特定技能2号って何?取得に必要なスキルを徹底解説

特定技能2号って何?取得に必要なスキルを徹底解説

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  • 特定技能2号って何?1号との違いは?
  • どうしたら特定技能2号になれるの?
  • 受け入れ企業にとってのメリットはあるのか?

このような疑問の他にも特定技能1号から2号になると、労使双方にとって何が変わるのか気になるところです。

そこでこの記事では、特定技能制度で過去に7名の外国人労働者を雇入れた経験と、隈なくリサーチした結果から徹底解説します。
この記事をお読みいただくと、以下の3つのポイントが分かります。

  • 特定技能1号と2号の違い
  • 特定技能2号になるために必要なスキル
  • 受け入れ企業にとってのメリット

ぜひ、最後までお読み下さい。

特定技能2号って何?

はじめに、特定技能2号について解説します。主に1号との違いを見ていただくことで、2号の魅力が分かり理解が深まります。
この章では以下の2つについて、順に解説していきます。

  • 特定技能1号と2号の違いについて徹底比較
  • 特定技能になれる職種と今後についての予測

では、さっそく見ていきましょう。

特定技能1号との違いを解説

特定技能1号と2号の違いは大きく分けて、在留期間・技能水準・外国人生活支援・家族帯同の可否・日本語能力水準試験の有無・試験の実施の6つです。

以下、詳細を解説します。

1.在留期間|6か月・1年・3年ごとに更新(上限なし)

特定技能1号と2号の最も大きな違いとして上げられるのが、この在留期間です。特定技能1号のままでは5年経過後の継続が不可能なのに対し、特定技能2号の場合は上限なく継続ができます。条件を満たすことで『永住権』の取得も可能です。

2.技能水準|熟練した技能(各分野の技能試験への合格)

特定技能2号に求められる技能水準は、各分野の技能検定1級相当です。例えば建設業だと『1級鉄筋技能士』などです。この資格の取得もしくは、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)主催の、建設分野特定技能2号評価試験に合格する必要があります。

取得に向けた日々の修練が必要となるほど、高い技能水準を求められることが分かります。

3.外国人支援|支援計画の策定と実施が不要

特定技能1号を雇用する際に必須であった、支援計画の策定と実施が不要です。日常生活にかかる役所などへの届出や申請は原則本人が行うため、受け入れ企業側の負担は特定技能1号に比べて減ります。

4.家族の帯同|条件を満たすと可能になる

特定技能2号は配偶者と子の範囲内で一定の条件を満たすと、「家族滞在」ビザで家族を帯同できます。主な条件は以下の2つです。

  • 婚姻関係にある配偶者
  • 扶養する/扶養を受ける

前提として婚姻関係にある配偶者は、内縁者や婚約者、そしてパートナーなどの関係では認められません。そして、扶養する/扶養を受けることが条件となるため、特定技能には家族を扶養できる能力が求められます。
また、子に関しては実子・養子は問われないが、成人している場合は扶養する相当の理由が必要になります。

5.日本語能力水準|定めなし

特定技能2号は、日本語能力に関しての水準がありません。その理由は、一定水準以上の日本語能力を有していることが前提となっているためです。前述の、外国人支援不要や家族の帯同(家族の不要)からも分かる通り、相当の日本語能力が不可欠になります。

6.特定技能2号資格試験の実施|現状なし(今後新設の可能性あり)

特定技能2号の資格を取得するにあたって、定められている試験等はありません。しかし、今後新たに新設される動きもあり、今後の動向から目が離せない状況です。定期的に制度を確認するなどの注意が必要となります。

現状で特定技能2号になれるのは「建設」と「造船・舶用工業」

2023年2月現在、特定技能2号の在留資格を取得できる職種は2つ。「建設」と「造船・舶用工業」です。この2つの職種が他職種に先だって特定技能2号の在留資格を取得できる背景には、『極度の人材不足』と『技術の修得に長い年月を要する』ためと言われています。
ご存じの通り、公共事業を担う建設業や造船・舶用工業は極度の人員不足に陥っています。国の一大プロジェクトであるこれらの業種の人員不足は、国家事業の動向を左右する大きな事業です。

これらの問題を解決すべく開始されたのが、技能実数制度や特定技能制度です。しかし、これらの業種には熟練の技術が必要不可欠になります。
技能実習で3年(5年)、特定技能で5年と技術を修得し、いよいよ現場で主軸として活躍となっても、継続して雇用ができなければ状況の打破は難しいままです。そのため、この2業種は他に先だって、特定技能2号の制度が開始されたと言われています。

しかし、この『極度の人手不足』や『技術の修得に長い年月がかかる』の問題は、この2業種に限ったものではありません。今後、その他の分野にも拡大される方向で決定されていますが、2023年2月現在で入国管理局から正式な発表はありません。
特定技能2号資格試験の新設とあわせて、今後の動向に目が離せないところです。

特定技能2号に求められるスキルは

特定技能1号の在留資格には14業種が指定されているのに対し、特定技能2号は前述の2業種のみ。そのため、特定技能2号資格の取得は、狭き門と認識されている現状になっています。しかし、業種さえ合致すれば、後は本人の努力次第で取得できる資格であるのも事実。

この章では、特定技能2号資格の取得にあたって求められるスキルについて、順に解説していきます。

狭き門!?特定技能1号⇒2号への移行のみ

はじめに、特定技能2号資格の取得にあたっての経緯について解説します。厳密には特定技能1号から2号への移行のみが、唯一の資格取得ルートとの定めはありません。
建設業に限って考えると、要件は班長として一定の実務経験に加えて、技能検定1級(もしくは、JAC主催の建設分野特定技能2号評価試験に合格)の取得のみです。特定技能1号の取得は必須ではないことが分かります。

これだけ確認すると、技能実習生から特定技能2号の資格取得が出来るのではと感じるところです。しかし、問題になるのは『技能実習生は定められた業務』のみ就労ができる点であり、その中に班長としての業務がない点になります。
つまり、班長として活動するには特定技能1号の資格取得が必須となり、必然的に特定技能1号から2号への移行のルートが唯一の資格取得への手段となっています。

また、各種技能検定1級の受験資格には、7年以上の実務経験が必要です。技能実習生が最長で滞在できる5年を大きく上回るため、特定技能1号から2号への移行が最も現実的と言えます。
※特定技能1号で5年の経験を有しなくても、技能実習生で5年と特定技能で2年以上の実務経験(通算7年)があれば、各種技能検定1級の受験は可能。

特定技能2号評価試験に合格

特定技能2号評価試験の概要は業種によって様々ですが、共通項目は以下の2点です。

  • 日本語能力試験がない
  • 各種技能検定試験1級相当の技術修得を求められる

はじめに、日本語能力試験がない理由については、一定水準の日本語能力を有することを前提にしているためと言われています。何故ならば、技能検定1級は相当の日本語能力を有していなければ、習得が難しいためです。
加えて、各種技能検定1級の受験資格である実務経験7年や、班長としての現場経験も加味すると、日本語はできて当然との見方ができます。故に、特定技能2号には日本語能力試験がない理由が見えてきます。

実務経験の要件を満たす

実務経験の要件は、求められるスキルの中でもっともハードルが高い項目です。各種技能検定1級への合格(もしくは特定技能2号評価試験)に加え、班長として一定の実務経験が必要となるためです。

つまり、一作業員として7年間の間技術を磨くだけではなれないとのこと。建設分野における班長とは『建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を監理する者』と定義されており、熟練の技術を身につけ、かつ班長としてのリーダーシップも発揮することを求められます。

出入国在留管理庁の発表によると、2022年6月末現在で特定技能2号の在留資格者は1名のみ。岐阜県在住の中国籍の方で、職種は建設分野のコンクリート圧送業です。87,000名(2022年6月末現在)を超える特定技能がいる中で、唯一の特定技能2号です。
いかに、特定技能2号が狭き門であるかが分かる前例となっています。

特定技能2号|受け入れ先企業のメリットとデメリットは?

ここまでの内容で特定技能2号は、技能実習生や特定技能1号に比べ全てのスキルにおいて、卓越していることが容易に想像できるかと思います。もはや、外国人労働者でもなく受け入れ先企業の未来を担うエースと言っても過言ではありません。

この章では、そんな特定技能2号を雇用するにあたって、メリットとデメリットについて考察していきます。

メリットは主に以下の2つです。

  • 特定技能1号に比べ固定費がかからない
  • リーダーとして現場を任せられるため仕事の拡大が狙える

はじめに、固定費がかからないことについて。特定技能1号に比べ支援計画の策定・実施が不要なため、それらに費やす労力や『登録支援機関』に依頼する費用がなくなることを意味します。
支援計画の義務的内容は多岐にわたるため、現状は『登録支援機関』に依頼することが現実的です。その管理費相場は月額25,000円〜30,000円となります。年換算すると300,000円〜360,000円の経費となりますので、これが無くなるだけでもメリットが大きいと言えます。

次に、リーダーとして現場を任せられる点です。現場を任せられると、単純に現状よりも多くの仕事を受注できます。熟練の技術者が少なく仕事の依頼が多くあるにもかかわらず、受注できない受け入れ先企業が多く存在している中で、これは大きなプラスです。

また、日本人従業員に比べ、特定技能1号や技能実習生の確保は容易です。これらの制度を活用するにあたって、特定技能2号の者と同郷の人員を採用すれば、現場指導や育成を任せる事もでき、優秀で熟練した特定技能2号が指導や育成を担当すれば、そこから新たな特定技能2号が現れる可能性もあります。
このように、特定技能2号の存在は受け入れ企業側に与えるメリットは大きい一方で、考えられるデメリットも存在しますので、あわせて注目していきましょう。

デメリットは主に以下の2つです。

  • 特定技能1号に比べ高水準の給与支給が必要
  • 転職されるリスクが大きい

当然の事ではありますが、給与水準は特定技能1号よりも高く、更に一般の日本人作業員よりも高く設定する必要が出てくると考えられます。それほどの能力であれば、国籍を問わず受け入れ企業側にとって貴重な人材です。

その一方で、それほどの人材であれば、同業者から見ても喉から手が出るほど欲しい人材。自社より好条件でヘッドハンティングされる危険性が高まります。転職されることを避けるためにも更なる好条件の提示が必要です。
そうなってくると、特定技能2号の心ひとつで給与形態を左右されかねない事態も予測でき、その者の人格次第となるところもありますが、日頃から良好な人間関係を保ち、円満な職場環境の整備が今まで以上に必要となるところです。

まとめ

以上、ここまで特定技能2号とは何か、求められるスキルについて解説して参りました。

現状は限られた職種で、たった一つのルート(特定技能1号→2号)に限定される程の狭き門ではありますが、受け入れ企業側にとって大きなメリットがある事がお分かりいただけたと思います。
87,000名を超える特定技能の総数から、1名しか輩出されてない(2022年6月現在)理由が分かる内容でした。とはいえ、特定技能制度が開始されたのは、2019年4月と歴史はまだ浅いものです。

今後の業種拡大や制度変更も十分に予想され、特定技能2号の数も徐々に増加するのではないかと私は考えます。
メリットとデメリットが混在し悩ましいところではありますが、深刻化が進む人材不足の特効薬となる日も、そう遠くはないのかもしれません。今後の動向に注目していきましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いたライター
栢分(かやわけ)ジュリアス

栢分(かやわけ)ジュリアス

滋賀県在住。高等学校卒業後、食品会社・建設会社・保険/金融業にてキャリアを形成。建設会社では取締役に就任し、2017年より技能実習生と特定技能外国人の受け入れを担当。2022年、WEBライターとして本格的に活動を開始。現在、特定技能制度と金融に関する記事をメインにお届けしています。