在留資格「特定技能1号(航空業)」における試験の概要や雇用までの流れ

在留資格「特定技能1号(航空業)」における試験の概要や雇用までの流れ

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深刻な人手不足が叫ばれる航空業では、今後特定技能外国人による課題の解決が進められることが予想されます。

一方「在留資格を技能実習から特定技能へ移行する」という形での雇用が進められている業界も多い中で、航空業では在留資格の移行による特定技能外国人の雇用が今ひとつ進んでいないのが現状です。

そのため外国人材に特定技能1号取得のための技能試験・日本語能力試験を受けてもらった上で雇用するのが主流となっています。

この記事では航空業界で特定技能外国人を雇用するための、技能試験の概要や雇用の流れなどを解説します。

航空業における特定技能外国人

航空業における特定技能外国人

現在日本国内では少子高齢化による労働力不足が叫ばれています。こうした問題を解決するための一つの手段として特定技能制度は作られました。

シフト制による不規則な労働時間や、屋外での作業が多い航空業界は、労働環境の過酷さも人手不足の原因となっています。

また、航空業界はコロナ禍の影響を受けたものの近年国内のインバウンド需要の高まりを受け、さらなる人手不足に陥っているのが現状です。

人手不足を補うためにIT化や高齢者の雇用も進められていますが、それでも有効求人倍率は陸上荷役・運搬作業員で約5倍、輸送用機械器具整備・修理工で約2倍など、依然として高い数値を記録しています。

特定技能の外国人材はこうした日本の航空業界が抱えるこれらの問題を解決するのではないかと期待されています。

技能実習生との違い

技能実習制度は労働力確保を目的としたものではなく、国際貢献を目的として作られた制度です。日本での労働を通して培った技術や知識を帰国後に活かすことで母国の発展に貢献してもらおうというのが制度の主旨となっています。

国際貢献のために雇用している技能実習生は業務範囲が限定的であるため、例えば繁忙期など柔軟な人材配置が必要な場合であっても業務を任せられないこともあります。

一方で特定技能は人手不足の解消を目的とした制度であるため、在留資格によって業務範囲が定められているものの技能実習生よりも幅広い業務を任せることができます。

特定技能1号は働く上で必要な日本語能力と業務に関する相当程度の知識・技術がある外国人が取得できる在留資格です。即戦力となる人材を確保できるため、特定技能制度を活用することで人手不足を解消できる可能性があります。

特定技能外国人が従事できる業務の範囲

特定技能外国人が従事できる業務の範囲

技能実習生よりも幅広い業務に携わることができる特定技能外国人ですが、雇用する場合は在留資格で認められた範囲内の業務を任せなければならない点は技能実習や他の在留資格と同様です。

航空業における在留資格・特定技能の業務範囲は「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2つの区分に分けられます。区分によって従事できる業務が異なるため、適切な資格を持つ人材を雇用しなければなりません。

空港グランドハンドリング

空港グランドハンドリングは空港内での地上走行支援や、手荷物・貨物取扱業務のことを指します。

具体的には、

  • 航空機地上走行支援業務
  • 手荷物・貨物取扱業務
  • 手荷物・貨物の航空機搭降載業務
  • 航空機内外の清掃整備業務

などがあげられます。

航空機整備

航空機整備は飛行機などの航空機・備品の整備に関する業務全般のことを指します。

具体的には、

  • 運航整備
  • 機体整備
  • 装備品・原動機整備等

などがあげられます。

その他付随的な業務にも対応できる

上記の2つの区分の他にも、特定技能であれば日本人労働者も通常行っているような業務に付随的な作業にも対応できます。

航空業で特定技能を雇用する場合試験に合格する必要がある

試験の概要

試験の概要

以下では航空業で特定技能の在留資格を取得する上で必要な日本語能力試験と技能試験の概要を解説します。

日本語能力水準

他の産業分野と同様、航空業での特定技能の在留資格の取得の際には「国際交流基金日本語基礎テスト」でA2以上か「日本語能力試験」でN4以上の日本語能力が求められます。

技能水準

技能水準を測定するため、空港グランドハンドリング・航空機整備の両方の区分で筆記試験と実技試験が実施されます。

筆記試験

問題数 試験時間 問題形式 実施方法
空港グランドハンドリング 約30問 45分 真偽法(◯×式)、選択式 ペーパーテスト
航空機整備 約30問 60分 真偽法(◯×式)、選択式 ペーパーテスト

空港グランドハンドリング、航空機整備共に業務に必要な基本技術・基本事項を理解しているかどうかがチェックされます。

実技試験

試験時間
空港グランドハンドリング 30分
航空機整備 30分

空港グランドハンドリング、航空機整備共に写真・イラスト等を用いた判断力等をチェックする問題が出題されます。

技能試験の概要

技能試験の概要

航空業における技能試験は以下のように実施されます。

試験実施団体

公益社団法人日本航空技術協会(JAEA)

受験資格

  1. 試験日において17歳以上であること。(インドネシア国籍の場合は18歳以上)
  2. 日本国内で試験を受験する場合はすでに在留資格を取得していること。

試験の日程

公益社団法人日本航空技術協会(JAEA)のホームページで発表されます。

試験場所

日本国内
東京、大阪、福岡など

海外
インドネシア、ネパール、フィリピン、スリランカ、モンゴルなど

受験費用

2,000円

合格点

正答率65%

合格率

試験の合格率は開催日・開催地・区分によってばらつきがあり、30%代であることもあれば70%代になることもあります。

航空業で特定技能外国人を雇用する方法

航空業で特定技能外国人を雇用する方法

以下では航空業界で特定技能1号の在留資格を持つ外国人材を確保する方法として、代表的なものを3つ紹介します。

海外にいる人材を特定技能として雇用する

航空業においては海外にいる日本の航空業界で働きたいと考えている外国人材を特定技能として雇用する方法が最も主流となっています。

技能試験と日本語能力試験の両方に合格した外国人材と雇用契約を締結した上で特定技能1号の在留資格を取得させ、日本に呼び寄せる方法です。

特定技能外国人の受け入れ機関(企業)になるためには、法令を遵守していることや欠格事由に該当しないことなどさまざまな条件を満たす必要があります。

また、海外にいる人材を雇用する方法としては、登録支援機関などの人材紹介サービスを活用することが一般的です。

留学生を雇用する

日本に留学で来ている外国人に、卒業後特定技能の在留資格を取得させ雇用するという方法があります。

日本での生活に慣れ、日本語能力のある人材であるため、留学生はコミュニケーションが取りやすく生活支援に関するコストも低く抑えられるというメリットがあります。

(元留学生であっても特定技能外国人を雇用する上で義務付けられている支援は行わなければなりません)

また、すでに留学生としての在留資格を取得し、日本に暮らしている留学生であれば国内で実施されている技能試験を受験させることもできます。

技能実習2号を修了した外国人を雇用する

航空分野での技能実習2号を修了した外国人を特定技能として雇用することも可能です。技能実習2号を修了した人材であれば出入国管理庁に在留資格の変更申請を行うことで無試験で特定技能1号に移行できます。

すでに雇用している技能実習生を引き続き雇用したい場合や、一旦帰国した技能実習生のUターン雇用する場合などに活用できる方法です。

航空業界において技能実習2号からの在留資格の移行

航空業界において技能実習2号からの在留資格の移行

制度上では航空業界でも技能実習2号から特定技能1号への在留資格の移行は可能となっています。

技能実習の「空港グランドハンドリング」には、「航空機地上支援作業」「航空貨物取扱作業」「客室清掃作業」がありますが、特定技能「空港グランドハンドリング業務」へ移行できるのは「航空機地上支援作業」を終えた技能実習生のみになります。

特定技能「航空機整備業務」に移行できる技能実習はないため、特定技能へ移行したい場合は技能試験を受験する必要があります。

必要に応じて資格取得の支援を

必要に応じて資格取得の支援を

人手不足が叫ばれているものの、航空業界での特定技能制度の活用はいまひとつ進んでいないのが現状です。

外国人材の雇用によって人手不足の解消を目指す場合、在留資格の取得及び技能試験・日本語能力試験等の合格を目指す際に支援をすることで人材の確保がしやすくなるかもしれません。

具体的な例としてはすでに日本国内で生活している留学生などに対し資格取得支援をしたり、海外にいる人材を資格取得のために短期で来日させるといった方法があげられます。

最近はモンゴルやインドネシア、ネパール、フィリピンなど海外での技能試験の実施も進められていることから、今後は現地での認知度の向上や、受験支援が進むことも予想されます。

まとめ

コロナ禍の影響を受けつつもインバウンド需要の高まりによって今後も人手不足が深刻化する恐れのある航空業では、特定技能制度の活用がより業界内に浸透することが予想されます。

技能実習2号からの移行が難しい航空業での特定技能の雇用は、外国人材に特定技能1号の在留資格を取得させた上で雇用するのが主流です。

留学生などすでに日本にいる人材を狙うか、海外にいる日本で働きたいと考えている人材を狙うかによって対策も異なるため、人材像を明確にした上で求人をする必要があります。

この記事を書いたライター
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カナエル運営事務局

外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。