近年、建設業界で特定技能外国人、もしくは技能実習生の外国人労働者が増えています。
現在の日本は少子高齢化に伴い、建設業界における労働者が減少している傾向にあります。そこで建設業界において重宝されているのが、特定技能外国人、もしくは技能実習生の外国人労働者です。
外国人労働者は在留資格として特定技能を取得したり技能実習生になることで日本で働けるため、建設業界で働く外国人労働者が増えています。
まだ外国人労働者の受け入れを行っていない建設業は、これを機に受け入れを検討してみてください。
それでは、なぜ建設業界で働く外国人が増えているのか、特定技能や技能実習生の受け入れポイントやメリット・デメリットについてご説明します。
目次
なぜ建設業界で働く外国人が増えている?
なぜ建設業界で働く外国人が増えているのか気になる人も多いと思います。
ではどうして建設業界で働く外国人が増えているのかご説明します。
建設業界は深刻な人手不足
建設業界は現在、深刻な人手不足に陥っています。
建設業界で働いている熟練の職人たちは高齢者が多くなってきており、熟練の職人が現役を引退した場合、職人の数が少なくなりこれまで同様の仕事をすることが難しくなる可能性があります。
しかし、外国人労働者を積極的に受け入れることによって、人手不足の解消につながります。
建設業の需要が拡大している
建設業界で外国人労働者が増えているのは、建設業の需要が拡大していることが挙げられます。
今後、公共施設や高速道路、建物の老朽化といったさまざまな問題が発生する前に点検し、必要に応じて補強工事や建て替えなどを行うケースが増えていきます。
そのような中、積極的に外国人労働者を受け入れ人手を増やすことで様々な工事に対応可能になります。建設業の需要が増えるほど外国人労働者の受け入れ件数が増えるため、特定技能の取得や技能実習生を目指す外国人の受入増加につながります。
少子高齢化で外国人労働者の需要が増している
現在、日本では少子高齢化により日本人の働き手が減少しています。
建設業界の深刻な人手不足も同じく少子高齢化の影響を受けているため、積極的に人材を登用しているのがポイントです。これは外国人も例外でなく、特定技能を取得している、もしくは技能実習生の外国人労働者の積極的な受け入れによって需要が増していると言えます。
特定技能外国人が増えている
特定技能外国人は技能実習生よりも需要が高く、建設業界で働く特定技能外国人の労働者が増えています。
技能実習生は技能を習得した後に国に帰ってしまいますが、特定技能外国人は特定技能1号なら通算5年間の滞在期間、特定技能2号なら滞在期間が制限されていません。
したがって、技能を習得した外国人労働者に長く働いてもらえるのが最大のポイントです。
建設業界における特定技能とは?
建設業界における特定技能とは、建設業界をはじめとする深刻な人手不足を解消するための在留資格です。
外国人労働者が建設業界で働きたい場合、以下の条件のいずれかを満たす必要があります。
- 日本語の試験と建設分野特定技能1号評価試験の両方に合格する
- 技能実習2号または3号修了者
特定技能には1号と2号の2種類があり、1号なら通算5年間の滞在期間が認められており、特定技能2号なら滞在期間が制限されていません。
したがって、一定以上の専門性と技術、経験を積み重ねた外国人労働者が働いてくれるのがポイントです。
建設業で特定技能外国人を受け入れるときのポイント
建設業で特定技能外国人を受け入れるときのポイントは、以下の通りです。
- 建設キャリアアップシステムへの登録
- 受け入れ人数を制限する
- 月給制
- JAC(一般社団法人 建設技能人材機構)の会員または賛助会員入会
- 支援を行う
それでは、建設業で特定技能外国人を受け入れるときのポイントについてご説明します。
建設キャリアアップシステムへの登録
建設業で特定技能者を受け入れるときのポイントとして、建設キャリアアップシステムへ登録することが挙げられます。なお、キャリアアップシステムへは受入れ機関・外国人本人の両者の登録が必要となります。
建設キャリアアップシステム、通称CCUPとは、技能者ひとり一人の就業実績や資格を登録し、技能の公正な評価、工事の品質向上、現場作業の効率化などにつなげるシステムです。
特定技能労働者は技能者登録が必須となるので、必ず技術者登録をしているか確認が必要です。
受け入れ人数の制限
特定技能1号と特定活動の在留資格で受け入れる外国人の合計人数が、特定技能所属機関の常勤職員の総数を超えないように制限しなければなりません。
社会保険に加入すると常勤職員にカウントされるため、常勤職員を把握することが大切です。
月給制
2021年4月以降は法改正によって特定技能外国人でも原則として月給制にすることが定められました。これは例え他の日本人従業員が日給制であっても遵守しなければなりません。
天候不良や現場調整で休みになったとしても1日の給料のうち、最低6割の給料を支払う必要があります。(休業手当)
JAC(一般社団法人 建設技能人材機構)の会員または賛助会員入会
特定技能外国人は技能実習生と違い、受入れ機関は一般社団法人 建設技能人材機構、通称JACの会員または賛助会員に必ず入会しなければなりません。
特定技能外国人を受け入れる前に、必ずJACの会員または賛助会員に入会する必要があります。
特定技能外国人へ支援を行う
特定技能者を受け入れる場合、以下の義務的支援を行う必要があります。
- 事前ガイダンスに関する義務的支援
- 出入国する際の送迎に関する義務的支援
- 住居確保や生活に必要な契約に関する義務的支援
- 生活オリエンテーションに関する義務的支援
- 公的手続等への同行に関する義務的支援
- 日本語学習の機会の提供に関する義務的支援
- 相談・苦情への対応に関する義務的支援
- 日本人との交流促進に関する義務的支援
- 転職支援に関する義務的支援
- 定期的な面談・行政機関への通報に関する義務的支援
建設業で特定技能外国人を採用するメリット
建設業で特定技能外国人を採用するメリットは、以下の通りです。
- 作業内容の汎用性が高い
- 日本語レベルが高い
- 専任技術者になれる
それでは、建設業で特定技能を採用するメリットについてご説明します。
作業内容の汎用性が高い
特定技能外国人は基本的に日本の建設業で働く際に必要な専門性や知識を持っており、また技能実習と違い作業内容が特定の範囲に限定されていないため、任せられる作業内容の汎用性が高いのがメリットです。
技能実習生と比べると即戦力となる人材が多く、人手不足の建設業にとって救世主のような存在だと言えます。
日本語レベルが高い
特定技能外国人は技能実習生と比べて一般に日本語レベルが高いと言われており、意思疎通を図るのに苦労することがありません。
特定技能外国人であれば言葉の壁でつまづくことが少ないので、効率良く仕事が任せられます。
専任技術者になれる
一般建設業で専任技術者になるには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 建設業種に応じた国家資格を持っている
- 許可を受けようとする建設業種の実務経験が10年以上ある
- 許可を受けようとする建設業種で定められた学歴+3年以上または5年以上の実務経験
特定技能外国人も、上記のいずれかの条件を満たすことで、専任技術者になることができます。
建設業で特定技能外国人を採用するデメリット
建設業で特定技能外国人を採用するデメリットは、以下の通りです。
- 受け入れ負担金が発生する
- 転職できる
それでは、建設業で特定技能外国人を採用するデメリットについてご説明します。
日本人と同じかそれ以上の給与と受け入れ負担金が発生する
基本的に特定技能1号を採用する際に受け入れ負担金が発生するのがデメリットです。
日本人を採用する際は発生しない負担金がかかるため、特定技能外国人を多く採用するほどコストが高くなります。このことから、特定技能者を何人採用する必要性があるのか事前に決めておかなければなりません。
転職できる
特定技能外国人は一社で働き続けなければならない決まりはないため、企業との折り合いが悪ければいつでも転職できます。
有用な人材を重用していきたいなら、外国人労働者が働きやすい環境作りを徹底することが大切です。
建設業界における技能実習とは?
建設業界における技能実習生とは、基本的に日本の技術を習得するために発展途上国から来日している外国人労働者のことです。
技能実習生は必要な技術を取得した上で帰国し、その技術を役立てていきます。
したがって、滞在期間が設定されているので、役立つ人材として登用していてもいずれ帰国されてしまうのが特徴です。
建設業で技能実習を受け入れるときの要件
建設業で技能実習生を受け入れるときの要件は、以下の通りです。
- 建設業許可を取得している
- 建設キャリアアップシステムに登録している
- 月給制で日本人と同額以上の賃金であること
- 技能実習生の監理団体に加入する
- 技能実習の責任者・指導員、生活指導員を配置する
- 技能実習生の住居を確保する
- 社会保険に加入させる
- 規定の帳簿を作成保管する
技能実習生を受け入れるときは、以上の要件を満たしているか確認が必要です。
建設業で技能実習を受け入れるメリット
建設業で技能実習生を受け入れるメリットは、以下の通りです。
- 必要な人材が安定して確保できる
- 計画的な採用活動ができる
- 特定技能に移行できる
それでは、建設業で技能実習生を受け入れるメリットについてご説明します。
必要な人材が安定して確保できる
技能実習生は基本的に1つの受け入れ企業で3年間、または5年間雇用して働いてもらうことになります。
つまり、他社に転職されることなく長期的に雇用できるため、必要な人材を安定して確保できるのが大きなメリットです。
技能実習を修了した後、特定技能へ移行することでさらに雇用期間が延ばせるため、人手不足を解決するのに有意義な方法だと言えるでしょう。
計画的な採用活動ができる
技能実習生の受け入れを検討する場合、どのタイミングで雇用されるのかも確認が必要です。
技能実習生を受け入れる場合、監理団体と契約すると求人票の回収から技能実習生の入社まで約6ヶ月かかります。
つまり、約6ヶ月で入社することが分かっていれば、計画的な採用活動がおこないやすくなります。
特定技能に移行できる
技能実習生は必要な技術を取得したらそれで終わりというわけではありません。
技能実習2号を修了した後、本人が望めば特定技能1号に移行することができます。企業としても継続して働いてもらうことで、新たな労働者確保に必要なコストがかからず、また外国人労働者はさらなる専門性や知識、技術が身に付けられるため、お互いにメリットがあると言えます。
建設業で技能実習を受け入れるデメリット
建設業で技能実習生を受け入れるデメリットは、以下の通りです。
- 特定技能と比べて日本語レベルが低い
- 未経験者がほとんど
- 作業内容が決められている
それでは、建設業で技能実習生を受け入れるデメリットについてご説明します。
特定技能と比べて日本語レベルが低い
特定技能外国人は意思疎通に問題がないレベルまで日本語が話せますが、技能実習生は簡単な会話ができるレベルの場合があります。
もちろん実習生個人の能力や国籍によって違いはあるものの、特定技能外国人と比較すると日本語レベルが低くなります。
未経験者がほとんど
技能実習生は基本的に送り出し機関によって基本的な教育を受けているものの、建設業そのものの仕事に関しては未経験者がほとんどです。
企業側は技能実習生を受け入れる場合、教育する環境や体制を整えなければなりません。
作業内容が決められている
建設業で働く技能実習生は、22職種33作業と作業内容が決められています。
必須業務、関連業務、周辺業務、安全衛生業務とそれぞれの業務の中でもできることが限られているため、どこまでの作業内容なら任せられるのか調査する必要性があります。
まとめ
現在の建設業界は深刻な人手不足であり、積極的に外国人労働者を雇用している傾向にあります。
技能実習生や特定技能外国人は即戦力になる上に人手不足を解消する有効的な手段となるため、受け入れ要件を確認して計画的な採用活動を行うことで人手不足解消に役立ちます。