日本語検定の概要や試験とは?N1〜N5のレベルの目安は?

日本語検定の概要や試験とは?N1〜N5のレベルの目安は?

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日本語試験の概要と目的

日本語試験の概要と目的

日本語試験の目的は、日本語が母語ではない人、つまり外国人の日本語能力を測定することです。

まず、この日本語試験の簡単な歴史について説明します。
1984年に国際交流基金と、日本国際教育協会(現・日本国際教育支援協会)が始めました。
初めは受験者数がわずか7,000人ほどでした。
ですが2011年には61万人にまで増え、日本で就労する上での日本語能力の基準として幅広く利用されています。就職のほか、昇給や昇格、資格認定の基準にも使われています。

2010年からは、25年以上の間に発展してきた日本語教育学などを踏まえ、新しい日本語能力試験の実施をスタートしました。具体的には、筆記能力よりも、コミュニケーション能力を重視したつくりになりました。

開催時期

試験は7月と12月の年2回開催されます。
もともとは12月のみでしたが、2009年から年2回に変更になりました。

日本語試験の3つのメリット

日本語試験の3つのメリット

日本語能力試験には様々なメリットがあります。
主なものとして、入国管理上の優遇措置、また中学校卒業程度試験での一部科目免除、准看護師試験などを受験できるようになることなどがあります。順番に説明していきます。

入国管理上の優遇措置

入国管理上の優遇措置を受けるためのポイントがもらえます。
少し難しい説明になるので、かみ砕いて簡単に説明すると、70ポイント以上あると、最長の在留期間の5年が一律付与されるなどと優遇されます。

この「高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度」については、詳しくは高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度をご覧ください。

具体的にもらえるポイントですが、日本語能力試験N1の合格者は15ポイント、N2の合格者は10ポイントもらうことができます。
出入国管理上の優遇措置を受けるには、前述のとおりポイントの合計が70点以上必要です。N2という難易度が上から2番目のものでも、7分の1を満たすことができます。

中学校卒業程度試験で一部科目免除

中学校卒業程度試験を受ける場合には、一部科目免除の特権を得ることができます。具体的にはN1またはN2の場合には、中学校卒業程度試験で国語の試験科目が免除されます。
詳しくは文部科学省のホームページもご参照ください。

准看護師試験などを受験できるようになる

日本語能力試験N1の認定を受けると、准看護師をはじめとする以下の職業に就くための国家試験を受けられるようになります。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 看護師
  • 准看護師
  • 薬剤師
  • 保健師
  • 助産師
  • 診療放射線技師
  • 歯科衛生士
  • 歯科技工士
  • 臨床検査技師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 視能訓練士
  • 臨床工学技士
  • 義肢装具士
  • 救命救急士
  • 言語聴覚士
  • 獣医師
  • 愛玩動物看護師

またEPA(経済連携協定)に基づく看護師・介護福祉士の候補者選定の条件の一つにもなっており、インドネシア・フィリピンの方の場合にはN5程度、ベトナムの方の場合にはN3以上の認定が必要です。

日本語試験の4つの特徴

コミュニケーション力を測定

日本語能力試験は、日本語の知識(文法と語彙力)とコミュニケーション力(語彙力を生かしコミュニケーション上の課題解決ができるか)を測定します。
このようなつくりになっている理由は、日本語を日常生活で使うには、文法と語彙力だけではなく、使いこなす力も重要だからです。

2009年に日本語能力試験は変わり、「言語知識」だけではなく、「読解」「聴解」でこのコミュニケーション能力も、しっかり測定しています。
ただ解答はマークシート式で、実際に対話を行う面接形式の試験はありません。

5つのレベル

日本語能力試験は、受験者に合わせて、N1、N2、N3、N4、N5の5つのレベルがあります。N1が一番難しく、N5が一番やさしいです。
それぞれのレベルについては、後の章で詳述しますが、ざっくり言うとN4とN5は日本語を学び始めた方向けで、日本語の基礎的な知識・能力を測定します。
一方、N1とN2は、高度な日本語レベルが求められるランクで、日常生活や仕事で必要な日本語能力。があるかをチェックします。
中間のN3は中級者向け、初級から上級者への橋渡しとなるランクとなっています。
より詳細な説明は次の「日本語検定のN1~N5はどれくらいのレベル?」で説明します。

尺度得点が導入されている

日本語能力試験では、尺度得点という制度が導入されています。
試験の難易度は、主催者側が一定を目指しても多少は異なります。そのため、同じ日本語能力でも、受けた試験によっては、全く異なる点数となることがあります。
このような事態を防ぐために、等化という方法を利用して、いつも同じ物差しで測れるように工夫がされています。

尺度得点制度については、こちらのPDFで紹介されていますので、あわせてご参照ください。

レベル別Can-doリストの提供あり

レベル別Can-doリストが提供されています。
レベル別Can-doリスト」についてまず簡単に説明します。
これは日本語能力試験の合格者レベルと、そのレベルの合格者が、日本語で何ができるかをまとめたリストです。
このリストを利用すると、日常生活などで、日本語を使って何ができるかを具体的にイメージすることができます。

例えば、このリストを使うと、~~をするためにはどのくらいの日本語力が必要なのか受験者がわかりますし、また採用する側も、日本語でどのレベルのことができるか具体的に判断することができます。

この「レベル別Can-doリスト」は、2010年と2011年の日本語能力試験の受験者の約65,000人にアンケートを行って作成されたものなので、信憑性も高いものです。

日本語検定のN1~N5はどれくらいのレベル?

日本語検定のN1~N5はどれくらいのレベル?

日本語能力試験にはN1、N2、N3、N4、N5の5つのレベルがあり、最も難しいレベルがN1、最もやさしいレベルがN5です。

それぞれのレベルを、詳細に説明していきますが、ざっくり分けると以下のようになります。

N1、N2、N3=社会生活レベル
日常生活や仕事の場で話される日本語力がどの程度理解できるかを測ります。

N4、N5=日常生活レベル
教室内で学ぶ「基本的な日本語」を、どの程度理解できるかを測ります。

以下でそれぞれのレベルについて、詳細に説明します。

N1

非常に高いレベルの日本語力があることが証明されます。

読む能力
新聞や評論などの、論理的で複雑な文章を日本語で読み、内容を理解することができます。
また経済や芸術などの本や、小説を読んでも、内容を理解することができます。

聞く能力
日常生活や職場などで使われる、一般的なスピードの日本語を正確に理解することができます。
またニュースを聞いても、内容や登場人物の関係だけではなく、論理的な構成までも詳細に理解することができます。

N2

日常的な場面でよく使われる日本語は理解できることが証明されます。

読む力
新聞や雑誌の記事、わかりやすく書かれた評論など、要旨がわかりやすい文章であれば内容が理解できます。
また専門的でない読み物であれば、話の流れを理解したり、表現のニュアンスを汲み取ったりすることができます。

聞く力
日常生活の中で、日本人が普通に話すスピードの日本語であれば、大体の内容を理解できます。まとまりのある会話や、ニュースを聞いた場合、話の流れと登場人物の関係、また要旨を理解することができます。

N3

日常的な場面の日本語を、だいたい理解できることが証明されます。

読む力
日常的な話題について具体的に書かれた文章を、理解することができます。また新聞の見出しを見て、その記事の内容をだいたい把握できます。
ちょっと難しい文章なども、簡単な言葉への言い換えがあれば要旨を理解できます。

聞く力
日本人が自然なスピードで話す会話を聞いて、具体的な内容と登場人物の関係を理解できます。

N4

日本語の基礎が身についています。
また日常会話でよく使われる日本語なら、理解できます。

読む力
ひらがなやカタカナ、基本的な漢字を使って書かれた文章を、理解できます。ただし専門的でなく日常生活の身近な話題の文章に限ります。
また簡単な説明書や、飲食店のメニューなど、日常生活でしばしば見かける日本語も理解できます。

聞く力
ややゆっくり話される会話なら、ほぼ内容が理解できます。
具体的には、飲食店の店員の案内などは理解し、だいたい適切な返事を返すことができます。

N5

基本的な日本語を、ある程度は理解できます。

読む力
ひらがなやカタカナ、日常生活でよく使われる基本的な漢字で書かれた簡単な文章を理解することができます。

聞く力
日常生活でよく出会う場面で、ゆっくり話される短い会話なら理解することができます。
また短い会話なら、必要な情報の聞き取りができます。

試験科目の詳細

試験科目について説明します。

N1

言語知識(文字・語彙・文法)と読解:110分
聴解:55分

N2

言語知識(文字・語彙・文法)と読解:105分
聴解:50分

N3

言語知識(文字・語彙):30分
言語知識(文法)と読解:70分
聴解:40分

N4

言語知識(文字・語彙):25分
言語知識(文法)と読解:55分
聴解:35分

N5

言語知識(文字・語彙):20分
言語知識(文法)と読解:40分
聴解:30分

受験の流れ

日本で日本語能力試験を受ける場合の流れについて説明します。

  1. 実施日程の確認 日本国際教育支援協会のウェブサイトで試験日程を確認します。
  2. MyJLPTの登録 日本国際教育支援協会のウェブサイトから、MyJLPTに登録します。
    MyJLPTは、試験の申し込みや結果の確認などを行うためのサービスです。
  3. 申込みと受験料支払い 日本国際教育支援協会のウェブサイトから申し込み、受験料の支払いを行います。受験料は7,500円で、支払い方法は、コンビニ払いやクレジットカードなどから選ぶことができます。
  4. 受験票の発送 日本国際教育支援協会から、受験票が郵送で届きます。
  5. 受験 まず言語知識(文字・語彙・文法)と読解の試験を受け、そのあとが聴解の試験です。
  6. 結果発表 結果は、MyJLPTにログインして確認することができます。また受験者全員に合否通知書が発送されます。

受験資格

母語が日本語でない人は、誰でも受験できます。
日本国籍の有無は一切関係ありません。また年齢制限もありません。

例題

例題は、日本語能力試験のページから確認できます。
例えばN2のレベルであれば、以下のような問題が出題されます。
こちらの例題ページより紹介します。

問題:この黒い「種」からどんな花がさくのだろうか。
「種」の読み方として正しいものはどれか。
1だね 2たね 3じゅ 4しゅ

N2であれば以上のような問題が出題されます。

証明書の発行方法

証明書の発行方法

証明書は受験した場所によって、発行方法が変わりますので詳しくは日本語能力試験のページを参照してください。
日本で受験している場合には簡単で、MyJLPTにログインして、「受験結果・証明書発行」ボタンをクリックして、流れに沿って手続きを進めるだけです。
また2019年以前に紙願書で申し込んだ場合には、成績証明書申請用のMyJLPTにログインして申請するため、少し手続き方法が違うので注意してください。

まとめ

日本語試験のN1~N5のレベルなどについて説明しました。
ざっくり分類すると、N1、N2、N3=社会生活レベルとなっています。
具体的には、日常生活や仕事の場で話される日本語力がある程度理解できる、もしくはよく理解できるレベルです。
一方、N4、N5=日常生活レベルで教室内で学ぶ「基本的な日本語」が理解できるレベルとなっています。

またそれぞれのレベルの合格者が、具体的にどのようなことができるのか、理解できるのかは、「レベル別Can-doリスト」を確認することで、具体的にイメージをすることができます。
こちらも有効に活用して、受験する場合にはどこまで目指すのか、また採用する場合には何ができるのかを見極めるとよいでしょう。

この記事を書いたライター
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カナエル運営事務局

外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。