少子高齢化などにより労働力の減少が顕著になりつつある今、外国人を雇用する企業が増えています。
外国人雇用は人材不足を補填できるだけでなく、事業のグローバル化に踏み出すきっかけ作りにもなります。
とはいえ、外国人採用に関するノウハウがなければ募集方法や採用基準などがわからず、余計な負担を増やしかねません。
そこで注目されているのが、外国人採用に特化した外国人向けの求人サイトです。
本記事では、外国人向け求人サイト9選を紹介します。
外国人向け求人サイトを利用するメリット・デメリットや、注意点もあわせて解説していきます。
目次
日本での外国人採用の現状
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出によると、2021年の外国人労働者数は全国で約173万人とのことです。 前年に比べて約2,900人増加しており、届出が義務化された2007年以来、過去最高となりました。 日本国内における労働力不足はさらに深刻化するといわれており、今後も外国人の雇い入れを検討する企業は増えると考えられます。 2019年より開始された「特定技能」や、専門的な優秀人材である「高度外国人材」など政府による積極的な受け入れ促進の結果が反映されているといえるでしょう。
外国人向けの求人サイトを利用するメリット・デメリット
外国人を採用する方法は、求人サイト以外にもフリーペーパーや外国人雇用サービスセンター、コミュニティサイトなどさまざまあります。 そのため、求人サイトを利用する具体的なメリットがわからないという方もいるかもしれません。 ここでは、外国人採用に求人サイトを利用するメリットとデメリットを紹介します。
メリット
まずはメリットからみていきましょう。
優秀な人材に期待できる
サイトごとに特徴は異なるものの、基本的に「外国人向けの求人」に絞っているので求職者が安心して仕事を探せるのが大きな魅力です。 言語表記が日本語以外にも対応している求人サイトも多く、「日本はあまり得意ではないが専門性の高い人材」からの応募にも期待できるでしょう。 なお、サイトによって日本語レベルやビジネススキルレベルなどが異なるため、自社の求める人材にあうサイト選びが肝心です。
外国人採用についての情報をキャッチできる
外国人採用に特化している求人サイトには、外国人労働者に関する専門的な情報発信をおこなっているサービスも多数あります。 外国人を雇用する場合、日本人雇用とは異なる点が多くあり、国が定める外国人雇用のルールに従わなければなりません。 就労ビザや長期滞在に関する法律、住居や銀行開設などの情報を掲載している求人サイトであれば、ノウハウがない企業でもサイトから基礎的な知識を得ることができます。
デメリット
次に、デメリットをみていきましょう。
費用がかかる
外国人向け求人サイトの利用には、求人広告を掲載するための費用がかかります。 ただ、募集をかけても応募者がいなかったり、優秀な人材が集まらなかったりする場合もあるので、費用対効果は十分に考えておきたいところ。 とはいえ人材紹介サービスよりも低コストで利用できることも多く、費用形態によっては採用単価をおさえることも可能です。 なおコストをかけずに求人募集したい場合は、『外国人雇用サービスセンター』のような国が運営している機関を利用するか、自社サイト・SNSを活用するのも1つの方法です。
外国人向け求人サイトを選ぶ際のポイント3つ
では、どのような基準で求人サイトを選べば良いのでしょうか? ここからは、外国人向け求人サイトを選ぶ際のポイントを3つ紹介します。
選び方1サイトのタイプ
外国人向け求人サイトは、大きく「総合型」と「特化型」の2種類にわけられます。 総合型は日本人求職者も使う一般的な求人サイトで、特化型は日本で働きたい外国人向けの求人サイトです。 総合型の求人サイトは日本人の登録者も多いため、サイト全体の登録者数・求人数は特化型に比べて多い傾向にあります。 ただし日本語表記がメインとなることが多く、日本語が堪能な外国人以外の利用は難しいと考えられます。 一方で、特化型の求人サイトは対象者が外国人のみのため、日本語レベルが低い人や日本での就業経験がない人でも使いやすく設計されています。
選び方2費用形態
外国人向け求人サイトはサイトによって費用形態が異なり、おもに以下の3つに分けられます。
【掲載課金型】
掲載課金とは、求人サイトへの求人掲載そのものに費用が発生します。 掲載期間や広告タイプなどによって金額か決まることが多く、何人採用しても料金が変わらないのがメリットです。 複数名募集したい場合に便利ですが、応募数が0人でもコストがかかるというデメリットもあります。
【成果報酬型】
成果報酬型は、求人掲載は無料で「求職者からの応募」もしくは「採用決定」などのタイミングで費用が発生します。 何かしらのアクションがなければ費用は発生しないため、低リスクで無駄なコストをかける心配がないのが大きなメリット。 ただし、1人単位での採用費用がかかることと、採用難易度の高い職種の場合は成功報酬が高い傾向にあるので、費用対効果をしっかり考えなければなりません。
【掲載課金型+成功報酬型】
上記2つをあわせた費用形態で、求人掲載時と採用時(もしくは応募時)に費用が発生します。管理職などのエリートクラスの求人サイトに多いシステムとなっています。 ほかの費用形態に比べてコストへのリスクは高めですが、高度な人材を求める場合に有効です。
外国人向け求人サイト9選をご紹介
ここからは、外国人向け求人サイトを紹介します。 それぞれの特徴を踏まえたうえで、最適な求人サイトを利用しましょう。 (情報はすべて2022年12月時点)
GaijinPot
複数の雇用形態に対応しているGaijinPotでは、これまで8,000社以上の求人広告をサポートしています。 IT・テクノロジーやサービス業、語学・教育関連、カスタマーサービスなど、多種多様な業種の求人募集が可能です。 登録ユーザーの統計では、25歳〜34歳が90%を占めるとのこと。 また、求人情報だけでなく日本語学習や旅行、外国人不動産など、お役立ち情報サービスの提供もおこなっています。
外国人求人ネット ACE
外国人求人ネット ACEでは、正社員と契約社員の求人を扱っています。 業界や職種は問わず、登録者数は6万人以上の国内トップクラス。 都市部を中心としたグローバル企業・インバウンド向け企業に強く、英語や中国語以外にも多くの言語に対応しています。 また、外国人採用における業務について、専門コンサルティングからの心強いサポートが受けられるのもポイントです。
A global harmony
登録者は国内在住の外国人がほとんどで、登録ユーザーの半数以上が日常会話レベルの日本語を話せます。 アルバイト、派遣社員、正社員の雇用形態に対応しており、言語表記は日本語・英語・ミャンマー語となっています。 登録ユーザーの国籍は中国が58.3%、ミャンマーが19.8%と2ヶ国で78%にのぼります。 150校以上の日本語学校と提携しているため、在校生へのアプローチができるのも魅力の1つです。
Jobs In japan
1998年のサービス開始以来、何万もの求職者をサポートしてきたJobs In japan。 フルタイム・パートタイム・正社員と幅広い雇用形態に対応しており、業種や役職もさまざま。 採用活動に効果的なツールが用意されているため、短期間で優秀な応募者の確保に期待できます。 ユーザーの日本在住率は64%で、国籍はアメリカ、フィリピン、イギリスが上位3ヶ国となっています。
Daijob.com
Daijob.comは、外資系・日系グローバル企業に特化した転職・求人サイトです。 Webエンジニア職、マーケティング職、営業職に強みがあり、即戦力人材の採用に期待できます。 また、国内最大規模のバイリンガル人材転職サービスのため、外国人だけでなくビジネス会話以上の英語が話せる日本人ユーザーも多くいます。 求人掲載から採用成功までの運用代行サービスもおこなっており、人事にリソースが割けない場合でも安心して利用できます。
YOLO WORK
YOLO WORKは登録ユーザー20万人以上で、永住者系の外国人にもリーチできる求人サイトです。 勤務制限のない人材確保に期待できるため、長期雇用を検討している企業におすすめです。 表記できる言語は日本語・英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ポルトガル語の6言語。 外国人向けの福利厚生サービス「YOLO LIFE」の提供など、企業と求職者の双方が活用しやすい取り組みをおこなっています。
WORK JAPAN
外国人のアルバイト採用をおこなっているWORK JAPAN。 アルバイト採用に強みを持っていますが、正社員として入社できるビザを持っている人材も多数登録しています。 登録ユーザーは10万人を超え、飲食や小売業、物流業、農業など業種はさまざま。 8ヶ国の言語に対応しており、3万円からお試しできるプランも用意されています。
NINJA
日本に住んでいる外国人を対象にした就職情報サイトです。 134ヶ国、約4万人の登録者のデータベースを保有しており、そのほとんどが日本企業での就業経験者。 日本語ビジネスレベル以上87%、社会人経験あり93%と、日本の商習慣に理解がある人材の発掘に期待できます。
NIPPON仕事.com
NIPPON仕事.comは、関東エリアに強い外国人向け求人サイトです。 正社員、契約社員、派遣社員などの雇用形態に対応しており、成果報酬型のため採用まで費用がかかりません。 登録ユーザーの7割が日本語能力試験N1/N2の保有者と、一定以上の日本語が話せる外国人採用に期待できます。
外国人を採用する際の注意点
深刻な労働力不足を補える外国人雇用ですが、採用時には注意しなければならないことがあります。 ここでは、外国人を採用する際の注意点を3つ紹介します。
在留資格を確認する
在留資格とは、外国人が日本に滞在できる証明に加えて、従事できる活動内容および期間が証明できる資格のことです。 外国人を労働者として雇用する場合、報酬が発生する就労が認められているかどうかや、可能な業務範囲かどうかなどを必ず確認しなければなりません。 就労制限を超えた外国人を雇ってしまうと、不法就労助長罪に問われる可能性があるので注意が必要です。
文化の違いを理解する
宗教や食べ物、コミュニケーションなど、国によって根付く文化はさまざまです。 国籍の違う人同士が働く環境でトラブルなく業務をおこなうには、双方の文化や慣習の違いに対する理解が求められます。 新しく雇い入れる外国人への配慮はもちろんですが、もともと働いている日本人従業員への情報共有や協力の呼びかけが欠かせません。
言語スキルをしっかり確認しておく
採用した外国人にどのような業務を任せるとしても、「言葉で伝えて理解してもらう」という行為は欠かせません。 当然ですが、言語スキルが低ければその分コミュニケーションが取りづらく、意思疎通が難しくなります。 コミュニケーション不足は業務上のミスを引き起こしやすくするため、求めるレベルに達しているかどうかを必ず確認しておきましょう。
まとめ
外国人の雇用に対して、ハードルが高いと感じている事業者も多いと思います。 しかし、今回紹介したような外国人向けの求人サイトには多くの外国人が登録しており、採用に向けたサポートなども受けられます。 初めての外国人採用で選考基準などがわからない場合は、サポートが充実したサイトを選ぶのも1つの方法です。 外国人採用の目的や求めるレベル、人物像を明確にしたうえで求人サイトを活用し、優秀なグローバル人材を見つけましょう。