です。
そのため昇給などがあるのであれば、働き続けることで、どのように昇給をしていくのかなどをしっかりと提示しておくとよいでしょう。
日本で働くカンボジア人と問題点
失踪する技能実習生や、特定技能外国人が問題になっています。
カンボジアの技能実習生の中からも、失踪者が出ています。
実は、最も多くの失踪者を出している国がカンボジアで、理由は①受け入れ企業の賃金の未払いなど②入国時の費用回収の2点があげられると言われています。
また中には「職場が合わないから」という理由で失踪する若者もいます。
カンボジア人には、のんびりした性格の方が多いようで、日本のように時間にきっちりしていて、何事にもスピードを求められることが、肌に合わないと思う方もいるようです。
また「不法就労のほうが給料がいい」という理由で、あえて失踪して不法就労するカンボジア人も中にはいます。
雇ったカンボジア人の技能実習生や、特定技能外国人が、法外な額の借金を抱えていないかも、知っておいたほうが良い情報となっています。