航空業業界で特定技能外国人を採用する方法

航空業業界で特定技能外国人を採用する方法

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特定技能「航空業」とは

特定技能「航空業」とは

特定技能「航空業」は、2019年4月に新設された就労系在留資格です。
航空業界の深刻な人手不足を解消するために新設されました。
それまでの在留資格とは違い、関連業務として単純労働をこなすことができる点、また取得するためのハードルが低めに設定されている点などがメリットとしてあげられます。
今後、訪日客がますます増えることが予想されることもあり、特定技能「航空業」は人手不足を解消する有望な方法として注目されています。

航空業界の現状

航空業界の現状

航空業界の現状を簡単に説明します。
航空業界は、少子高齢化の影響もあり、慢性的な人手不足に陥っています。
有効求人倍率は全産業の平均が1.3倍程度に対し、航空業界では4倍近くの異常値をつけています。
少子高齢化による労働人口の不足や、訪日外国人の増加などを鑑みると、この先、人手不足はますます深刻になると考えられています。

なかでも、地上で作業をする従業員・グランドスタッフが不足すると考えられています。
グランドスタッフは基本的にシフト制で、燃料の補給などの肉体労働も多くあります。そのため若者の人気があまりなく、人手不足による長時間労働も問題になっています。
国土交通省は、グランドスタッフの労働環境改善のため、福利厚生の充実や、空港周辺に住居を確保するなど、様々な取り組みを行っていますが、有効求人倍率は残念ながら高止まりしたままです。

特定技能「航空業」で従事できる業務

特定技能「航空業」で従事できる業務について紹介します。
従事できる業務は大きく2つのカテゴリー、空港グランドハンドリング業務と航空機整備業務に分類できます。

空港グランドハンドリング業務

空港グランドハンドリング業務は、基本的には地上での業務全般になります。
主な業務として以下の4つがあります。

航空機地上走行支援業務

主に、航空機の駐機場への誘導などを行います。

手荷物・貨物取扱業務

手荷物や、貨物の仕分けなどを行います。

手荷物・貨物の搭降載取扱業務

手荷物・貨物の航空機への移送などを行う業務で、特に国際線となると荷物が大きくなるために重労働の肉体労働にカテゴライズされます。

航空機内外の清掃整備業務

客室内清掃などを行います。

航空機整備業務

こちらは以下3つの業務になります。

運航整備

空港に到着した航空機を、次のフライトに向かえるように整備する業務です。

機体整備

航空機に問題がないか確認するための定期的に行われる整備です。

装備品・原動機整備

航空機の整備の中でも、主に脚部や動翼、計器類、エンジンなどの整備を専門に行います。

雇用形態・報酬※

フルタイムの直接雇用のみ許可されています。
農業などの一部業種では派遣雇用が認められていますが(農閑期があるため)、航空業界では直接雇用以外認められていません。

また報酬は日本人と同額を支払う必要があります。
能力で差をつけることは問題ありません。ですが「外国人である」ことを理由に低賃金にすることは外国人差別となるため許されません。

雇用期間※

在留期間は通算5年です。
「通算」ですので2年働き、1年間帰国するなら、日本に再入国後3年働くことができます。

受け入れ人数

航空分野の特定技能外国人の受け入れ人数は、航空分野全体で、2019年から5年間で2200人が目標です。この目標人数は、あくまで、航空分野全体での上限人数であり、企業ごとの受け入れ人数上限ではありません。企業ごとの人数制限はありませんので何名でも雇用できます。
2200人という目標人数が掲げられてはいますが、2021年12月末時点で、受け入れ人数はわずか36人(約1.6%)となっており、人材の確保には難航しているのが現状です。

雇用するためにかかる費用※

特定技能外国人の雇用のためには、雇用前・雇用後でそれぞれ費用がかかります。

雇用前にかかる費用

  • 送り出し機関への手数料:20~40万円
    海外から呼び寄せる場合にはこれくらいかかり、呼び寄せる国によって金額が前後します。
  • 人材紹介会社への手数料:30〜90万円
    年収の10〜30%がかかります。上記金額は年収300万円の場合の金額です。
  • 在留資格申請の委託費:10~20万円

雇用後にかかる費用

  • 登録支援機関への支援委託費:年間24~36万円
    一人当たり月2~3万円の計算です。
  • 在留資格更新申請に関する委託費:5万円〜15万円

特定技能1号「航空業」の取得方法

特定技能1号「航空業」の取得方法

特定技能「航空」の取得方法を解説します。
試験にパスするか、技能実習生を良好に終了するかの2つの方法があります。

2つの試験「特定技能評価試験」、「日本語試験」に合格する

在留資格「航空」を取得する1つ目の方法は、特定技能評価試験と、日本語試験にパスすることです。

「航空業」分野特定技能評価試験

まず特定技能評価試験では、空港グランドハンドリング業務と、航空機整備業務に分かれており、どちらの試験でも、即戦力として通用する力があるかをチェックされます。

空港グランドハンドリング業務

空港グランドハンドリングの試験では、指導者のもとで空港で航空機を誘導したり、けん引の補佐をしたり、荷崩れを起こさないよう貨物を積み上げたりできるかをチェックされます。

航空機整備業務

整備業務の試験では、整備の基本技術があるかをチェックされます。
こちらも指導者のもとで、機体・装備品の簡単な点検や交換ができるかをチェックされます。

詳しくは、国土交通省 航空分野における新たな外国人材の受入れについてに詳述されてますので、併せてご覧ください。

空港グランドハンドリング業務、航空機整備業務のそれぞれで試験が行われ、筆記試験及び実技試験が課されます。
筆記試験は○か×で回答する真偽式や選択問題となっており、以下のような問題が出題されます。

動いているジェット・エンジンの前方は危険である

正解 ○
“SAFETY INSTRUCTION” には、サービスに係ることが書いてある。

正解 ×

実技試験では、写真やイラストから、状況を判断する問題となっています。
65%以上正解で合格です。

サンプル問題が日本航空技術協会(JAEA)のページに掲載されてますので、併せてご確認ください。また詳しい試験範囲や学習用テキストなども日本航空技術協会(JAEA)のホームページに掲載されています。

日本語試験※

日本語能力を測る試験には以下の2種類あります。

  1. 国際交流基金日本語基礎テスト
  2. 日本語能力試験

難易度はほぼ同じでどちらかに合格すれば大丈夫です。

国際交流基金日本語基礎テストでは、日本語での日常会話の力を測定します。日本で日常生活を送るうえで問題ないレベルの日本語が話せるかをチェックされます。

日本語能力試験には、レベルは5段階あります。最も易しいN5は日本語の基礎、N1では高いレベルの日本語力が問われます。この日本語能力試験を選んだ場合には、N4に合格が必要です。N4では、日本語で日常会話がある程度できること、簡単な日本語の文章だったら読めることができるかをチェックされます。

これらの試験は年2回のペースで開催されています。

技能実習2号を良好に修了※

2つ目の方法は、技能実習2号からの移行です。
具体的には「航空機地上支援」の技能実習2号を修了された場合には、特定技能1号の空港グランドハンドリング業務に、無試験で移行することができます。

「良好に修了」について、ちょっとだけ解説します。
これは技能実習を2年10ヵ月以上で修了し、技能検定3級に合格していることを指します。もしくは、技能検定3級相当の技能実習評価試験の実技試験に合格している場合も「良好に修了」扱いになります。
また技能実習生に関する評価調書の書面がある場合にも「良好に修了」扱いになります。

特定技能外国人を受け入れるには

特定技能外国人を受け入れるには

受け入れ体制を整える※

まず、受け入れ態勢を整える必要があります。
具体的には、日本での生活に困らないように、入国前の事前ガイダンスをはじめ、出入国送迎、住居の確保、生活オリエンテーション、日本語学習、日本人との交流促進、相談苦情対応などの支援です。
これらの義務的支援は、過去2年間、外国人材の受け入れ実績がない場合には登録支援機関に委託する必要があります。
詳しくは法務省「特定技能外国人受け入れに関する運用要領」に詳述されていますので、併せてご確認ください。

航空分野特有の条件を満たす

航空分野特有の条件が存在していますので、それを満たさなくてはなりません。

「航空分野特定技能協議会」に入会して、同協会に必要な協力を行う

まず、「航空分野特定技能協議会」に入会して、同協会に必要な協力を行う必要があります。「航空分野特定技能協議会」とは、特定技能外国人のスムーズな送り出しや、外国人人材を不正などから守るために存在している組織です。特定技能外国人を受け入れた場合には、必ず入会し、同協議会に必要な協力を行わなければなりません。

事業者の条件を満たしていること

航空分野の特定技能外国人を受け入れるには
①当該空港で、営業の承認などを受けた事業者
②航空運送事業者、もしくは国土交通大臣の認定を受けた、航空機整備などに関連した事業場を有する事業者
③当該事業者から、業務の委託を受ける事業者
以上のいずれかの事業者である必要があります。
どんな事業者でも受け入れることができるわけではないため、注意が必要です。

国土交通省が行う調査や指導に対して必要な協力をする

また同時に、国土交通省が行う調査や指導に対しても、必要な協力を行わなければなりません。

まとめ

航空業界で、特定技能外国人を採用する方法をまとめます。
特定技能「航空業」とは、航空業界で、外国人人材を雇用するための制度です。

航空業界の現状

航空業界は、少子高齢化の影響や、シフト制や肉体労働が含まれることもあり、慢性的な人手不足に陥っています。航空業界の有効求人倍率は、4倍近くの異常値をつけています。ですが訪日外国人の増加などのため、ますます人手が必要な業界です。
航空業界のなかでも、地上で作業をする従業員・グランドスタッフと整備の従業員が非常に不足しています。

従事できる業務

特定技能「航空業」が従事できる業務は、空港グランドハンドリング業務と、航空機整備業務の大きく2つに分けられます。
空港グランドハンドリング業務は①航空機地上走行支援業務、②手荷物・貨物取扱業務、③手荷物・貨物の搭降載取扱業務、④航空機内外の清掃整備業務に分けられます。
航空機整備業務では、①運航整備、②機体整備、③装備品・原動機整備に分けられます。

特定技能「航空業」の取得方法

特定技能「航空業」を取得する方法は2つあります。
1つ目は「航空業」分野特定技能評価試験に合格することで、空港グランドハンドリング業務と、航空機整備業務の2つの分野でそれぞれ試験が実施されます。
2つ目は技能実習2号を良好に修了することです。この場合は無試験で特定技能に移行することができます。

特定技能外国人を受け入れるには

特定技能外国人を受け入れるためには、義務的支援などを行えるような受け入れ態勢を整えなければなりません。また航空分野特有の条件を満たす必要もあります。航空分野特有の条件とは、「航空分野特定技能協議会」に入会して、同協会に必要な協力を行うこと、また事業者の条件を満たしていること、そして国土交通省が行う調査や指導に対して必要な協力をすることです。

特定技能外国人人材を受け入れるためには、以上のように、守るべきいくつものルールが存在していますので、ルール違反を知らず知らずのうちにしていたり、トラブルになったりしないように注意が必要です。
本記事が特定技能人材登用の一助となれば幸いです。

この記事を書いたライター
カナエル運営事務局

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外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。