バングラデシュ人の国民性や文化、雇用する時の注意点は?

バングラデシュ人の国民性や文化、雇用する時の注意点は?

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バングラデシュってどんな国?

バングラデシュってどんな国?

バングラデシュの国民性や文化、雇用の注意点の前に、まずバングラデシュがどんな国かを説明します。

基本データ

バングラデシュでは、日本の40%ほどの面積に約1億7千万人もの国民が暮らしています。
首都はダッカで、多様な民族が暮らしていますが大部分がベンガル人です。
そのため主に話されている言語はベンガル語で国民の9割近くがイスラム教徒です。
日本とは全く異なる文化を持つ国です。

気候も大きく違います。
4月から9月までは雨が非常に多い雨季で、しばしば洪水になることがあります。
一方10月から3月までが乾季で、雨が月数回しか降らない季節です。
もともとはアジア最貧国と言われていましたが、急激な経済成長をとげて、現在の主な輸出品はニットを含む縫製品となっています。

イスラムの影響が強い

国民の9割近くがイスラム教徒なため、イスラムの文化が色濃い国です。
多くの女性が頭や体を覆う布・ヒジャブをまとっています。
1日5回お祈りをして、金曜日にはイスラムの礼拝堂・モスクにいくことが一般的です。左手は不浄な手と考えられており、食事や衣服の着脱などは右手で行います。

食生活にもイスラムの影響が色濃く出ています。
イスラム教の教えでは豚肉を食べることができないため、豚肉を食べることはなく、またお酒を飲む文化がありません。

イスラム歴の9月には1か月間、ラマダンと呼ばれる断食期間があります。
断食と言っても一切食べ物が口にできないわけではなく、日の出から夜明けまでは飲食できませんが、夜には飲食が可能になります。
ただ6歳未満の子供や妊婦、病人は免除されます。

IT分野で躍進中

バングラデシュはアジアのなかでは、まだまだ経済発展が遅れています。
ですが4500社ものIT企業が存在しており、またIT分野では税金の優遇があります。国としても成長させようとしています。実際バングラデシュはIT関連の教育費を国家予算に多く組み込むなどの工夫をして、IT人材の育成に力を注いでおり、年間3万人近くの若者がIT関連学科を卒業しています。

経済成長が目覚ましい

バングラデシュ政府は、2026年に後発開発途上国卒業を目指しています。
かつては縫製品の工業化に重点を置き予算を割いてきましたが、近年ではIT化に予算を割き、IT立国を目指しています。新型コロナ前には8%もの経済成長をとげていました。

経済成長もIT人材の育成も順調ですが、現在の主要産業はまだ衣料品です。この衣料品の輸出ではかつて世界第2位を誇っていましたが、現在はベトナムに抜かれ世界3位となっています。

バングラデシュ人を受け入れることができる制度とは

バングラデシュ人を採用できる制度は主に「技能実習」と「特定技能」の2つになります。
それぞれを解説します。

技能実習

技能実習は、外国の人材に日本の技術を教え母国で生かしてもらうための国際貢献の制度です。あくまで「母国で生かしてもらうため技能を教える」という制度なため、最長で5年間しか業務に従事できません。
ハードルはあまり高くなく、試験などの実施はありません。

特定技能

技能実習生と違い、即戦力となる外国人人材を採用する制度です。
「即戦力であること」が求められるため、一定レベルの日本語能力とスキルがあるかを確認するための試験が課されますが、技能実習生から無試験で移行することもできます。
受験資格は過去に日本国内で問題などを起こしていなければ誰でも得られるため、多くの外国人人材に広く門戸は開かれています。
特定技能1号では最長で5年、さらに技能に習熟して特定技能2号に移行できれば、上限なく日本で業務に従事できます。

バングラデシュの国民性

バングラデシュの国民性

とても社交的

バングラデシュ人はとても社交的でフレンドリーです。
初対面の人が相手でも距離が近く、積極的に仲良くなろうとしてきます。
いきなりぐいぐい来るので、その距離感を人によってはちょっと警戒してしまうかもしれません。
ですが社交的で話し好きの性格は、ビジネスにおいてはプラスに働くことが多いです。
日本語力の向上がその分早かったり、職場の雰囲気にすぐ慣れてくれたりします。

あまり長期的な考え方はしない

気候などの関係もあり、中間所得層であっても、長期的なプランはあまり立てません。
雨季には洪水が毎回のように発生しますし、デモが起これば公共交通機関は停止するためです。
ビジネスにおいても、長期的な視野を持たない人が多くいます。
ですがあくまで気候などの影響のためそうなっているだけなので、指導やサポートで十分改善可能なポイントです。

勉強熱心

意欲的で、勉強熱心な若者が大変多いです。
経済成長が進むにつれて、教育に多くの金額を割く世帯が大変多くなりました。
例えばバングラデシュの中間所得層の多くが、小学校卒業と同時に塾に通ったり、家庭教師をつけてもらったりしてがつがつ勉強をしていきます。
日本と違い、貧困を抜け出すためには学歴がものを言う社会であるため、勉強のモチベーションが大変高いです。

親日家が多い

バングラデシュに親日家が多い理由は、日本がバングラデシュに世界で最も多く援助を行っているためです。具体的にはバングラデシュがパキスタンから独立した後に道路などのインフラ、農業や教育、またITにおいても支援を行ってきました。
日本が援助を行っている事実がバングラデシュでもよく知られているため、親日家が多くなっています。

日本での労働は非常に人気

日本の給料が高い

日本での労働が人気である一番の理由は給与です。
バングラデシュの平均年収は15万円ほどです。
日本では300万円以上の給料を稼ぐことができるため、野心的な若者には最も魅力的な選択肢の一つとなっています。

日本が好きな若者が多い

日本はODAで橋や道路、農業や教育、ITにいたるまで様々な支援を行ってきました。そのため日本人には一定のリスペクトを持っています。
日本の大学を卒業して有名大学の学長や教授になっているバングラデシュ人が多いこともあり、リスペクトだけではなく、親近感も持たれています。
実際、JETROのアンケートでは、大学生のほとんどが日本を好きな国、旅行したい国に上げています。
純粋に日本に対するリスペクトや好意から、日本人が「フランスやイタリアで働いてみたい」とあこがれるように、日本での労働に憧憬を抱いている現状があります。

スキルアップに魅力を感じている

また日本で働くことで、大幅なスキルアップが望めることも、日本での労働が人気である理由です。
バングラデシュではIT人材の育成に力を入れており、ITエンジニアが非常に人気の職業になっています。ですが実際にITエンジニアとして働くことができる若者は、技能があったとしても、ほんの一握りとなっています。求人が殺到するためです。
そのためエンジニアとして働き経験を積み、自分の市場価値を上げたいと望む若者は、日本は理想の環境を備えているように見えています。

バングラデシュ人を雇う上での注意点

バングラデシュ人を雇う上での注意点

宗教の理解が必要

バングラデシュ人の多くがイスラム教徒です。
そのためお酒が飲めなかったり、豚肉が食べられなかったりと、フードタブーがあります。
ですが「イスラム教の教えを絶対的に守らなければならない」という人たちではなく、ムスリム穏健派とよばれる人たちです。ですので日本文化を理解し、教えを守りながらもスッとなじんでいく人たちが多いです。ただ「異なる宗教を信仰している」という事実は常に頭に置いておくほうがよいでしょう。

文化の違いをしっかり理解

日本と違い、バングラデシュには「終身雇用」の考え方はありません。
また意欲的な若者が大変多い国でもあるため、好待遇の会社やよりスキルアップできる会社にどんどん転職していきます。
転職でキャリアアップすることが普通であることを理解したうえで、自社でのキャリアアップを分かりやすい形でしっかり明示していきましょう。

バングラデシュ人採用のメリット

英語力が高い

バングラデシュ人のほとんどは、英語が非常に流暢です。
大学の大半が授業は英語で行われており、高校の多くも全科目英語で授業が行われています。日本では小学3年生から、外国語活動として英語に触れますが、バングラデシュでは小学校1年生から本格的に英語に触れますし、出稼ぎに出ることが珍しくない国ですので英語教育への力の入れ方が全く違います。
そのため英語力を求めている場合には戦力になってくれます。

エリートを割安で採用可能

エリートを割安に雇用できることも、バングラデシュ人採用のメリットです。
バングラデシュは前述のとおり、日本に比べて平均給与が極めて少ないです。
また今後、バングラデシュは経済発展がますます進み、日本企業にとってますます重要な市場になることは間違いありません。
そのためバングラデシュの文化を理解したエリートを割安で雇用できることも、大きなメリットとなります。

採用時の流れ

バングラデシュ人人材の採用方法は、主に技能実習と特定技能の2つです。

技能実習採用の場合

技能実習の受け入れ方法には、企業単独型と団体監理型の2つがあります。
9割以上の企業が団体監理型なため、団体監理型の採用の流れを解説します。
1.監理団体へ加入する
バングラデシュの取扱いが出来る監理団体かどうか確認をとり監理団体に加入の希望を伝えます。すると提携している海外の送り出し機関が、採用活動を行ってくれます。
2.採用の決定
採用活動後、履歴書や面接などの過程を経て、企業が採用を行います。
3.在留資格証明書の発行
採用が決まると、在留資格認定証明書の発行を行います。
発効までに3~4か月かかるため、その間に採用された外国人は現地の日本語学校で日本語、及び日本文化を学びます。
4.入国
監理団体で入国後講習を受けて、企業に配属されます。
5.技能実習開始
技能実習が始まった後も、監理団体のフォローが定期的にはいります。

特定技能の場合

1.資格の取得
まず在留資格特定技能を取得しなければなりません。
取得方法は以下の二つです。
①特定技能試験と日本語試験に合格する(日本で受験し、帰国後再来日する必要あり)
②技能実習2号を良好に修了する
2.採用
2-1 特定技能試験合格者
現地送出し機関や人材紹介会社などからの採用となります。
受け入れ企業が決まってから、在留資格取得手続きを行います。
2-2 技能実習2号を良好に修了
日本国内にすでにいる場合には、「技能実習」からの「特定技能」への在留資格変更を行えばいいのでスムーズです。ですが日本にいない場合には、特定技能の在留資格認定証明書交付申請手続きを行う必要があります。
3.義務的支援
入社後には義務的支援を継続的に行っていく必要があります。

採用時にかかる費用

団体監理型で技能実習生を受け入れる場合

監理団体への加入
まず監理団体に入会する必要があります。
 入会費:1万~10万円
 年会費:2万~15万円
JITICOへの加入
 年会費:10万~30万円
監理団体によっては、JITCO(公益財団法人 国際研修協力機構)への入会が必須です。
技能実習計画のサポートなどを受けられるので、必須でなくとも必要であれば、加入しましょう。
現地への事前訪問
 渡航費:約15万~25万円
往復の航空券代と宿泊費、食事代込みでだいたい上記の金額です。
監理団体によってはWeb面接に対応しており、その場合には費用を抑えられます。
技能実習生の入国準備
 在留資格(ビザ)申請:約2万~4万円
 技能実習生総合保険料(37ヶ月分):約2万~6万円
 健康診断費用:約1万円
 入国前講習費:約1万5千円~4万円
 入国渡航費:約10万円
上記費用は技能実習生の国籍や送り出し機関によって幅があります。
入国後にかかる費用
 入国後研修:約10万円
 講習手当:6万円
 健康診断費用:約1万円
配属までにも様々な費用が掛かります。
総額としては約50万円から95万円ほどになります。

まとめ

まとめ

バングラデシュ人を採用する上での注意点やメリット、バングラデシュ人の国民性についてまとめました。
バングラデシュ人は日本人にはなじみのない宗教を信仰していますが、フレンドリーで穏やかな人柄の方が多く、英語力が抜群なため素晴らしい戦力として活躍してくれる場合が多いです。
ですがスキルアップ志向が強いため、企業の昇進・昇給の条件がちゃんと伝わっていないと、好待遇を求めてどんどん転職していく人が多いです。
バングラデシュ人の雇用・育成を行うのであれば、そのような特性についてしっかり理解しておくことが重要です。

この記事を書いたライター
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カナエル運営事務局

外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。