中国人の国民性や文化、雇用する時の注意点は?

中国人の国民性や文化、雇用する時の注意点は?

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中国の基本情報

中国の基本情報

中国人の国民性や文化の説明の前に、まず外務省のページを参考に中国の基本的な情報を紹介します。
中国はインドに次ぐ世界第2位・14億人もの人口を有しており、国土は世界第4位の960万平方メートルの広さを持つアジア最大の大国です。
14億人の92%が漢民族で、ウイグル族やアチャン族など55の少数民族もいます。
宗教は仏教の影響が強いですが、イスラム教やキリスト教など様々な宗教を信仰する人たちが暮らしており、公用語は中国語です。

国土が広く、東西の端から端までは5500キロメートルもあります。さらに経度の差が60度以上もあるため本来なら時差がありますが、中国全土で北京時間を標準時にしているため日本との差はどの都市でもマイナス1時間です。

中国人の国民性

中国人の国民性

中国人の国民性について解説します。

様々な考え方の人がいる

中国には14億人もの人口がいるため、様々なパーソナリティの方が住んでいます。
仏教の影響が強いですが、2500万人いるウイグル族はイスラム教を信仰しており、かつては独立を目指していました。またチベットではダライ・ラマによる政教一致体制が約300年続いていましたが、第二次世界対戦後に中国の一部になったため、チベットではチベット仏教が信仰されています。
そのためある程度共通の考え方・国民性は存在していますが多様な価値感があることは間違いないでしょう。

家族思い

家族のために行動する方が多い国です。
例えば中国では共働きが一般的であり、ほとんどの方が共働きと言っても過言ではない国です。その点も日本とは大きく違いますが、共働きがほとんどであるにもかかわらず、保育施設が非常に少ない国でもあります。
そのため、祖父母が子供の面倒を見ることは恥ずかしいことではなく、ごく当たり前なことです。
2017年の調査では、祖父母に頼らず子育てをしている家庭は、全体のたった12%でした。
また日本では本人が行う婚活も、子供の履歴書をもって、親が相手を探すという光景も近年日本で話題になりました。
多くの中国人が、家族に頼ったり、家族のために何かをしたりを、ごく当たり前のことととらえています。

自己主張がかなり強い

中国人は「面子(メンツ)」を重んじます。
肩書やブランドへのこだわりも、そのため少し強めですし、自己主張も強めです。
日本の場合は自己主張が強い=迷惑な人というとらえ方があるかもしれませんが、中国では「自分をしっかりわかってもらうこと」と認識されています。逆に自己主張をしっかり行わない人のほうが、マイナスなとらえられ方をします。
はじめは自己主張の強さに戸惑う部分があるかもしれませんが、はっきり言ってくれるので、「理由がわからないがやめられた」ということが少ないことはメリットかもしれません。

効率重視の国民性

中国人の多くは、効率重視だと言えます。
新しいものにあまり抵抗を示さず、いいと思ったものはどんどん取り入れる国民性です。
代表的なものでは、テレビ電話やスマートフォンです。
国土が広いこともあり、高齢の方でもスマートフォンを使って、遠方の家族と気軽にテレビ電話で会話をするなどしています。
また中国政府がいささか強引に進めたことも理由の一つではありますが、バーコード決済も老若男女問わず多くの方が利用しています。
柔軟にどんどん新しいものを取り入れて、効率的に日々を送る柔軟さは日本でビジネスをする上でもポジティブに働くことが多々あります。

中国人の就職事情

中国人の就職事情

中国での就職には、いくつか問題があり、不満を持っている中国人が多いです。
ここでは中国の就職事情について解説します。

出身地が大きく影響

中国では人口統制を理由に、戸籍が「農村部出身者」と「都市部出身者」で区分されています。ただ区分されているだけであれば、問題はありませんが、この区分によって進学できる大学が決まってしまいます。
大学は各地域からの入学者数を決めています。ここで問題となることは、北京や上海など、地域ランクが高いとされている都市部からの入学者数は多く、農村部からの入学者数は少なくされています。
つまり農村部出身者のほうが大学入学の倍率が高く、それがその後の就職にも影響してしまう現状があります。

学歴社会

中国は学歴社会です。
一つ例を挙げると、同じ会社に入ったとしても、一流大学卒業の場合と、二流大学卒業の場合では月給が変わります。
そのためどんなに優秀でも、農村部出身で二流大学に進学している場合には、望む給料をもらうことが困難です。
意欲的な学生は、どんなに国内で就職活動を頑張っても報われないため、海外で働くことを志す場合が多くなっています。

コネ社会

また中国社会はコネ社会と言われています。
学歴社会でコネ社会でもあるため、大学のランクが低くコネがないと、意欲的で優秀であったとしても、就職活動では非常に苦労します。
そのため大学生時代から就職したい企業に、インターンとして入りコネクションを作って、そのまま就職するというスタイルがある程度一般化しています。
日本企業に就職希望の中国人留学生は、そのスタイルの影響から、まずインターンとして入ることを好んだりします。

885と996

885とは、午前8時に出社して午後8時に退社することです。これを週5日やるため最後に5がついています。
一方で996とは午前9時に出社して午後9時に退社することです。週6日やるため最後に6がついています。
一般企業の場合には885で、一流企業は996と言われています。
中国の労働法は日本と大きくは違わず、基本的には1日8時間週5日勤務です。
ですが出身大学や出身地によっては一般企業では満足に稼げないことなどから、残業を好んで行う人が多く885が主流になりつつあります。
そのため過労死が社会問題化しつつあります。

中国の世代別の特性

中国にも日本の「ゆとり世代」「氷河期世代」などの世代論がありますので、簡単に紹介します。

80後

80後は1980年~1990年生まれのことです。
中国では1979年から一人っ子政策を始めました。2016年まで一人っ子政策は続いたため、80後のほとんどが、一人っ子です。
中国では、80後は現在、企業で重要な地位に就きつつあります。
中国の経済が急成長して、教育がそれまでよりも重視された時代だったため、80後は変化に柔軟に対応できると言われています。

90後

90後は中国の急激な経済成長の真っ只中に生まれた世代なので、裕福な両親に育てられている場合が多いです。またデジタルネイティブ世代もいますし、急激なインフレが起こっていたなかで育ってもいます。
そのためほしいものはすぐ買ったほうがいいと考えている人が多く、なおかつインフレなどもあるから貯金するのではなく、投資に回したほうがいいという進歩的な考えを持っている人が多いです。
また冷めた目で社会を見ている人が多い世代ともいわれています。

日本を好意的に思っている人は多い

日本を好意的に思っている人は多い

中国と日本は隣国であることもあり、国同士の衝突が多いです。
ですが日中共同世論調査では、中国人の70%以上が日本と「新たな協力関係を構築するべきだ」と考えており、日本人も中国人も、対立よりも協力を求めていることがわかっています。
また日本のアニメや良質な日本製品の影響もあり、あまり良い感情は持っていなくても日本製品をひいきにしていたりする中国人が増えています

中国人を雇う上での注意点

中国人を雇用する上での注意点を説明します。

飲みにケーションは合わない

中国人は仕事とプライベートをしっかり分ける傾向にあります。
プライベートな時間を削ってまで、飲みにケーションをするという文化は理解されづらいため、歓迎会などを定時後に行うことに抵抗を示す場合があります。

結果主義

良くも悪くも結果がすべてという考え方をする人が多い傾向にあります。
マニュアル通りにやってほしいなどの指示は理解されにくいことが多いです。
結果を出せば、過程がどのようなものでも問題ないという考え方が主流ですので、その点にも注意が必要です。

個人主義

また結果主義であることに関連して、個人主義でもあります。
チームで成果を出すことも大切ですが、個人としてしっかりまず結果を出すことにこだわりを持っている人が多いです。

上下関係が厳しくない

中国では日本と違い、部下が上司に敬語を使わないことが多いです。
言いたいことははっきり言ったり、上司が部下におごることは全く一般的でなかったりします。

褒めて伸ばす

いいところでもありますが、いい仕事をした場合にはひたすら褒める文化があります。
それが中国では当たり前なので、いい仕事をした場合にはしっかり評価をしていることを伝えることが重要です。

中国人採用のメリット

中国人採用のメリット

意欲的な若者が多い

勤勉でよく働く方が多いです。
また中国でチャンスを得られないため、外国で働きたいという意欲的な若者の雇用も期待できます。

優秀な人材が多い

中国人からは斬新な発想が出てくることが多々あります。
日本人と違った考え方やコミュニケーションスタイルは、社内にいい影響を及ぼすことが多いです。努力家で、新しい考え方をする優秀な人材を多く社内に取り入れることが期待できます。

増えつつある中国人顧客に対応可能になる

中国はインドに次ぐ人口大国であるため、中国企業の顧客を抱えている場合や、中国への進出を考えている場合には、語学の面でも戦力になってくれます。
言葉だけではなく、中国のカルチャーも理解しているため、事業の拡大に貢献してくれる可能性があります。

採用時の流れ

中国人材の採用方法は、主に技能実習と特定技能の2つです。

技能実習採用の場合

技能実習の受け入れ方法には、企業単独型と団体監理型の2つがあります。
9割以上の企業が団体監理型なため、団体監理型の採用の流れを解説します。
1.監理団体へ加入する
監理団体に中国の取扱いができるか確認を行い、取扱いができる場合は加入して希望を伝えます。
すると提携している海外の送り出し機関が、採用活動を行ってくれます。
2.採用の決定
採用活動後、履歴書や面接などの過程を経て、企業が採用を行います。
3.在留資格証明書の発行
採用が決まると、在留資格認定証明書の発行を行います。
発効までに3~4か月かかるため、その間に採用された外国人は現地の日本語学校で日本語、及び日本文化を学びます。
4.入国
監理団体で入国後講習を受けて、企業に配属されます。
5.技能実習開始
技能実習が始まった後も、監理団体のフォローが定期的にはいります。

特定技能の場合

1.資格の取得
まず在留資格特定技能を取得しなければなりません。
取得方法は以下の二つです。
①特定技能試験と日本語試験に合格する(日本で受験し、帰国後再来日する必要あり)
②技能実習2号を良好に修了する
2.採用
2-1 特定技能試験合格者
現地送出し機関や人材紹介会社などからの採用となります。
受け入れ企業が決まってから、在留資格取得手続きを行います。
2-2技能実習2号を良好に修了
日本国内にすでにいる場合には、「技能実習」からの「特定技能」への在留資格変更を行えばいいのでスムーズです。ですが日本にいない場合には、特定技能の在留資格認定証明書交付申請手続きを行う必要があります。
3.義務的支援
入社後には義務的支援を継続的に行っていく必要があります。

採用時にかかる費用※

団体監理型で技能実習生を受け入れる場合

監理団体への加入
まず監理団体に入会する必要があります。
 入会費:1万~10万円
 年会費:2万~15万円
JITICOへの加入
 年会費:10万~30万円
監理団体によっては、JITCO(公益財団法人 国際研修協力機構)への入会が必須です。
技能実習計画のサポートなどを受けられるので、必須でなくとも必要であれば、加入しましょう。
現地への事前訪問
 渡航費:約15万~25万円
往復の航空券代と宿泊費、食事代込みでだいたい上記の金額です。
監理団体によってはWeb面接に対応しており、その場合には費用を抑えられます。
技能実習生の入国準備
 在留資格(ビザ)申請:約2万~4万円
 技能実習生総合保険料(37ヶ月分):約2万~6万円
 健康診断費用:約1万円
 入国前講習費:約1万5千円~4万円
 入国渡航費:約10万円
上記費用は技能実習生の国籍や送り出し機関によって幅があります。
入国後にかかる費用
 入国後研修:約10万円
 講習手当:6万円
 健康診断費用:約1万円
配属までにも様々な費用が掛かります。
総額としては約50万円から95万円ほどになります。

まとめ

中国人を雇用する上での注意点やメリット、中国人の国民性について解説しました。
14億人もの人口を抱えているため、今後ますます中国人人材の雇用が活発になることが予測されます。中国には様々な個性を持った人がいますが、自己主張が強かったり、ひたすら褒める文化があったりと、日本とは異なる部分が多々あります。
長期間にわたり、企業活動にプラスな働きをしてもらうためにも、文化や教育の違いをしっかり理解することが重要です。

この記事を書いたライター
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外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。