在留資格「特定技能」とは? 取得条件や申請について徹底解説!

在留資格「特定技能」とは? 取得条件や申請について徹底解説!

ニュース・特集技能実習特定技能外国人雇用

特定技能とは?

特定技能とは、2018年に可決・成立した改正出入国管理法によって創設された在留資格です。
外国人材が日本国内で働くことのできる就労系の在留資格を指します。

生産性向上などの取り組みを行っていても、人材を確保することが困難な特定産業分野(12分野14業種)について、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とした制度です。
そのため、外国人の受け入れが困難であった分野にも外国人の受け入れが可能となったのです。

在留資格「特定技能」には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。

特定技能1号

法務大臣が指定する本邦の公私機関との雇用に関する契約に基づき、特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能をもつ外国人向けの在留資格です。

特定技能1号には、12分野(旧14分野)があります。具体的には、介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2022年に統合)、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業です。
特定技能1号の試験は、分野によって実施が異なります。

「特定産業分野」とは、生産性の向上や国内の人材確保のための取り組みを行ってもなお深刻な人材不足であり、存続のために外国人材が必要と認められる分野を指します。

特定技能1号の取得条件

  • 在留期間:1年以内で個々に指定、通算で上限5年まで
  • 技能水準:相当程度の知識又は経験を必要とする技能
  • 外国人支援:受入れ機関(特定技能所属機関)または登録支援機関による支援が必要(過去2年間外国人社員が在籍していない場合は「登録支援機関」へ支援を委託)
  • 日本語能力試験:あり(技能実習2号を修了した外国人は試験等は免除されます)
  • 永住権の取得:できない
  • 外国人労働者の家族による帯同:認められない

特定技能2号

特定技能2号は、法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づき「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人を対象とした在留資格です。
※令和5年6月9日、政府の閣議決定により、建設分野及び造船・舶用工業分野の溶接区分のみが対象となっていましたが、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の9分野と、造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分全てを新たに特定技能2号の対象となりました。
ただし、介護分野については、現行の専門的・技術的分野の在留資格があることから、対象とはなっていません。

また、特定技能2号評価試験、もしくは技能検定1級に合格すること、監督・指導者として一定の実務経験を積むことなどを満たす必要があります。

つまり、特定技能1号よりも2号の方が高い技術水準を持つ方に許可されるのです。
たとえば、建設業の場合、「技能検定1級」または「建設分野特定技能2号評価試験」に合格しているか、建設現場において複数の建設技術者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験があるかどうかの両方が求められます。

特定技能2号の取得条件

  • 在留期間:3年、1年または6か月ごとの更新、上限なし
  • 技能水準:試験等で確認
  • 外国人支援:受入れ機関または登録支援機関による支援は対象外
  • 日本語能力試験: 試験等での確認は不要
  • 永住権の取得:永住権の取得条件を満たすことができれば可能
    (永住権の申請要件の1つとして、原則、10年間の在留が必要です。)
  • 外国人労働者の家族による帯同:要件を満たせば可能

特定技能の職種について

ここでは、特定技能の職種12分野を詳しく解説します。

介護

2019年に施行された在留資格の1つです。
介護職及び看護助手を目的とした業務。身体介護および付随する支援業務。
たとえば、食事や入浴、排泄の介助等の身体介護のほか、レクリエーションの実施や機能訓練の補助などです。

ただし、訪問系サービスは不可となっています。
雇用形態は、「直接雇用」に限られています。派遣等の雇用形態は認められていません。
報酬の額や労働時間は、日本人と同等程度でなければいけません。

受け入れの要件

  • 受け入れ人数は事業所単位で日本人等の常勤職員数を超えない数まで
  • 介護分野の特定技能協議会に加入すること

※協議会は、特定技能1号外国人を初めて雇用した日から4カ月以内に加入しなければなりません。
※なお、2/15の運用要領変更で、全ての分野で6/15以降の申請においては協議会への事前加入が必要となりました。

また、受入機関は特定技能外国人に対し、住居契約の際に連帯保証人となるなど、複数の支援をすることが義務付けられています。ただし、支援業務を登録支援機関に委託することが可能です。
介護は直接雇用に限られています。派遣等の雇用形態は認められていません。
報酬の額や労働時間は、日本人と同等程度でなければいけません。

試験概要

特定技能「介護」を取得するためには「介護分野の特定技能1号評価試験に合格する」、「介護分野の技能実習2号から移行する」、「介護福祉士養成施設を修了する」「EPA介護福祉士候補者として在留期間満了(4年間)」の4つとなります。
「介護分野の特定技能1号評価試験に合格する」場合は、「日本語能力試験」、「介護日本語評価試験」に合格することが必要です。

ただし、介護福祉士養成施設を修了した者は、試験が免除されます。
また、介護分野の技能実習2号を良好に修了した人は、特定技能「介護」に移行することができるため、「介護技能評価試験」と「日本語能力試験」が免除となります。

良好に修了した者とは、技能実習を2年10月以上修了し、かつ技能検定3級またはこれに相当する技能実習評価試験に合格している、技能実習生に関する評価調書がある、のいずれかということです。

ビルクリーニング業

不特定多数が利用する建築物を清掃する業務です。日常清掃や定期清掃などが中心です。その他、ホテルなどの宿泊施設のベッドメイク作業なども認められています。

ビルクリーニングの分野においては、近年、清掃の効率化を図るため、ロボット(ビルメンテナンスロボット)などを試験的に活用するケースもありますが、それでもなお人手不足が解消されていない分野です。

受入れ要件

  • 建築物衛生法第12条の2第1項第1号に規定する建築物清掃業に登録している事業者
  • 建築物衛生法第12条の2第1項第8号に規定する建築物環境衛生総合管理業に登録している事業者

住居契約の際に連帯保証人となるなど複数の支援をすることが義務付けられています。
ただし、受入機関はこの支援業務を登録支援機関に委託することが可能です。

ビルクリーニング業は、「直接雇用」に限られています。派遣等の雇用形態は認められていません。
報酬の額や労働時間は、日本人と同等程度でなければいけません。

試験概要

介護福祉士などの資格がなくても就労することは可能ですが、在留資格を取得する際の試験に合格しなければなりません。
ビルクリーニング分野の特定技能1号評価試験(実施:公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会)に合格する必要があります。

  • 試験日において17歳以上の者
  • 国内試験の場合は、在留資格を有している者(「短期滞在」の在留資格も含む)

技能試験(判断試験+ 作業試験)、日本語能力試験の両方に合格しなければなりません。
日本語能力試験は、国際交流基金日本語基礎テスト、日本語能力試験のいずれかに合格する必要があります。
ビルクリーニング分野の技能実習2号から移行する場合は、ビルクリーニング分野の特定技能1号評価試験および日本語試験は免除されます。

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

2022年4月に統合された職種です。
統合後に受入れ可能となった業務区分は、以下のとおりです。

  • 鋳造
  • 鍛造
  • ダイカスト
  • 機械加工
  • 金属プレス加工
  • 鉄工
  • 工場板金
  • めっき
  • アルミニウム陽極酸化処理
  • 仕上げ
  • 機械検査
  • 機械保全
  • 電子機器組立
  • プリント配線板製造
  • プラスチック成形
  • 電気機器組立て
  • 溶接
  • 工業包装
  • 塗装

それぞれの業務区分による技能要件を満たす場合は、受入れが可能となります。

受入れ要件

  • 受入れをする際、特定技能ビザ申請前の協議会加入が義務付け
  • 製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会に入会すること
  • 経済産業省や協議会に対し必要な協力を行う
  • 外国人への支援体制の整備が必要

統合前に既に特定技能ビザを取得している場合は、新たに特定技能ビザの申請し直しをする必要はありません。

統合後に行う特定技能ビザ申請では、申請書類の分野名の記入欄に「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」の記載が必要です。

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業は、「直接雇用」に限られています。派遣等の雇用形態は認められていません。
報酬の額や労働時間は、日本人と同等程度でなければいけません。

試験概要

特定技能1号では、違う分野の技能実習からの移行の場合、製造分野の特定技能測定試験合格、技能実習2号を良好に修了していることです。
※日本語試験は不要

技能実習経験のない外国人が取得する際は、製造分野の特定技能測定試験合格、日本語検定N4もしくは国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)A2以上合格が必要です。
同分野の技能実習からの移行では、特定技能同分野の職種と作業の技能実習2号を良好に修了していることが必要です。
※日本語試験は不要

特定技能2号と他の在留資格からの移行では、製造分野の特定技能2号評価試験の合格、監督・管理職2年目以上の経験が必要となります。

建設業

もともとは11種類ありましたが、2022年8月からは以下の3つの区分となりました。

土木区分

  • 土木区分型枠施工
  • コンクリート圧送
  • トンネル推進工
  • 建設機械施工
  • 土工
  • 鉄筋施工
  • とび
  • 海洋土木工
  • その他土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業

建築区分

  • 型枠施工
  • 左官
  • コンクリート圧送
  • 屋根ふき
  • 土木
  • 鉄筋施工
  • 鉄筋継手
  • 内装仕上げ
  • 表装
  • とび
  • 建築大工
  • 建築板金
  • 吹付ウレタン断熱
  • その他、建築物の新築、増築、改築若しくは移転、修繕、模様替又は係る作業

ライフライン・設備区分

  • 電気通信
  • 配管
  • 建築板金
  • 保温保冷
  • その他ライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業

認定を受けた在留資格に含まれる工事については、現場の種類を問わず、就労が可能となっています。

受入企業の要件

  • 同一技能の日本人と同等額以上の賃金を支払うこと(同一賃金同一労働)
  • 特定技能外国人に対して、月給制により報酬を安定的に支払うこと
  • 建設キャリアアップシステムに登録している
  • 1号特定技能外国人(と外国人建設就労者との合計)の数が、常勤職員の数を超えない

住居契約の際に連帯保証人となるなど複数の支援をすることが義務付けられています。
ただし、受入機関はこの支援業務を登録支援機関に委託することが可能です。
建設業は「直接雇用」に限られています。派遣等の雇用形態は認められていません。
報酬の額や労働時間は、日本人と同等程度でなければいけません。

試験概要

建設分野における特定技能1号評価試験は、国土交通省が定めた建設分野特定技能1号評価試験実施要領 に従い、学科試験および実技試験により行います。

言語
日本語です。ただし、専門用語等については 他の言語を併記することができます。 

建設分野における特定技能外国人の適正かつ円滑な受入れを実現するための 取組を実施する法人であって、国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録法人」という。)が実施する。

実施方法
技能試験は、実技試験及び学科試験によって行います。いずれもコンピュータ・ ベースド・テスティング(CBT)方式により実施されます。 コンピュータを使用して出題、解答するもので、受験者は、コンピュータの画面に表示される問題をもとに、画面上で解答します。

試験日当日において満17歳以上の外国人とし、原則として試験に合格した場合に日本国内で就業する意思のある者が対象です。ただし、日本国内で試験を実施する場合にあっては、在留資格を有する者を対象とし、退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府又は地域の権限ある機関の発行した旅券を所持していない者を除きます。

外国人が特定技能1号「建設」を取得するには「国際交流基金日本語基礎テスト」または、「日本語能力試験のN4以上」のいずれかに合格する必要があります。

外国人が「建設」を取得する場合は「建設業分野の技能実習2号から移行する」という方法もあります。

まずは特定技能1号を取得してから、建設分野特定技能2号評価試験または技能検定1級に合格して2号に移行することになります。

造船・舶用工業

造船・舶用工業は、2019年4月に出入国管理法(入管法)が改正され、ビザ制限が緩和され、外国人特定技能人材の採用が可能となりました。

また、2024年(令和6年)3月29日の閣議決定により、「造船」「舶用機械」及び「舶用電気電子機器」の3区分に再編されました。

受入れ要件

  • 「造船・舶用工業分野特定技能協議会」の構成員になる
  • 国土交通省からの「造船・舶用工業分野に係る事業を営む」企業であることの認定

造船・舶用工業は「直接雇用」に限られています。派遣等の雇用形態は認められていません。
報酬の額や労働時間は、日本人と同等程度でなければいけません。

試験概要

18歳以上、技能実習2号を良好に修了しているもしくは技能試験と日本語試験に合格している必要があります。

日本語試験は、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)と日本語能力試験(JLPT)の2種類があります。

技能実習2号の在留資格を取得している場合、技能実習2号から在留資格を特定技能に移行できます。
すでに技能実習生として働いている場合には、無試験で特定技能人材に移行可能です。
在留期間は通算5年です。

日本国内で受験する際に必要な条件
・在留資格を有し、試験日において満17歳以上であること
・留学生として退学・除籍処分を受けた過去がある者、失踪者や難民、イラン・イスラム共和国のパスポートを持つ人材などは採用ができません。
技能実習生を特定技能人材に移行する場合は、さらに5年間業務に従事することが可能です。

特定技能で従事できる業務は以下のとおりです。

  • 溶接
    手溶接、半自動溶接
  • 塗装
    金属塗装作業、噴霧塗装作業
  • 仕上げ
    治工具仕上げ作業、金型仕上げ作業、機械組立仕上げ作業
  • 機械加工
    普通旋盤作業、数値制御旋盤作業、フライス盤作業、マシニングセンタ作業
  • 電気機器組立て
    回転電機組立て作業、変圧器組立て作業、配電盤・制御盤組立て作業、開閉制御器具組立て作業、回転電機巻線製作作業

自動車整備業

自動車整備産業における人手不足解消のため創設された特定技能の分野の一つです。外国人が従事できる業務は、自動車の日常点検整備や自動車の定期点検整備、自動車の分解整備です。

受入れ要件

1.道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第78条第1項に基づく、地方運輸局長の認証(限定認証や二輪 のみも含む。)を受けた事業場であること

2.国土交通省が設置する自動車整備分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会の構成員になること

3.国土交通省が設置する自動車整備分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会に対し、必要な協力を行うこと

4. 国土交通省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと

5. 登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施の全部を委託する場合にあっては、以下の いず れにも該当する登録支援機関に委託すること
i. 上記2~4いずれにも該当すること
ii. 自動車整備士1級若しくは2級の資格を有する者又は自動車整備士の養成施設において 5年以上の指導に係る実務の経験を有する者を置くこと

自動車整備業は「直接雇用」に限られています。派遣等の雇用形態は認められていません。報酬の額や労働時間は、日本人と同等程度でなければいけません。

試験概要

「自動車整備分野特定技能評価試験」(仮称)又は「自動車整備士技能検定試験3級」に合格する必要があります。

「自動車整備職種、自動車整備作業」の第2号技能実習を良好に修了した者は、技能試験または日本語試験ともに不要となります。

航空

航空業界の仕事に従事することを目的とした特定技能の分野の一つです。
航空業では「特定技能1号」が受け入れ可能です。「空港グランドハンドリング業務」と、「航空機整備業務」の2種類の業務が可能です。
「空港グランドハンドリング業務」は、航空機地上走行支援業務や航空機内外の清掃整備業務などがあります。
「航空機整備業務」は、運行整備業務や機体整備業務、装備品・原動機整備業務などです。

受入れ要件

  • 空港管理規則に基づき、その空港での営業の承認等を受けた事業者の「航空分野特定技能協議会」への加入
  • 国土交通省の調査や指導に協力する
  • 労働、社会保険、租税に関する法令を遵守している
  • 特定技能外国人の労働時間や報酬額が日本人労働者と同等
  • 特定技能外国人を支援する計画や体制が整っている(※特定技能2号は必須ではない)

航空は「直接雇用」に限られています。派遣等の雇用形態は認められていません。報酬の額や労働時間は、日本人と同等程度でなければいけません。

試験概要

  • 特定技能1号では、18歳以上の外国人であり、「特定技能試験・日本語試験に合格する」または「技能実習2号を良好に終了する」
  • 日本語試験は、「日本語能力試験(JLPT)」と「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」のいずれかの合格が必要

宿泊業

外国人が宿泊業に従事することを目的とした特定技能の分野の一つです。
従事できる業務は、フロント業務や企画・広報業務、接客業務、レストランサービス業務などです。

受入れ要件

  • 事前ガイダンス、出入国送迎、日本語学習、住宅確保、相談苦情対応などの支援体制を整える
  • 宿泊分野特定技能協議会に加入する
  • 旅館業法の旅館・ホテル営業の許可を受けていること

宿泊業は「直接雇用」に限られています。派遣等の雇用形態は認められていません。報酬の額や労働時間は、日本人と同等程度でなければいけません。

試験概要

「宿泊業技能測定試験と日本語試験(日本語能力試験または国際交流基金日本語基礎テスト)に合格する」または、 「宿泊分野の技能実習から移行する」の2点です。

農業

外国人が農業分野での業務に従事することを目的とした特定技能の分野の一つ。「耕種農業全般」と「畜産農業全般」、それに関連する業務に従事することが可能です。

受入れ要件

  • 外国人支援(業務・日常生活など)
  • 農業特定技能協議会に加入

農業は、直接雇用・派遣雇用が可能です。

試験概要

  • 一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材であること
  • ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力を有すること
  • 農業技能測定試験(耕種農業全般)に合格する

漁業

外国人が漁業に従事することを目的とした特定技能の分野の一つ。漁具の製作・補修、⽔産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、⽔産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛⽣の確保 などがあります。

受入れ要件

  • 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
  • 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
  • 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
  • 「漁業特定技能協議会」に加入

などがあります。
漁業は直接雇用に加え、派遣での受け入れが可能です。

試験概要

漁業技能測定試験と日本語能力試験に合格すること

飲食料品製造

外国人が飲食料品製造に従事することを目的とした特定技能の分野の一つです。酒類を除く飲食料品の製造、加工、安全衛生などです。

受入れ要件

  • 食品産業特定技能協議会の構成員になる
  • 食品産業特定技能協議会に対し、必要な協力を行う
  • 農林水産省が主導する調査に必要な協力を行う
  • 出入国送迎、日本語学習、相談苦情対応などの支援体制を整える
  • 支援を外部委託する場合には、上記を満たしている登録支援機関に委託する

飲食料品製造は「直接雇用」に限られています。派遣等の雇用形態は認められていません。報酬の額や労働時間は、日本人と同等程度でなければいけません。

試験概要

飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験」と日本語試験に合格する(「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」

外食業

外国人が外食業に従事することを目的とした特定技能の分野の一つです。
外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理) など。

受入れ要件

  • 雇用契約を確実に履行
  • 支援体制を整える
  • 協議会への加入

外食業は「直接雇用」に限られています。派遣等の雇用形態は認められていません。報酬の額や労働時間は、日本人と同等程度でなければいけません。

試験概要

「外食業特定技能1号技能測定試験」と「日本語能力試験」に合格すること「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」
技能実習2号を良好に修了、または技能実習3号の実習計画を満了し、特定技能1号へ移行する方法があります。

特定技能の取得要件

ここでは、特定技能の取得要件について解説します。

特定技能評価試験に合格する

特定技能評価試験とは、前述したとおり、日本人における人手不足の対象となる分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れるための試験を指します。

特定技能1号では、各分野の業務に関連した技能試験と日本語能力に関する試験に合格しなければなりません。

日本語能力試験は日本語能力試験(JLPT)または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)のどちらかの合格が必要となります。資格更新時の再受験は必要ありません。

特定技能と技能実習の違い

目的

特定技能は、人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において人手不足を解消することを目的としているのに対し、技能実習は、開発途上国への国際協力を目的としています。

就業可能の範囲

まずは、特定技能は12分野(14職種)、技能実習は85職種(156作業)など、就労可能な職種が異なります。
特定技能は技能実習に比べ、幅広く業務を行うことができます。

在留期間の違い

特定技能

  • 1号:通算5年
  • 2号:上限なし

技能実習

  • 技能実習1号:1年以内
  • 技能実習2号:2年以内
  • 技能実習3号:2年以内(合計で最長5年)

受入れ方法と受け入れ人数

特定技能

  • 受け入れ方法:制限なし
  • 受け入れ人数:人数枠なし

技能実習

  • 受け入れ方法:海外の送り出し機関と提携している監理団体からの紹介のみ
  • 受け入れ人数:人数枠あり

家族帯同

  • 特定技能:1号:不可、2号:要件を満たせば可能
  • 技能実習:不可

転職の有無

特定技能は転職が可能となっていますが、技能実習は不可です。

特定技能外国人の受入れと送出し

ここでは、特定技能外国人の受入れと送出しについて解説します。

受入機関と登録支援機関

・受入機関
外国人受入れを行う企業である「受入れ機関(特定技能所属機関)」は、特定技能外国人に対し、業務や日常生活についての支援計画を作成し、支援することが義務付けられています。

・登録支援機関
登録支援機関は、支援の受入れを受入れ機関に代わって行う機関です。ただし、出入国在留管理庁の登録を受ける必要があります。登録支援機関は、1号特定技能外国人支援計画の全ての業務を実施します。

受入れ機関の届出

登録支援機関は受入れ機関の代わりに行う支援計画については、管轄である地方出入国在留管理官署に届け出る義務があります。届出は事由発生から14日以内に提出しなければなりません。

登録支援機関の届出

登録支援機関がおこなう届出は以下のとおりです

登録事項変更に係る届出
登録支援機関登録簿に記載された登録事項に変更があったときに届出が必要です。

支援業務の休止・廃止・再開に係る届出
支援業務を休止するとき、支援業務を廃止するとき、休止していた支援業務を再開する際に届出が必要です。

送出し国・送出機関とは

外国政府認定送出機関は14カ国あります。送出機関とは日本の技術や知識等を習得したい外国人労働者を募集し、日本に送り出す機関やエージェントなどを指します。

日本語能力や技術など、試験に合格しているかどうかを確認する役割を果たしています。
ただし、特定技能制度では、送り出し機関は必ず利用する必要はありません。

特定技能の申請

特定技能に係る出入国在留管理庁への申請

外国人の方が「特定技能」の許可を受けるためには書類が必要となります。 
在留資格変更許可申請の場合は、原則本人が申請人です。

在留資格認定証明書交付申請の場合は、原則、雇用企業が申請代理人が行います。
通常、1~3カ月程度で出入国在留管理庁から許可通知または認定証明書が届きます。

また、特定技能ビザの申請は、受け入れ企業が行うことも可能です。

申請に必要な書類

  1. 申請書(外国人・受入れ機関がそれぞれ作成)
    技能水準、日本語能力水準に関する書類
  2. 労働条件に関する書類
    労働保険・社会保険・税に関する書類(外国人・受入れ機関)
    特定技能(1号)の外国人の支援に関する書類

特定技能についての相談窓口

特定技能についての相談窓口は以下のとおりです。

外国人在留総合インフォメーションセンター

出入国在留管理庁は、各地方出入国在留管理局・支局に相談窓口(外国人在留総合インフォメーションセンター等)を設置しています。

電話や窓口、メールでのお問い合わせについては「多言語」で対応しており、外国人の方にも安心です。

対応言語 : 日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語、ベトナム語、タガログ語(フィリピン語)、ネパール語、インドネシア語、タイ語、カンボジア語、ミャンマー語、モンゴル語、シンハラ語、ウルドゥー語

外国人を雇用したい企業や手続きなど、不明点がある場合に相談できます。

地方出入国在留管理局

地方出入国在留管理局8局・支局が7局設置され、入国手続や在留手続等についてお問い合わせできる窓口です。

対応言語:日本、英語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語、ベトナム語、フィリピノ語、ネパール語、インドネシア語、タイ語、クメール(カンボジア)語、ミャンマー語、モンゴル語、シンハラ語、ウルドゥ語

まとめ

特定技能は、外国人材が日本国内で働くことのできる就労系の在留資格です。
人手不足の企業にとって、外国人材を活用することで、人手不足解消につながり、また即戦力となる人材を活用することができます。

特定産業分野(12分野14業種)によって、在留資格「特定技能」を取得するための試験は異なります。

また、外国人受入れを行う企業である「受入れ機関(特定技能所属機関)」は、特定技能外国人に対し、業務や日常生活についての支援計画を作成し、支援することが義務付けられています。

申請が必要な書類の準備など、外国人材活用のために必要な手続きは多くあります。その為、煩雑な手続きのミスを減らすため、行政書士など専門家に書類作成を依頼し、外国人材の採用がスムーズにおこなえるようにすると良いでしょう。

この記事を書いたライター
カナエル運営事務局

カナエル運営事務局

外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。