農業分野の特定技能試験について徹底解説!

農業分野の特定技能試験について徹底解説!

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特定技能制度について

特定技能制度について

まず特定技能制度について、説明します。
特定技能制度とは、人手不足が深刻な産業で、即戦力の外国人を受け入れる制度です。
もともと外国人を受け入れる制度には、技能実習制度がありました。
ですが特定技能の場合には、技能実習制度とは違い、技能試験と日本語試験をパスしなければなりません。ですので特定技能制度で受け入れる外国人は、その分野における一定以上の技能スキル・日本語能力がある即戦力として活躍してくれます。
この即戦力の外国人を受け入れる特定技能制度は2019年4月に新設され、漁業をはじめとする12の産業分野で受け入れが可能です。

またこの特定技能は1号と2号に分かれています。
特定技能1号は、即戦力の外国人です。
特定技能2号は、1号よりもより習熟した技能・技術をもつ外国人労働者が取得できます。

特定技能1号評価試験とは

技能実習の場合と違い、「特定技能」取得のためには、特定技能評価試験と日本語試験にパスする必要があります。技能試験は名前の通り、その産業分野において、即戦力として動けるか最低限のスキルがあるかをチェックされます。
以前は特定技能試験を受けるには、中長期在留者である必要がありました。
ですが現在は在留資格を持つ方全員に、受験資格が与えられています。
ですので短期滞在のビザで入国して、特定技能試験を受験するということが可能になっています。

農業分野の試験問題について解説

農業分野の試験問題について解説

農業分野の試験問題について、詳細に解説していきます。
まず試験時間は60分となっています。
ちなみに試験の説明などはこの60分間には含みません。

実際の試験は以下の3つになります。

  1. 日本語試験
  2. 学科試験
  3. 実技試験

問題数はだいたい70問程度です。

耕種農業と畜産農業の2つの分野に分かれています。

学科試験

続いて、農業技能測定試験の学科試験の出題範囲などについて説明します。
ここでは畜産農業の試験範囲について説明します。
畜産農業の試験では、以下の知識が問われます。

  1. 畜産農業一般に関する知識
  2. 安全衛生
  3. 酪農
  4. 肉用牛
  5. 養豚
  6. 養鶏
  7. 軽種馬
  8. 養蜂

以下でより詳細に説明します。

畜産農業一般に関する知識

こちらでは以下の5点について確認されます。

  1. 牛、豚、鶏、軽種馬、蜜蜂の名称や利用法
  2. 舎内の温度管理
  3. 家畜の給餌・給水・家畜の状態について
  4. 緊急時対応
  5. 糞尿の堆肥化

安全衛生

安全衛生では以下の事柄について問われます。

  1. 家畜の性格
  2. 舎内清掃
  3. 履き物等の消毒
  4. 消毒薬
  5. 電気・燃油

酪農

酪農では以下の事柄について問われます。

  1. 品種
  2. 繁殖・生理
  3. 飼養管理

繁殖・生理では以下の事柄が問われます。

  • 発情
  • 交配
  • 妊娠
  • 分娩
  • 人工授精

飼養管理では、以下の事柄が問われます。

  • 牛舎様式
  • 飼育様式
  • 育成
  • 子牛管理
  • 繁殖牛
  • 肥育牛
  • 疾病
  • 飼育密度
  • 給水
  • 飼料設計・給餌
  • 哺乳
  • 離乳
  • 環境管理
  • 搾乳
  • 生乳出荷

肉用牛

肉用牛では、以下の内容が確認されます。

  1. 品種
  2. 繁殖・生理
  3. 飼養管理

繁殖・生理では、以下の事柄が問われます。

  • 発情
  • 交配
  • 妊娠
  • 分娩
  • 人工授精

飼養管理では、以下の事柄が問われます。

  • 牛舎様式
  • 飼育様式
  • 育成
  • 子牛管理
  • 繁殖牛
  • 肥育牛
  • 疾病
  • 飼育密度
  • 給水
  • 飼料設計・給餌
  • 哺乳
  • 離乳
  • 環境管理
  • 生体出荷

養豚

養豚では以下の内容を確認されます。

  1. 品種
  2. 繁殖・生理
  3. 飼養管理
  4. 安全衛生

繁殖・生理では以下が問われます。

  • 発情
  • 交配
  • 人工授精
  • 妊娠
  • 分娩
  • 哺乳
  • 離乳
  • 発情再帰

飼養管理では以下が問われます。

  • 哺乳子豚
  • 子豚
  • 肥育豚
  • 妊娠豚
  • 分娩豚
  • 授乳豚
  • 離乳豚
  • 種雄豚
  • 豚舎様式
  • 飼育様式
  • 育成
  • 疾病
  • 飼育密度
  • 給水
  • 飼料設計・給餌
  • 環境管理
  • 生体出荷

養鶏

養鶏では以下の内容が確認されます。

  1. 銘柄・卵殻
  2. 繁殖・生理
  3. 飼養管理
  4. 安全衛生

繁殖・生理では以下の内容が問われます。

  • 体温
  • 孵化
  • 初産日数
  • 産卵
  • 照明
  • 卵重
  • 体重
  • 呼吸
  • 換羽
  • 糞尿

飼養管理では以下の内容が問われます。

  • 鶏舎様式
  • 飼育様式
  • 育すう
  • ひな監理
  • 換気
  • 疾病
  • 騒音
  • 断嘴
  • 飼育密度
  • 給水
  • 飼料設計・給餌
  • 環境管理
  • 淘汰・出荷

安全衛生では以下の内容が確認されます。

  • 害虫
  • 害獣
  • 伝染病
  • ワクチン

軽種馬

軽種馬で確認されることは以下の3つです。

  1. 品種
  2. 繁殖・生理
  3. 飼養管理

養蜂

養蜂で確認されることは以下の3つです。

  1. 品種
  2. 繁殖・生理
  3. 飼養管理

実技試験

続いて実技試験の出題について、説明します。
実技試験の出題範囲については、一般社団法人全国農業会議所のHP掲載の農業技能測定試験(畜産農業全般)の試験基準概要より引用いたします。

酪農

以下、酪農の実技試験問題の範囲について、引用します。
(1)器具の取扱い
・酪農器具の利用目的と使用

(2)個体の観察
・異常牛、発情牛の識別
・牛の体型の識別

(3)飼養管理
・飼料原料の識別
・牛舎の環境状況の識別
・飼料給餌の手順

(4)生産物の取扱い
・搾乳作業の手順、搾乳用器具と利用目的

(5)安全衛生
・安全な作業着を身につけること
・消毒液の取扱い
・牛床の状態の識別

肉用牛

以下、肉用牛の実技試験問題の範囲について、引用します。
(1)個体の観察
・品種名と、その特徴の識別
・異常牛、発情牛の識別
・繁殖牛、肥育牛の識別
・牛の体型の識別

(2)飼養管理
・飼料原料の識別
・牛舎の環境状況の識別
・飼料給餌の手順

(3)安全衛生
・安全な作業着を身につけること
・消毒液の取扱い
・牛床の状態の識別

養豚

以下、養豚の実技試験問題の範囲について、引用します。
(1)個体の取扱い
・子豚の移動、保定

(2)個体の観察
・品種名と特徴
・豚体の構造、測定
・発情豚、異常豚の識別
・繁殖豚、肥育豚の識別
・出荷豚の識別

(3)飼養管理
・飼料原料、飼料の識別

(4)安全衛生
・安全な作業着を身につけること
・消毒液の取扱い

養鶏

以下、養鶏の実技試験問題の範囲について、引用します。
(1)個体の取扱い
・鶏の捕獲、保定、運搬、断し

(2)個体の観察
・品種の識別
・鶏体の構造
・異常鶏の識別

(3)飼養管理
・飼料原料、飼料の識別
・飼養器具の取扱い

(4)生産物の取扱い
・鶏卵の取扱い
・異常卵の識別
・卵質の識別

(5)安全衛生
・安全な作業着を身につけること
・消毒液の取扱い

日本語試験

日本語試験

また現場で「即戦力となる」ことが特定技能の条件ですので、一定レベル以上の日本語力が必要となります。
日本語能力を示すために日本語試験の受験が必要です。
日本語試験は「日本語能力試験」か「国際交流基金日本語基礎テスト」のどちらかで、基準点以上の取得が必要です。

日本語能力試験(JLPT)

日本語能力試験は、国際交流基金と日本国際教育協会(現日本国際教育支援協会)が開始しました。初めは受験者が7000人ほどでしたが、2011年になると61万人、2023年には148万人もの外国人が受験する現在世界最大規模の日本語試験です。

こちらの日本語能力試験はN1、N2、N3、N4、N5の5段階のレベルに分けられています。
それぞれのレベルですが、N1が最も難しく、N5が最も易しいです。
N1になると、ほとんどの場面で自然なスピードで話される日本語が理解できるレベルとなります。具体的にはテレビのニュースなどを聞いて、大体の内容が理解できるレベルです。
中間のN3となると、少しゆっくりであれば、ある程度ボリュームある会話も理解できるレベルです。

特定技能を取得するためには、日本語能力試験ではN4の取得が必要です。
N4の取得には、180点満点中90点取得が必要です。
得点の配分ですが、言語知識が60点満点、読解が60点満点、聴解が60点満点となっています。それぞれ19点が基準点となっており、1科目でも19点を下回ると取得ができません。

国際交流基金日本語基礎テスト

国際交流基金日本語基礎テストと、日本語能力試験とには大きな違いはありません。こちらも日本語能力を測定する試験です。
CBT方式のため、各国のテスト会場でコンピューターで問題を受けて回答します。
コンピューター画面に表示される問題を解いたり、ヘッドフォンを繋いでそこから流れる音声を聞いて回答したりします。

国際交流基金日本語基礎テストの場合には、6段階のレベルに分かれています。
A1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階で、A1が最も簡単でC2が最も難度が高いです。
特定技能を取得するにはA2の取得が必要です。
このA2は、自分の周りの物事や状況について簡単な言葉で説明できて、簡単な日常会話が問題なくできるレベルであれば、取得ができます。

国際交流基金日本語基礎テストの場合には、「文字と語彙」「会話と表現」「聴解」「読解」の4つの分野で構成されており、それぞれ約12問となっています。全部で約50問であり、受験時間は60分です。例えば「文字と語彙」から「会話と表現」のように別のセクションに移る場合には、やり直し見直しなどができませんので注意が必要です。

日本語能力試験のN4も、国際交流基金基礎テストのA2も、難易度はほぼ同等になっています。またどちらも受験する必要はなく、どちらかでN4かA2を取得すれば問題ありません。

合格証明書の交付申請

無事、技能試験と日本語試験にパスした後は、合格証明書の交付申請が必要です。
なぜなら特定技能ビザを申請するには、特定技能の合格証明書が必要だからです。
難しい手続きではないのですが、交付申請をしてから、1〜2週間くらいかかることが多いため、交付申請は早めに行うように心がけましょう。

試験の注意点

日本国内での試験の注意点について、簡単に説明します。

持ち物

当日は、本人確認書類と、印刷した確認書が必要です。
本人確認書類は、パスポートか在留カードです。コピーは無効なため、必ず原本が必要です。また確認書も、印刷されたものがない場合には受験ができません。

携帯電話・時計はロッカーに

本人確認書類以外のもの、例えば携帯電話・筆記用具・腕時計などは、全てロッカーに預けなければいけません。例え腕時計であったとしても、持ち込みをした場合には不正行為として認定されます。

時間厳守

受付は試験開始の30分前から15分前までに、済ませる必要があります。
万が一、試験開始の15分前までに受付ができていない場合には、そもそも受験をすることができませんので注意しましょう。

そのほか、特定技能試験についての注意点はPROMETRICにて確認できます。
あわせてご参照ください。

試験の対策

試験の対策として、こちらのページの学習用テキスト・サンプル問題が非常におすすめです。
特に学習用テキストは、カラーで詳細に同業界を基礎から解説しています。
また日本語だけではなく、日本語を含む14言語に対応しています。
日本語以外の対応言語は、英語、カンボジア(クメール)語、インドネシア語、ミャンマー(ビルマ)語、タイ語、ベトナム語、中国語、ネパール語、モンゴル語、ウズベク語、シンハラ語、ヒンディー語、ベンガル語になります。

上記サイトには、カラーのわかりやすい農業に関する学習テキストだけではなく、サンプル問題や、日本語学習用テキストも掲載があります。
無料で利用できる上記のテキスト・サンプル問題がありますので、まずはこちらに繰り返し取り組むことが良いでしょう。

まとめ

最後に、今回の記事を簡単に振り返ります。

特定技能制度について

特定技能制度とは、人手不足が深刻な産業で、即戦力の外国人を受け入れる制度です。
特定技能制度で受け入れる外国人は、その分野における一定以上の技能スキル・日本語能力があるため、即戦力として活躍してくれます。

農業分野の試験問題について解説

試験時間は60分で、日本語試験、学科試験、実技試験があり、問題数はだいたい70問程度です。耕種農業と畜産農業の2つの分野に分かれています。

日本語試験

日本語試験は「日本語能力試験」か「国際交流基金日本語基礎テスト」のどちらかで、基準点以上の取得が必要です。

日本語能力試験(JLPT)

特定技能を取得するためには、日本語能力試験ではこのN4の取得が必要です。
N4の取得には、180点満点中90点取得が必要です。
得点の配分ですが、言語知識が60点満点、読解が60点満点、聴解が60点満点となっています。それぞれ19点が基準点となっており、1科目でも19点を下回ると取得ができません。

国際交流基金日本語基礎テスト

国際交流基金日本語基礎テストの場合には、6段階のレベルに分かれています。
A1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階で、A1が最も簡単でC2が最も難度が高いです。
特定技能を取得するにはA2の取得が必要です。

試験の対策

こちらのページの学習用テキスト・サンプル問題が非常におすすめです。
特に学習用テキストは、カラーで詳細に同業界を基礎から解説しています。
日本語以外の対応言語は、英語、カンボジア(クメール)語、インドネシア語、ミャンマー(ビルマ)語、タイ語、ベトナム語、中国語、ネパール語、モンゴル語、ウズベク語、シンハラ語、ヒンディー語、ベンガル語になります。

この記事を書いたライター
カナエル運営事務局

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外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。