「在留資格認定証明書」は、外国人本人が在留資格の条件に適合していることを証明する重要な書類です。
外国人を雇用する際、海外から招へいするときには、様々な書類が必要ですが、とくにビザ(査証)の発給や入国審査をスムーズに進めるための書類が、在留資格認定証明書です。
在留資格認定証明書は、外国人を受け入れる側の企業や学校が、日本の出入国在留管理庁に外国人本人に代わって申請することができます。外国人本人も申請手続きできますが、外国人本人が外国にいる状態で書類を申請することを考えると、日本の受け入れ側である企業が申請手続きをしたほうが安心です。
在留資格認定証明書の申請について、申請方法や注意点を詳しく解説していきます。
目次
在留資格認定証明書について
在留資格認定証明書は、日本に入国して中長期的に就労などの活動をしようとする外国人が、その活動をするための在留資格の条件に合っていることを証明する書類です。
入国前にあらかじめ行う申請書で、申請すると法務大臣による審査が行われます。審査の結果、在留資格の条件に適合すると認められると、「在留資格認定証明書」が交付されます。
在留資格認定証明書が交付されたら、在留資格認定証明書の原本を、内定者である外国人本人に送り、外国人は在留資格認定証明書の原本をもって日本大使館(大使館・領事館)にビザ(査証)の申請をします。ビザ(査証)が発給されたら、日本に入国し、入国審査後に在留カードが交付される、というのがおおまかな流れです。
「在留資格認定証明書」を入国の手続きに使う場合の流れ
- 在留資格認定証明書の申請に必要な書類を集めるなど、準備をする
- 在留資格認定証明書の申請書類を作成する
- 在留資格認定証明書申請を出入国在留管理庁(入管)に提出する(書類審査)
- 結果の通知を受ける(在留資格認定証明書の交付)
- 申請した外国人本人へ原本を送付する(外国に郵送)
- 在外日本大使館・領事館への査証(ビザ)申請
- 査証(ビザ)の発給
- 日本への上陸
- 在留カードの交付
- 住民登録申請の手続き
「在留資格認定証明書」の申請書や採用理由書に外国人の学歴、会社の事業概要などの資料が必要です。在留資格認定証明書交付申請書を出入国在留管理庁に申請しますが、この申請は外国人を受け入れる採用会社の担当者が行うことが多いです。申請を申請取次行政書士などの専門家に依頼する場合もあります。これは、書類作成・提出・出入国在留管理局への出頭もまかせられるためです。
在留資格認定証明書交付申請書の提出方法
使用有効期限は交付から3か月以内となっています。申請するために書類を収集したり書類作成をすることを考えると、入国前に余裕をもって準備し、申請書類を提出することをおすすめします。
また、在留資格認定証明書の申請は、誰にでもできるわけではありませんので注意が必要です。
申請可能な者は以下の通りになります。
- 日本への入国を希望する外国人本人(申請人本人)
- 採用した会社の人事担当など受入れ機関の職員(法務省令で定める代理人)
- 弁護士、申請取次行政書士(特定の条件を満たす申請取次者など)
提出時の添付書類
在留資格認定証明書の申請は、在留資格(日本での活動内容)に応じた申請書・資料の提出が必要です。
- 在留資格認定証明書申請書
- 申請取次者を介して複数の申請人について同時申請する場合は申請人名簿
- 写真(規定あり)
- 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記し、必要な額分の郵便切手を貼付)
- 採用・職務内容説明書
- 申請人の履歴書
- 最終学歴の証明書(卒業証書)
- 職歴を証明する文書
- 申請人と扶養者の身分関係を証明する戸籍謄本、結婚証明書の写し、出生証明書の写しなど
- 扶養者の職業、収入を証明する在職証明書、営業許可書の写し、課税証明書・納税証明書など
-
在留資格「特定技能」の場合は以下のような書類が必要です
・申請人本人に関する必要書類(報酬に関する書類、雇用契約書の写し、雇用条件書の写し、雇用の経緯に係る説明書、徴収費用説明書、健康診断個人票など)
・所属機関に関する必要書類(特定技能所属機関概要書、登記事項証明書など)
・特定技能の分野に関する書類(技能検定の合格証の写し、日本語能力試験N4以上の合格証明書の写しなど)
申請書の記載事項
在留資格認定証明申請書は、在留資格を取得するための条件に足りている人物であることを証明するものですので、在留資格取得と同等の審査が行われます。このため、申請書類の記載事項も多く、書類に書かれていることを裏付けるための添付資料も必要になってきます。
申請書類に記載されている事項と添付資料に相違がないよう、慎重に作成しなければなりません。また、在留資格の種類によって添付する資料が大きく異なります。書類の不足や、申請書類と公的書類の不一致がないよう、丁寧に準備することが大切です。
在留資格認定証明申請書の記載事項は次のとおりです。
- 申請人(外国人本人)の基本事項
- 申請人の国籍・パスポート情報
- 申請者の在留資格
- 申請者の日本への入国・滞在の目的
- 申請者の受入れ機関(企業や学校)の基本事項
- 申請者の受入れ機関の受入れ理由
- 申請する在留資格
- 在留資格の取得を希望する理由
- 申請者の日本への入国・滞在の目的
- 受入れ機関が申請者に求める能力・経験・資格
申請の注意点
申請書類は、在留資格ごとに必要となる書類が異なります。必要な書類は、出入国在留管理庁のサイトや、最寄りの地方出入国在留管理局で確認します。
在留資格認定証明申請には、申請料が必要です。申請料は、在留資格ごとに異なります。申請料は、地方出入国在留管理局の窓口で納付するか、郵便局で納付用紙を送付して納付します。
在留資格認定証明申請には、申請期限があります。申請期限は、申請する在留資格ごとに異なります。
犯罪歴や過去の出入国歴があると、在留資格の取得が認められない可能性があります。
申請する先
在留資格認定証明書の提出先は、居住予定地・受入機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署または外国人在留総合インフォメーションセンターです。また、在留資格認定証明書の申請はオンラインで行うこともできます。
就労資格の種類
一の表(就労資格)
入管法別表第一の表(就労資格)は、日本で就労活動をするための在留資格です。
一の表(就労資格)に記載されている在留資格は、在留資格に沿った活動であることを証明できれば、上陸許可基準の適用を受けなくても許可を受けることができます。
日本政府が承認した外国政府や国際機関の公務に従事する者やその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動、収入をともなう、音楽・美術・文学・その他の芸術上の活動です。
入管法別表第一の表(就労資格)には、次の就労資格があります。
- 外交
- 公用
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
二の表(就労資格,上陸許可基準の適用あり)
入管法別表第二の表(就労資格、上陸許可基準の適用あり)は、日本で就労活動をするための在留資格ですが、一の表では必要のない「上陸許可基準の適用」が必要です。
一の表に記載のある在留資格は活動の証明ができればよいですが、二の表に記載されている在留資格は上陸審査を受けることが必要になります。例えば、特定技能の在留資格で入国したいとき、技能試験の合格証に加えて、日本の企業と雇用契約を結んでいること、日本での生活に関する支援計画がたてられていることなど、添付書類を準備して示す必要があります。
入管法別表第二の表には、次の就労資格があります。
- 高度専門職
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務
- 企業内転勤
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能
- 技能実習
短期滞在ビザと資格
短期滞在ビザを取得する場合は、在留資格認定証明書の取得は不要です。
短期滞在ビザは、俗に観光ビザと呼ばれることもありますが、観光やビジネスで訪れたり、国際結婚などで親族に挨拶するための滞在など、一時的な目的で入国するためのものなので、短期滞在ビザで日本に滞在する外国人は、就労活動を行うことはできません。
日本大使館・領事館での審査が通ると、短期滞在ビザが交付されます。短期滞在ビザを取得した外国人は、日本入国時に提示することで、日本へ入国できます。
短期滞在ビザの資格は次のとおりです。
これらの資格の活動を行うことを目的として、日本に90日以内の短期滞在を希望する外国人は、短期滞在ビザを取得することができます。
観光
観光には、旅行会社が企画するツアーだけでなく、個人で自由に旅行することも含まれます。
保養
保養とは、健康や体力を回復するために、温泉やリゾート地などで休養することです。保養には、旅行会社が企画するツアーだけでなく、個人で自由に保養することも含まれます。
スポーツ
スポーツは、日本に滞在して、スポーツの大会や合宿に参加することです。スポーツには、プロの選手として参加するだけでなく、アマチュアとしての参加も含まれます。
親族の訪問
親族の訪問とは、日本に滞在する親族や知人を訪問することです。親族の訪問には、結婚や出産などの慶事の時に訪問するだけでなく、日常の訪問することも含まれます。
見学
見学とは、博物館や美術館、工場などを見学することです。見学には、旅行会社が企画するツアーだけでなく、個人で自由に見学することも含まれます。
講習または会合への参加
講習または会合への参加とは、日本に滞在して、研修や会議などに参加することです。講習または会合への参加には、旅行会社が企画するツアーに参加するだけでなく、個人で自由に参加することも含まれます。
業務連絡
業務連絡とは、日本に滞在して、海外の企業や団体との業務連絡を行うことです。業務連絡は、旅行会社のツアーに参加するだけでなく、個人での自由旅行も含まれます。
短期滞在ビザ相互免除
短期滞在ビザ相互免除は、日本と他の国との間に締結されている協定に基づいて両国国民が、90日以内の短期滞在が目的であれば、在留資格を取得することなく、相手国の入国を許可される制度です。
短期滞在ビザ相互免除の対象となる国は、70カ国・地域です。日本と短期滞在ビザ相互免除協定を締結している国籍の外国人は、観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習または会合への参加、業務連絡などの短期滞在の目的であれば、日本に入国するときに、パスポートと往復航空券などを提示することで日本への入国ができます。
ビザ免除措置国・地域一覧
日本政府発行のパスポート保有者は、旅行、ビジネス、トランジット目的の場合、ビザなしで入国できる国があります。
ビザ免除措置が適用される国・地域には、次の場所があります。
アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン。
外交・公用旅券所持者には、シンガポール、グアテマラ、コスタリカ、スリナム、イスラエル、ブルネイ、バルバドス、ホンジュラス、メキシコ、モーリシャスなどでビザが免除されます。
日本政府発行のパスポート保有者は、ベラルーシ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、韓国、ノルウェー、ロシア、スペイン、スウェーデン、イギリスでも、15日以内の滞在であればビザが免除されます。
在留カードと在留管理制度
在留カードとは
在留カードは、日本に3ヶ月以上滞在する外国人に対して交付される身分証明書で、常に携帯することが法律で義務付けられています。
在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間及び在留期間の満了日、在留カード番号、交付年月日および在留カード有効期間の満了の日、就労の可否などが記載されています。
在留カードは、上陸許可や在留資格の変更許可、在留期間の更新許可などの在留に係る許可に伴って交付されます。在留カードには偽変造防止のためのICチップが搭載されていて、カード面に記載された事項の全部又は一部が記録されます。
在留カードの対象者・有効期間
在留カードは、日本で中長期(3カ月以上)在留する外国人に発行されます。
在留カードの対象者は次のとおりです。
- 在留資格「留学」「就労」「家族滞在」「定住者」を取得した外国人
- 在留資格「永住者」を取得した外国人(16歳以上の者に限る)
- 在留資格「高度専門職2号」を取得した外国人
在留カードの有効期間は、次のとおりです。
- 在留資格「留学」「就労」「家族滞在」を取得した外国人:在留期間の満了日まで
- 在留資格「永住者」を取得した外国人(16歳以上の者に限る):交付日から7年
- 在留資格「高度専門職2号」を取得した外国人:交付日から7年
在留カードは、日本に在留する外国人の重要な身分証明書です。
再入国許可
再入国許可は、日本に在留する外国人が、一時的に外国へ出国する時に、出入国管理の煩雑さを省略するための制度です。
日本に在留する外国人が、一時的に外国へ出国し再び日本に戻る予定の時に、出入国管理を簡略化するために日本を出国前にあらかじめ日本国政府から与えられる許可です。
再入国許可の対象となる外国人は次のとおりです。
- 在留資格を取得し、日本に在留している外国人
- 在留資格の取得を申請中である外国人
再入国許可の有効期間は、原則として1年ですが、入国審査官の裁量によって3年まで延長することができます。
再入国許可の申請は、地方出入国在留管理局で行います。申請には、申請書類の提出と申請料の納付が必要です。
申請書類には、申請者の基本事項や在留資格の取得を希望する理由、出国予定先、出国・再入国の予定などが記載されています。
地方出入国在留管理局での審査に通過すると再入国許可が交付されます。再入国許可を取得した外国人は、出国時に再入国許可書を提示することで入国時の査証検査を省略することができます。
みなし再入国許可
みなし再入国許可とは、日本に在留する外国人が、出国日より原則として1年以内に再入国をする場合、通常の再入国許可の取得を不要とするものになります。
みなし再入国許可の有効期間は、出国日から1年間で、在留期限が1年以内に切れる場合は在留期限までとなります。
みなし再入国をするためには、出国時に、有効な旅券を所持し、再入国出国記録に再入国予定であることをチェック欄にチェックをする必要があります。
みなし再入国許可は再入国の手続きをより簡略化したものになり、利用するためには条件がありますが、一時的に出国をする外国人にとって役立つ仕組みになります。
就労外国人の家族について
就労資格のある外国人の家族が再入国許可を取得するときは、次の要件を満たす必要があります。
- 在留資格「家族滞在」を取得し、日本に在留している
- 扶養する就労外国人が、再入国許可を取得している
- 再入国許可の申請時に、扶養する就労外国人が日本に在留している
- 就労外国人の配偶者が出産を予定している
就労資格のある外国人の家族が再入国許可を取得するには、次の書類を提出する必要があります。
- 再入国許可申請書
- 在留カードまたは外国人登録証明書
- パスポート
- 再入国許可申請理由書
- 出国予定先、出国・再入国の予定が記載された書類
- 扶養する就労外国人の在留カードまたは外国人登録証明書の写し
再入国許可の審査は、入国審査官の裁量により行われますが、原則として、扶養する就労外国人が日本に在留していて、再入国後も日本に在留する意思があることが認められた場合に、再入国許可が交付されます。
在留期間更新及び在留資格変更
在留期間の更新
在留期間更新とは、日本に在留する外国人が、所持している在留資格の種類を変更することなく、在留期間の満了日以降も引き続き日本に在留を希望する場合に、在留できる期間を更新する手続きです。
在留期間更新の申請は、最寄りの地方出入国在留管理局で行います。申請には、申請書類の提出と申請料の納付が必要です。
申請書類には、申請者の基本事項や在留資格の取得を希望する理由、日本での活動内容、日本での生活状況などが記載されています。申請料は、在留資格の種類によって異なります。
地方出入国在留管理局での審査に通ると、在留期間更新許可が交付されます。在留期間更新許可を取得した外国人は、新たに設定された在留期間の満了日まで日本に在留することができます。
在留期間更新の申請は、在留期間が満了する日より前にする必要があります。在留期間更新の申請が認められなかった場合は、一度帰国し、あらためてビザ(査証)を取得してから、上陸申請を行い上陸審査手続きして上陸許可を受ける必要があります。
在留期間更新の申請を行うことができるのは次のような外国人です。
- 在留資格を取得し、日本に在留している外国人
- 在留資格の取得を申請中である外国人
在留期間更新の審査は、入国審査官の裁量により行われ、次の要件を満たした外国人に在留期間更新許可が交付されます。
- 在留資格の取得を希望する理由が正当である
- 日本での活動内容が適正である
- 日本での生活状況が安定している
在留期間更新の申請をする時は、次の点に注意が必要です。
- 在留期間の満了日までに申請を行う必要がある
- 申請書類の記載内容に不備がないように注意する
- 申請料を納付する必要がある
在留資格の変更
在留資格の変更とは、日本に在留する外国人が、今持っている在留資格を変更して、別の在留資格に該当する活動をする場合、法務大臣に対して在留資格の変更許可申請をして、所持する在留資格を新しい在留資格に変更するための手続きです。
在留資格の変更の申請は、地方出入国在留管理局で行います。申請には、申請書類の提出と申請料の納付が必要です。
申請書類には、申請者の基本事項や在留資格の取得を希望する理由、日本での活動内容、日本での生活状況などが記載されています。申請料は、在留資格の種類によって異なります。
地方出入国在留管理局での審査に通過すると、在留資格変更許可が交付されます。在留資格変更許可を取得した外国人は、新しい在留資格に該当する活動を行うことができるようになります。
在留資格変更の申請をするのは、次のような外国人です。
- 在留資格を取得し、日本に在留している外国人
- 在留資格の取得を申請中である外国人
在留資格の変更の審査は、入国審査官によって行われますが、次の要件を満たした外国人に在留資格変更許可が交付されます。
- 在留資格の取得を希望する理由が正当である
- 日本での活動内容が適正である
- 日本での生活状況が安定している
在留資格の変更の例としては、次のようなものがあります。
- 留学生が、就職するために「留学」から「就労」に変更する
- 技能実習生が、技能実習の修了後に、特定技能に変更する
- 配偶者が、配偶者ビザから永住者ビザに変更する
まとめ
日本で働きたい外国人にとって在留資格はとても重要で、なくてはならない資格です。自分の能力・働き先での役割・元気に働ける健康状態であることなど、さまざまな角度から取得したい在留資格にふさわしい人物であることを証明しなければなりません。
在留資格取得のための審査には時間を要します。短期滞在ビザで入国して滞在期間中に在留資格変更の手続きをすることもできますが、短期滞在ビザでは就労できないことや、もし在留資格の審査が通らずに帰国しなければならなくなった場合、外国人本人も受入れ機関である企業も多くの時間やお金をロスすることになってしまいます。何より、人員不足を補うための外国人雇用なのにそれもかないません。
在留資格変更許可申請は、外国人本人が母国である海外にいる段階から申請することができます。これは、企業にとっても外国人本人にとってもメリットが大きいので、在留資格認定証明書を使用した入国審査を選択することをおすすめします。