外国人材とのトラブルを防ぐためのコミュニケーションのポイント

外国人材とのトラブルを防ぐためのコミュニケーションのポイント

ニュース・特集外国人雇用

人手不足が深刻化する中、外国人材は多くの企業にとって重要な担い手となっています。

一方で、言語や文化、価値観、職場慣習の違いから、認識のずれやコミュニケーション上の課題が生じることがあります。

生産性を向上させ、トラブルを未然に防ぐためには日頃からのコミュニケーションが重要になってきます。

この記事では外国人材とのトラブルになりやすいコミュニケーションの事例と、トラブルを未然に防ぐためのポイントを紹介します。

外国人材とのコミュニケーションの重要性

外国人材関連のトラブルとしては、

  • 契約内容や日本の職場慣習に対する不十分な理解からくるもの
  • 双方の文化的背景・価値観からくるもの
  • 職場での差別・ハラスメント・孤立
  • 外国人材同士のトラブル

などがあげられます。

外国人材との認識のずれが大きくなると、労務トラブルや職場内の対立につながる可能性があります。

そして職場内外でのコミュニケーション不足が、こうしたトラブルの原因であることも珍しくありません。

日頃のコミュニケーションを大切にすることで、リスクを抑え、トラブルを未然に防ぐことができます。

外国人材とのコミュニケーションでトラブルにつながりやすい例6つ

外国人材とのコミュニケーションでトラブルにつながりやすい例6つ

以下では、外国人材を雇用する職場でトラブルにつながりやすいコミュニケーション上の課題を6つ紹介します。

1.「残業」に対する認識の違い

日本では、業務状況に応じて残業が発生する職場があります。一方で、日本と他国では残業に対する考え方が異なる場合があります。

「定時で帰るのが当たり前」という考え方が根付いている国や地域は数多く存在します。

こうした認識の違いから、外国人と日本人との間で残業を巡ってトラブルになるケースも発生しています。

残業を依頼する場合は、残業が発生する条件、事前承認の有無、労働時間の管理方法、割増賃金の支払いルールなどを、雇用契約書や就業規則の内容とあわせて、本人が理解できるよう丁寧に説明することが重要です。

2.備品の勝手な持ち帰り

感覚的な違いから、外国人労働者が会社の備品を誤って持ち帰ってしまうというケースも存在します。

会社の備品を無断で持ち出したり私的に使用したりすることは、重大な問題につながる可能性があります。そのため、備品の使用ルールは入社時などにあらかじめ具体的に説明することが大切です。

入社時のオリエンテーションなどで、社内にある備品の扱いや、持ち帰りが可能なものとそうでないものについて具体的に説明するよう心がけましょう。

3.宗教的な習慣と日本での仕事

例えばイスラム教徒の場合、一日5回の礼拝や断食といった宗教的な習慣が存在します。事業主はこうした宗教的な習慣に対し理解し、可能な範囲で配慮を行うことが望まれます。

また、信仰する宗教があってもどの程度実践するかは人それぞれ異なります。宗教儀礼を一部省略したり、自身の健康に配慮した形で断食を実践する人などさまざまなので、双方が事前に確認し、納得しておくことが重要です。

近年、日本では酷暑が続いており、日中の断食の継続が健康を害する恐れがあるため、事業主は労働者が信仰する宗教を理解しつつ、健康に配慮する必要があります。

4.他の日本人労働者とのトラブル

言語や価値観の違いから、職場で他の日本人労働者とトラブルが発生することも少なくありません。

差別やハラスメント、職場での孤立を防ぐためにも、外国人労働者だけでなく、受け入れる側の日本人従業員も含めて、相互理解を深める機会を設けることが重要です。

5.外国人材同士のトラブル

同じ職場で働く外国人同士で喧嘩などトラブルが発生するリスクについても、備える必要があります。

共通言語が限られている場合、外国人材同士でも意思疎通が難しくなることがあります。

外国人労働者同士のトラブル防止にも配慮しましょう。

6.マタニティハラスメント

外国人労働者であっても、日本で働く場合は、日本人労働者と同様に労働関係法令の対象となります。
妊娠・出産を理由とした解雇や不利益な取扱いは認められません。
また、産前産後休業や育児休業についても、法令上の要件を満たす場合には取得の対象となります。

しかし女性外国人労働者に対して、

妊娠・出産を理由に退職や帰国を促すような対応は、重大なトラブルにつながる可能性があります。
特に技能実習生などの場合は、本人が制度や相談先を十分に理解できるよう、監理団体や関係機関とも連携しながら説明することが重要です。

コミュニケーショントラブルの背景

コミュニケーショントラブルの背景

コミュニケーション上のトラブルの背景には、言語の違いだけでなく、文化、宗教、労働観、職場慣習などの違いがあります。

言語の壁

契約内容に関するものから、日常生活の中でのやりとりに至るまで、言語の壁によるトラブルはさまざまな場面にリスクが潜んでいます。

さらに、言語が異なることによるトラブルは日本人と外国人との間だけの問題ではありません。

複数の国や地域から人材を雇用している場合、外国人労働者同士でも生じる可能性があるため、雇用主は従業員同士のコミュニケーションにも注意を払う必要があります。

日本語ならではの表現は伝わりにくい

例えば「できれば〇〇をやっておいてください」といった日本語ならではの表現は、外国人にとってニュアンスを理解するのが難しい場合があります。

他にも、

「お伺いいたします」
「お見えになられたら」

といった敬語・謙譲語や、

「サクッとお願いします」

といったオノマトペを含んだ表現も注意が必要です。

外国人材とコミュニケーションをとる際には、分かりやすい日本語を使うことを心がけましょう。

文化的・宗教的価値観の違い

母国では当たり前とされていることが日本では受け入れられない、あるいは逆に日本では当たり前のことが母国では当たり前ではないということに、多くの外国人は戸惑います。

まずは価値観が異なるということを互いに認める姿勢が重要になってきます。

特に入国したばかりの外国人には配慮が必要です。

労働観のずれ

先述の残業の他にも、日本とそれ以外の国と地域では労働観で異なる点が数多く存在します。

例えば日本人はあまり互いの給与明細を見せ合うということはありませんが、外国人労働者同士の場合、国や地域によっては、給与についてオープンに話し合う文化がある場合があります。

こうした労働観の違いからトラブルが発生することもあります。

外国人材とのコミュニケーションを円滑にするためのポイント

以下に紹介するポイントを意識すると、コミュニケーショントラブルを防げます。

わかりやすい表現を使う

日本語に不慣れな人でも理解しやすい言葉を使うよう心がけましょう。

例えば「議論」よりも「話し合う」といった表現の方が外国人にとっては分かりやすい場合もあります。

日頃から外国人労働者に話しかける時には理解しやすい言葉に変換するよう意識することで、仕事の上での指示なども正確に伝えられるようになります。

一文ごとに区切って話す

一つの文に対し、内容は一つにするよう心がけましょう。

例えば、

「来週の月曜日に会議があるので、この書類をこのファイルに入れて持ってきてください」

と言うと、外国人は混乱してしまう場合があります。

「来週の月曜日に会議があります」
「なので、この書類を持ってきてください」
「その際、このファイルに入れてきてください」

など、文章を分けると伝わりやすくなります。

指示する場合は指示内容を具体的にし、最終的に目指している状態を示す

先の、

「来週の月曜日に会議があるので、この書類をこのファイルに入れて持ってきてください」

という指示の場合、最終的に目指す状態は、

来週の月曜日に
本人が
必要書類をファイルに入れた状態で
持ってくる

です。

外国人材とコミュニケーションをとる際は、双方が最終的に目指している状態のイメージを共有しているかどうかを重視しましょう。

ゆっくり話す

相手が理解できる言葉であっても、早口で話すと聞き取れない場合があります。

外国人材と会話する場合は、ゆっくり話すようにしましょう。

「おはよう」や「ありがとう」といった基本的な挨拶を積極的にする

日頃から積極的に「おはよう」や「ありがとう」といった基本的な挨拶をするようにしましょう。

そうしたちょっとした声かけは、外国人材の日本語能力向上を促進します。

また、職場での孤立を防止する上でも挨拶は重要です。

表情や身振り・手振りも重視する

  • 「あそこ」「これ」といった、こそあど言葉(指示代名詞)を使う場合は、同時に指をさして示す。
  • 日付を伝える際にはカレンダーも使う。

といった工夫をすることで、相手にこちらの意図や目的が伝わりやすくなります。

言葉そのものは同じであっても、身振り手振りや表情によって伝わり方が大きく変わることは珍しくありません。

外国人材とコミュニケーションをとる際には非言語コミュニケーションを活用することで、作業指示の誤解を防ぎやすくなります。

言い間違いにも丁寧に対応する

間違いを指摘されるのは、誰もが恥ずかしくなるものです。

しかし、そのままにしておくと相手の日本語能力が向上しないだけでなく、指示が適切に伝わらないままになってしまいます。

言い間違いに対し、相手の気持ちを慮り、丁寧に対応することでコミュニケーションが円滑になります。

日本語教育や日本人との交流の機会を設ける

教室を案内する、スマホなどで利用できる教育ツールを活用するなど、日本語教育の機会を設けることは非常に重要です。

また、日本人労働者や地域の人との交流の場をセッティングすることは、日本語を使う機会を増やすことに繋がります。

相手の国の文化や価値観に興味を持つ

こちらから相手の国の文化や価値観に興味を持つことは、信頼関係を築く上でも非常に重要です。

仕事とは関係なくとも、

  • 主要な食べ物
  • 今現地で流行しているもの
  • 歴史
  • 有名な観光地

といった要素は、会話を膨らませ、コミュニケーションを活性化させます。

宗教についての知識を身につける

信仰上のタブーは、トラブルの原因になることがあります。トラブルを未然に防ぐためにも、宗教に対し、適切な知識を身につけましょう。

また、どの程度信仰するかも個人によって大きく異なります。

「◯◯教はこういう時にこうするものだから」

と、ひとくくりにして扱うことは差別につながる恐れがあるため、注意が必要です。

外国人材とのコミュニケーションを軽視するリスク

外国人材とのコミュニケーションを軽視するリスク

外国人は職場だけでなく、日本社会から孤立しやすい傾向があります。

雇用する場合は職場内に限らず、日常からコミュニケーションが活性化されるよう工夫しなければなりません。

職場や地域で孤立すると、生活上の悩みを相談できず、離職や失踪などの問題につながる可能性があります。

また、差別意識を助長し、対立を深めることになる恐れもあるため、外国人材とは日頃から積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。

外国人材の日本語教育に便利なツール「Japany」

外国人材の日本語教育に便利なツール「Japany」

「Japany」は、日本で働く外国人材の日本語スキル向上に特化した、日本語教育ツールです。

日本での生活に必要な日本語能力だけでなく、特定技能や技能実習など、日本で働く外国人材向けの学習コンテンツを提供している点が特徴です。
(※育成就労については制度開始前後で対応状況が変わる可能性があるため、サービス提供元の最新情報を確認する必要があります)

「Japany」には日本語能力試験(JLPT)N5〜N1まで幅広く対応した1000以上のコンテンツが用意されています。

外国人材はそうしたコンテンツをスマホで活用することで、仕事や生活で必要な日本語を身につけることができるのです。

また、管理者はそれぞれの外国人材の学習進度をチェックすることも可能です。

外国人材の日本語教育に力を入れたい、しかしできるだけコストは抑えたいという人に、「Japany」はおすすめのツールです。

まとめ

トラブルだけでなく、職場での差別などを防ぐ上でも、外国人材とは日頃から積極的にコミュニケーションをとるように心がけましょう。

ちょっとした挨拶であっても意識的に声かけをすることで、トラブルを回避し、職場の生産性を向上させることにつながります。

この記事を書いたライター
カナエル運営事務局

カナエル運営事務局

外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。