外国人材管理のよくあるトラブル事例と対応策

外国人材管理のよくあるトラブル事例と対応策

ニュース・特集特定技能外国人雇用
  • 在留資格等の管理業務負担
  • 言語・文化・価値観の違いによって生じるコミュニケーションの壁

など、外国人材の雇用には日本人の場合とは異なるトラブルの原因が存在します。

こうしたトラブルを未然に防ぐことで職場環境が改善されるだけでなく、生産性の向上もはかれます。

外国人材を雇用する場合は、トラブルの原因に対し適切な対策をとるよう心がけましょう。

この記事では、外国人材の雇用ならではのトラブル事例や、背景、解決方法を紹介します。

外国人材関連のトラブル件数

外国人材関連のトラブル件数

東京都産業労働局の「東京都の労働相談の状況」によると、令和6年度の外国人関連の労働相談は1,970件となっています。令和5年度と比較して771件減少しており、近年外国人関連の労働相談は年間2,000件前後で推移しています。

また、厚生労働省の「令和6年外国人雇用実態調査」の外国人労働者に対する調査によると、今の会社で仕事をする上でトラブルや困ったことが「ある」と答えた外国人労働者は10.9%であるのに対し、「なし」は86.9%でした。

外国人労働者の増加や制度改正により相談内容も変化していく可能性がある

雇用する外国人関連のトラブルの主な原因として、言語や文化的背景が異なることによるコミュニケーションの取りづらさや、労働慣行の違いなどがあげられます。

特に近年は外国人労働者の増加に伴い、

  • 労働者が日本人で使用者が外国人
  • 労使ともに外国人
  • 労働者あるいは使用者が国内に不在

といったケースも見られるようになりました。

令和9年に新制度「育成就労」が開始となることにより、今後も外国人労働者に関する相談内容は変質していくことが予想されます。

実際のトラブル事例

実際のトラブル事例

実際のトラブル事例としては以下のようなものがあげられます。

在留資格絡みのトラブル

在留資格は取得者である外国人の、日本での活動内容を細かく規定しています。そのため雇用する場合は実際の職務と、労働者本人の在留資格の内容が一致していなければなりません。

さらに、多くの在留資格では在留期間が設けられています。適切な手続きを経ず、在留期間を超えてしまうと不法滞在となってしまうため、必ず期限内に更新手続きをしなければなりません。

在留資格の管理責任は雇用主側にもあります。管理を怠ると罰則の対象となる恐れがあるため注意が必要です。

契約時のトラブル

言語や文化、労働慣行が異なることから、契約時にトラブルが発生することもあります。

  • 雇用する外国人が契約書の内容を十分に理解できていない
  • 労働条件等を勘違いしている

などが契約時に発生するトラブルの主な原因です。

契約時には法律用語など、日常生活ではあまり馴染みのない日本語が多く使われます。契約を進める際は、相手の外国人が契約書の内容をしっかりと理解しているかどうかを確認しながら進める必要があります。

勤務時間内のトラブル

勤務時間内のトラブルとしては、

  • 職場での差別
  • 従業員同士のトラブル
  • 顧客とのトラブル

などがあげられます。

従業員・顧客とのトラブルの多くは言語や文化的背景の差異から生じます。

また、人種や宗教による差別は、近年職場内だけでなく社会的にも解決すべき重要な課題です。

勤務時間外のトラブル

生活習慣や文化的背景の違いから、雇用する外国人労働者が近隣住民とトラブルになることもあります。

地域住民からのクレームとしては、

  • ゴミ出しのルールを理解できていない
  • 騒音

などがあげられます。

特定技能1号の場合、受入機関は雇用する外国人労働者がスムーズに日本で生活できるよう支援をしなければなりません。
技能実習の場合は「監理団体及び実習実施者」が支援・監理をしなければなりません。

契約終了後や解雇時のトラブル

事前に交わした契約の内容が理解できていない場合、契約終了時や解雇時にトラブルとなる恐れがあります。

契約終了時や解雇時はコミュニケーションが重要になってきます。

外国人材に関するトラブルの背景と課題

外国人材に関するトラブルの背景と課題

厚生労働省の「令和6年外国人雇用実態調査」によると、全ての産業に共通して、多くの事業者が外国人労働者の雇用に関して以下のような課題を「感じたことがある」と回答しています。

  • 日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい
  • 在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑
  • 在留資格によっては在留期間の上限がある
  • 文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある

言語・文化的背景などの違い

「コミュニケーションの取りづらさ」は、全ての産業に共通し、あげている事業者が多い課題です。

コミュニケーションが取りにくい原因は、言語の違いだけではありません。

文化的背景、生活習慣、信仰する宗教の違いも、コミュニケーションのハードルとなることがあります。

コミュニケーションが不十分な場合、契約時や実際の労働現場でのトラブルにつながる恐れがあるだけでなく、労災のリスクも高まります。

こうした課題を解決するためには、外国人労働者の日本語能力向上をサポートできる体制を整えるといった対策が必要です。

在留資格の管理等事務負担

また、在留資格の申請や管理など、外国人材の雇用特有の事務負担を課題としてあげている企業も産業に関係なく多いです。

万が一在留資格の管理を怠ると、不法滞在・不法就労をさせたとして罰則の対象となる恐れがあります。

事務負担を軽減するためには、制度の整備や、管理ツールを活用するといった工夫が求められます。

トラブルを未然に防ぐ方法と施策

外国人材を雇用する場合、日本人を雇用する場合とは異なるトラブル発生リスクが潜んでいます。

こうしたトラブルを未然に防ぐための方法と施策を一部紹介します。

相談窓口の設置

就労中や日常生活の中で困ったことがあった場合、どこに相談すればいいのか分からないと感じている外国人は少なくありません。

雇用する外国人の悩みを一人で抱え込ませることは、将来的なトラブルのリスクとなるだけでなく、犯罪につながる恐れもあります。

雇用する外国人材が抱えている課題に適切に対処できるよう、相談窓口を設置しましょう。

また、その際は、外国人材の母国語で対応できるかどうかも重要になってきます。

外国人材に対する日本語教育支援

言語の壁を解消することは、外国人を雇用する上で最も重要です。受入機関を含む関係機関は、外国人材が日本語を習得できるようサポートする必要があります。

日本語を学べる場を積極的に設けるだけでなく、日本語習得ができるツールを活用するのもおすすめです。

外国人材向けオンライン日本語学習ツール「Japany」

「Japany」は外国人材向けの日本語学習ツールです。現場で必要となる敬語や専門用語が習得できる1,400本以上の動画コンテンツだけでなく、11ヶ国語に対応しています。

また、各種試験対策を想定したプログラムもあります。

コストパフォーマンスを重視した上で、外国人材の日本語能力向上に力を入れたいという事業主様におすすめの日本語学習ツールです。

在留資格等の管理の徹底

在留資格は万が一管理を怠ると、外国人材本人だけでなく雇用主側も罰則の対象となる恐れがあります。そのため、トラブルを未然に防ぐためにも管理を徹底しなければなりません。

日頃から関係書類を整理し、スケジュールを管理するよう心がけましょう。

こうした業務の煩雑さを解消するための、便利ツールを活用することもおすすめです。

ハローワークや外国人雇用管理アドバイザーの役割

外国人材の雇用をサポートする存在として、ハローワークや外国人雇用管理アドバイザーもあげられます。

ハローワークは雇用主・雇用される外国人材の双方が健全な関係を築けるようサポートする機関です。最低労働基準を確保することが目的である労働基準監督署とは異なり、ハローワークは職業を安定させることを目的とした上で、事業主に助言・指導することがあります。

また、都道府県労働局等に配置されている外国人雇用管理アドバイザーは外国人材の受入機関からの相談に対し、指導・援助を行っています。相談申し込みは最寄りのハローワークで可能です。

人材確保等支援助成金

政府は人材の確保・定着させるために、労働環境の向上や魅力的な職場づくり等を図る事業主や事業協同組合等に対し、人材確保等支援助成金の制度を設けています。

「外国人労働者就労環境整備助成コース」は外国人を雇用する企業を対象としたコースです。

  • 雇用労務責任者の選任
  • 就業規則等の多言語化
  • 苦情・相談体制の整備
  • 一時帰国のための休暇制度の整備
  • 社内マニュアル・標識類等の多言語化

といった環境整備に対し、申請できます。

外国人材の孤立を防ぐ

孤立はあらゆるトラブル・犯罪の原因となる恐れがあります。受入機関には雇用する外国人が職場内だけでなく、生活圏内でも孤立しないよう、適切な支援をすることが求められます。

相談窓口の設置や、日頃からの声掛けなどが孤立を防ぎます。

特定技能1号の支援義務

就業可能な在留資格の中でも特に特定技能1号は、受入機関に就労や生活上の支援をする義務が課せられています。

2号の場合は支援義務はありません。

外国人材・雇用主の双方が安心するための支援

特定技能1号を雇用する場合、受入機関は外国人材の職場での生活だけでなく、日常生活および社会生活が安定的に送れるようにするために、適切な支援をしなければなりません。

以下の10項目は義務的支援として定められています。

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国する際の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続等への同行
  6. 日本語学習の機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援(人員整理等の場合)
  10. 定期的な面談・行政機関への通報

これらの支援項目について支援計画書を作成し、それに基づき支援を実施します。

登録支援機関

支援業務が負担となる場合、登録支援機関に支援業務の全部または一部を委託することが認められています。

登録支援機関は厳しい条件を満たした上で出入国管理庁による認定を受けた機関です。認定を受けると「登録支援機関登録簿」に登録され、出入国在留管理庁のホームページに掲載されます。

新制度「育成就労」におけるトラブル対策

新制度「育成就労」におけるトラブル対策

2027年4月から新制度「育成就労」がスタートします。

育成就労は従来の技能実習制度が持つ課題を解決し、外国人・日本人双方が快適に働けることを目指した制度です。

外国人材に対する日本語教育支援

育成就労制度では継続的な日本語教育支援を通して、外国人材の段階的な日本語能力の向上を目指します。

施行開始後は、優良受入機関の認定条件に外国人材に対する日本語教育支援に取り組んでいることが求められるなど、受入機関による日本語教育支援が重視されています。

また、従来の技能実習制度とは異なり、在留資格の取得要件にA1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格又は相当講習を受講していることが定められています。

監理団体の許可要件等の厳格化

育成就労制度下では、監理団体が監理支援機関に再編され、その許可要件が厳格化されます。

これにより監理支援機関の独立性・中立性が確保され、監理支援機関の監督指導・支援保護機能が強化されるだけでなく、労働基準監督署・地方出入国在留管理局など、各関係機関の連携も強化されます。

手続き関連のトラブルを防止する上で便利なオンラインクラウドツール「dekisugi」

手続き関連のトラブルを防止する上で便利なオンラインクラウドツール「dekisugi」

「dekisugi」は外国人材の雇用に際して生じる事務負担を軽減し、業務管理を円滑に行うことをサポートするオンラインツールです。

外国人材を雇用する企業の多くが、「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」であることを外国人材を雇用する上での課題としてあげています。

こうした事務負担を軽減することは、トラブルを防止する上での鍵となります。

「dekisugi」には、書類の作成やオンライン手続きのサポート機能だけでなく、担当者間のスケジュール管理・共有、母国語対応へのサポート機能など、外国人を雇用する上で必要な機能が備えられています。

雇用関係業務の負担を軽減し、トラブルを未然に防ぐだけでなく生産性を向上させたい事業主様におすすめのツールです。

まとめ

外国人材の雇用には日本人材の雇用とは異なるリスクが潜んでいます。生産性を向上させるためには、そうしたリスクを解消し、トラブルを未然に防ぐことが重要になってきます。

相談窓口の設置や、日本語教育支援、関係機関との連携の強化、便利ツールの活用等を通して職場環境を整備していきましょう。

この記事を書いたライター
カナエル運営事務局

カナエル運営事務局

外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。