技能実習・特定技能としてのフィリピン人の魅力とは?文化や国民性から徹底解説

技能実習・特定技能としてのフィリピン人の魅力とは?文化や国民性から徹底解説

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親日的な傾向が高く、外国への出稼ぎに対する心理的ハードルが比較的低いフィリピン人は、すでに日本で看護師・介護士として活躍している人も多く、技能実習生・特定技能外国人としても人気があります。

この記事ではフィリピン人を雇用する上での魅力を文化や国民性から解説していきます。今後フィリピン人を技能実習生・特定技能外国人として雇用することを考えている人は参考にしてみてください。

フィリピン共和国の基本情報

フィリピン共和国の基本情報

まずはフィリピン共和国の概要を解説します。

フィリピンの歴史

16世紀ごろまでフィリピンには国家とまでは至らないもののさまざまな民族がそれぞれ独立したバランガイ(村)を形成して生活していました。各集落はインド、アラブ、東アジア、東南アジア各地からの文化的影響を受けながら成長していきます。

しかし1521年にマゼランが来たことにより、スペインによる植民地化が始まります。このスペインによる植民地化をきっかけにフィリピン人は初めて一つの国としての意識を持つようになりました。

その後300年ほどスペインによる支配が続きますが、1898年に米西戦争が集結したことをきっかけに、今度はアメリカの統治下に置かれることになります。

第二次世界大戦の終結をきっかけにフィリピン共和国として独立し、今に至ります。

フィリピンの宗教

300年にわたるスペインによる支配の影響で、現在フィリピンでは国民の93%がキリスト教となっています。

スペイン支配以前にフィリピン地域にはイスラム文化がもたらされたことによる影響から、イスラム教を信仰する人も4〜5%ほどいます。

仏教徒は1〜2%です。

技能実習生・特定技能外国人としてフィリピン人を雇用する際にはキリスト教を中心に各宗教の価値観の理解が重要になってきます。

フィリピンの文化

スペインから長期にわたる支配を受けてきたことにより、教会などの宗教施設はバロック様式を取り入れていることが多い反面、学校などの施設からはアメリカ文化を感じられます。

公用語はタガログ語ですが、フィリピン人は英語に堪能な人が多いとされています。

これは米西戦争によってアメリカがフィリピンを統治下に納めた際、公教育で英語が教育言語として取り入れられたことによる影響です。

しかし欧米諸国からの影響を強く受けているフィリピンですが、ニッパヤシの民家などもともとあった土着文化も独自に発展し、さらにイスラム文化的な極彩色の装飾なども見られます。

建築やファッションなどからさまざまな国や地域、宗教の文化的背景を感じられるのがフィリピン文化の特徴と言えるでしょう。

フィリピンの経済

世界最大の労働力輸出国とよばれるほど、フィリピンは海外に働きに出る機運が国内に満ちている国です。フィリピン人の10人に1人が海外に移住しています。

働きに出る先は日本だけでなく世界各国が対象になっており、若者の海外で働くことを望む傾向は今後も続くことが予想されます。

若者が国外で働くことを望む理由は、

  • 英語力があること
  • 国内の失業率が高いこと

などがあげられます。

特定技能・技能実習としてのフィリピン人の魅力5つ

特定技能・技能実習としてのフィリピン人の魅力5つ

フィリピン人には「親日な人が多い」「西洋的なホスピタリティにあふれる」など、雇用する上で魅力的な面がたくさんあります。

以下では代表的な魅力を5つ紹介します。

1.親日な人が多い

治安もよく、清潔感ある日本に憧れているフィリピン人は非常に多いです。さらにフィリピン国内では日本のアニメや食事も人気があります。

歴史的背景からフィリピンには親日な人が多い上に、日本は現在フィリピンにとっての最大の貿易相手国です。日本とフィリピンの間には歴史的な結びつきだけでなくこうした経済的な結びつきも存在します。

日本はアジアで最初に先進国になったことも、フィリピン人が日本に憧れる理由の一つです。

2.ホスピタリティ精神にあふれる人が多い

キリスト教を信仰している人が多いフィリピン人には、ホスピタリティ精神にあふれる人が多いと言われています。

「誰に対しても自発的な思いやりの精神を大切にしよう」というキリスト教的ホスピタリティは陰徳を重んじる日本とは異なるものです。

フレンドリーで初対面でも親しみを表現するフィリピン人は、異国籍の人ともうまくやれる人が多く、雇用することで職場での雰囲気が明るくなることも多いです。

3.異文化の中でも難なく交流できる

フレンドリーな人が多いフィリピン人は、日本に来てもすぐに生活に馴染む傾向があります。日本人を含む他の外国人ともうまくやっていける人が比較的多いです。

こうした国民性の背景にはフィリピン文化がさまざまな文化の影響を受けながら発展したこと、そして国内の国外で働く意識が非常に高いといったことがあると考えられます。

もともと海外で働くことに対する心理的な壁が低いため、フィリピン人は他の国籍の人と比べて日本の職場にもすぐに適応できる可能性が高いです。

4.英語力が高い

公用語はタガログ語であるにもかかわらず、フィリピンの学校では国語と歴史以外の科目は英語で学びます。そのためフィリピン人は国民の9割が英語を話し、世界的に見ても英語力が非常に高いとされています。

日本語レベルは低かったとしても英語が話せるため日本企業でも難なく働けるフィリピン人も少なくありません。

高い英語力を持つフィリピン人は他の国籍の人よりもコミュニケーションの壁が低いと言えます。

5.日本から行き来しやすい

片道4時間という距離感であるため、フィリピンと日本はお互いに行き来しやすい国と言えます。物理的な距離の近さは、日本で働くことを望むフィリピン人が多く、逆にフィリピン人を雇いたいと思う日本企業が多い最大の理由です。

時差も1時間しかないため移動による体の負担も軽減できます。働いていても現地に住む家族や恋人と連絡をとりやすいという点も、フィリピン人が日本で働く魅力の一つとなっています。

フィリピン人の国民性の特徴

フィリピン人の国民性の特徴

以下ではフィリピン人の、

  • 西洋的なホスピタリティ
  • 貯金をするという発想がない
  • 自分の意見をしっかりと言う
  • 嘘をつけない
  • 初対面でもフレンドリー

といった国民性について詳しく解説します。

1.西洋的なホスピタリティ

キリスト教を信仰している人が多いことから、フィリピンには西洋的なホスピタリティを大切にする価値観が根付いています。

自発的に他人に親切にしていく姿には、日本人の考える優しさとは異なる良さがあります。

歴史的にも欧米諸国との関わりが深く、英語に堪能なため、一緒に働いているとアジア人というよりも欧米人と接しているかのような感覚を覚えることもあるかもしれません。

2.貯金をする人が少ない

口座保有率が低く、2017年時点では国民の37%しか口座を持っていないとされるフィリピンは、「今あるお金は今使う」という感覚の人が非常に多いです。日本に働きにきていたとしても、そうした傾向が見られるかもしれません。

口座保有率の低さの原因は金融インフラの整備が追いついていないことなどがあげられます。低所得者や離島に住む人たちはどうしても口座を開設しにくくなることから、「貯金」という発想がなかなか根付かないのです。

今後国内での金融インフラの整備が進むにつれてフィリピン人の金銭感覚も変化していくことが予想されます。

3.自分の意見をしっかりと言える人が多い

日本人や他のアジア文化圏の人と比べ、フィリピン人は自分の意見をはっきりと言える人が多いです。「空気を読む」といったことが苦手な傾向があり、仕事の上でも不満や意見を積極的に伝えてきます。

逆に「空気を読んでほしい」「いちいち言わなくてもこちらが思っていることを悟ってほしい」といったことはフィリピン人には通用しません。伝えたいことがあるのであればなるべくはっきりと言葉で伝えるようにしましょう。

4.嘘をつくのが苦手

誰に対しても心を開き、プライベートなことでも包み隠さず話す傾向があるため、フィリピン人には嘘をつくのが苦手な人が多いです。家族や仕事の話だけでなく、お金の話なども他の人と当たり前のように話します。

そのため仕事での不満や抱えている悩みなども尋ねればすぐに答えてくれる人が多いです。

技能実習生・特定技能外国人として日本で働く外国人の中には孤立してしまう人も少なくありません。しかしフィリピン人はこちらから働きかけることで話してくれる可能性が高いため、比較的孤立を防ぎやすいかもしれません。

5.初対面でもすぐに打ち解けられる

フレンドリーな人が多く、西洋的な価値観がアイデンティティに浸透しているフィリピン人は、初対面でもすぐに打ち解けられる人が多いです。仕事初日から他の人と親しくできる人が多いので、雇用する側としては安心できるかもしれません。

初対面でも気軽に「ハロー」と話しかけていくだけでなく、元気がない人を見つけた場合は「どうしたの?」と積極的に相手に働きかけていきます。こうしたフィリピン人の国民性は多国籍の人が働く現場でも役立つかもしれません。

日本とフィリピンの関係

日本とフィリピンの関係

1956年に国交を正常化して以来、フィリピンは日本だけでなく世界的にも親日な国として認識されています。

2011年のBBSによる世論調査ではフィリピン人の84%が日本に対して肯定的な感情を抱いているという調査結果も発表されました。これは調査対象となった27ヵ国中インドネシアに次ぐ2位という結果です。

また、2008年に発効した日・フィリピン経済連携協定により両国間での貿易・投資の自由化や円滑化などが促進されたことを受け、日本はフィリピンにとって最大の貿易相手国にもなりました。

現在日本はフィリピンの最大の輸出相手国であり、2割のシェアを占めています。輸入に関しても日本は1割程度のシェアを占め、相手国としては3位です。

こうして物やお金だけでなく人材の流通も活発になったため、日本で看護師や介護士として働くフィリピン人が増加しました。

フィリピン人を雇用する際のポイント5つ

フィリピン人を雇用する際のポイント5つ

以下では実際にフィリピン人を技能実習生・特定技能外国人として雇用する際のポイントを5つ紹介します。

1.しっかりと言葉で伝える

フィリピンでは自分の意見をしっかりと言葉で伝えるのが当たり前とされているため、日本独特のコミュニケーションである「空気を読む」といったことが苦手な人が多いです。

一緒に働く上で伝えたいことがある場合は、はっきりと言葉で伝えるようにしましょう。

「こちらの気持ちを汲み取ってほしい」

といった期待は日本人相手であれば通用するかもしれません。

しかしフィリピン人にとってそうした期待を寄せられることはストレスになってしまう恐れがあります。

2.「フィリピンタイム」を理解する

フィリピン人は時間に対しておおらか、悪く言えばルーズな面があるため、時間に対する価値観の違いにストレスを感じてしまう日本人もいるかもしれません。

一般的なフィリピン企業の就業時間は9時〜18時となっており、日本とほぼ同じスケジュール感となっています。しかし決められた始業時間通りに出勤する人は半分以下という企業も珍しくありません。

「30分前後の遅刻は当たり前」という感覚を多くのフィリピン人は持っています。一緒に働く際には時間を守ることの大切さを伝えるか、割り切る必要があります。

3.キリスト教的文化への理解

キリスト教を信仰している人が多いため、フィリピン人を雇う際にはキリスト教的文化への理解が必要になってきます。

クリスマスといったキリスト教を代表するイベントは盛大に祝うだけでなく、イースターなど日本人には馴染みのないイベントもフィリピン人にとっては大事なものです。

日本人の感覚よりもさらに深くキリスト教を信仰しているため、信仰を否定するような発言はしないよう心がけましょう。

4.敬意のある態度を心がける

自分の意見をしっかりともち、プライドが高い人が多いため、面子を潰すような態度は信頼関係を著しく損なう恐れがあります。

叱る際や注意をする場合は他の人の前でするのではなく、別室などで丁寧に伝えるようにしましょう。

5.「貯金」という概念がない人が多い

貯金という価値観がないため、フィリピン人の中にはお金を渡せば渡した分使ってしまう人もいます。雇用する際は、家族への仕送りによって困窮するリスクを低減させるための工夫が必要な場合もあるかもしれません。

例えば給料の支払いを2回に分ける、食事や住居については支援するといった工夫をすることで散財による困窮を防止できます。

まとめ

日本だけでなく欧米諸国とも歴史的関係が深いため、フィリピン人は他のアジア文化圏の人とは異なる魅力を持っています。日本で働く際にも彼らの魅力や特性がうまく発揮されるよう、雇用する際には相手の文化や国民性を尊重し、信頼関係を築くよう心がけましょう。

この記事を書いたライター
カナエル運営事務局

カナエル運営事務局

外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。