目次
- 1 技能実習生とは
- 2 技能実習とは
- 3 技能実習制度の目的
- 4 技能実習生の問題点
- 5 技能実習生の種類
- 6 実習実施機関に求められる禁止事項
- 7 講習の実施
- 8 報酬の範囲
- 9 技能実習・講習と雇用契約の関係
- 10 技能実習生が修得する「技能・技術もしくは知識」の種類
- 11 技能実習生の指導員に関する要件
- 12 技能実習生の受け入れ人数に上限がある
- 13 受け入れ企業の体制づくり
- 14 受入れ企業の財務状況の把握
- 15 不正行為に関する事実報告
- 16 実習機関が実習生の受け入れができなくなった時の対応
- 17 講習実施施設の確保
- 18 宿泊施設の確保
- 19 労災保険等による保障措置
- 20 技能実習生を受け入れる方法
- 21 「技能実習1号ロ」の監理団体とは
- 22 企業単独型(技能実習イ)を送り出す「外国にある事務所」
- 23 まとめ
技能実習生とは
日本で技能実習を受ける者を、技能実習生といい、
技能実習生の在留資格は「技能実習」で、日本の企業と雇用契約をして来日します。
来日する外国人は、外国人技能実習制度に応募して採用された外国人であり、
日本側の受け入れ方法によって種類が分かれています。
技能実習とは
「技能実習」は、日本の技能・技術・知識などを習得するために日本に在留する外国人技能実習生の在留資格になります。
外国人は、母国(発展途上国)の経済を発展させるために来日して、技能や技術を習得し持ち帰ります。
技能実習生は、来日して1年目から労働者として雇用契約した日本企業で、講習や実習を行います。
つまり、日本の労働基準法や最低賃金法などの労働関係法の適用を受けることができ、雇用契約に基づいた技能等の習得をする活動となります。
技能実習生にも一般の従業員と同様に労働基準法が適用されますので、受入れ側となる企業は、最低賃金制度の遵守や残業代・夜間休日などの割増賃金などを支払う義務が発生します。
技能実習制度の目的
外国人技能実習制度は、技能実習生を通じて、日本の技能・技術や知識を開発発展途上国などへ移転することにより経済発展を図ることを目的とした制度です。
この「移転する」というのは、技術を習得した外国人が帰国して母国で活躍することを指しています。
来日した技能実習生に日本の技術や知識を教え、母国(途上国)に持ち帰ってもらうことで、その国を発展させるという国際貢献が目的です。
技能実習が終了したら帰国し、日本で習得した技能実習の成果を仕事に十分に生かせなくては意味がありません。
そのため、申請人の本国での職業と無関係な職種の技能実習は、帰国後に修得した技能などを要する業務に従事することが予定されているとはならないので、上陸基準適合性は認められません。
また、この制度は、発展途上国への国際協力として始まりました。
つまり、アメリカなどの先進国からは技能実習生を受け入れることができません。
日本と技能実習に関する取り決めをしている「14の発展途上国」からのみ、技能実習生として外国人を受け入れることができます。
技能実習生の問題点
技能実習制度は、日本の企業が人材を確保するための制度ではありません。 先進国が果たすべき責務を果たす制度です。 しかし、技能実習制度の目的を理解せずに技能実習生を「低賃金労働者」として受け入れてしまっている企業があったり、「実習」という在留資格の名称が勘違いを生み、雇用契約をしていない企業などが散見され、問題となっていました。 技能実習制度では、研修生や技能実習生の法的保護や法的地位の安定の措置が講じられています。 しかし、制度の目的と実態がかけ離れているのでは、という指摘も少なくなく、制度や法律は改正を繰り返して対策してきました。
在留資格「技能実習」入管法施行規則
外国人が日本に在留可能な期間は、各在留資格で入管法施行規則に定められています。 在留期間は5年(外交及び永住者の在留資格以外)を超えることができません。 在留資格「技能実習」 の在留期間も規定されています。
在留資格「技能実習」上陸基準省令
外国人が日本に上陸するには入管法の在留資格の適合が要件とされています。 適合性は上陸基準省令に定められ、適合していなければ上陸はできません。
法務省令、指針
省令以外に、技能実習生受入れガイドラインの公示があります。 低賃金労働者となりやすい技能実習生の対応に関する留意点や不正の対象などの法的保護などを図って、技能実習制度の適正実施を目的とした技能実習制度の基本方針が示されています。
技能実習制度の見直し
2022年12月より技能実習制度の見直しが始まります。 この見直しは制度そのものの存廃や再編も含めたもので、2023年春に中間報告、秋ごろには最終報告がまとまる予定のようです。
労働契約の締結
在留資格「技能実習」の活動は「日本での公私の機関との雇用契約に基づく活動」です。 技能実習生を受け入れる際は、雇用契約の締結が前提です。 雇用契約書や労働条件通知書等の書面は日本語だけでなく母国語も併記して作成し、技能実習生本人と労働契約を結びます。
労働保険や社会保険の適用
雇用契約を結ぶことが前提の「技能実習」は、実習実施機関(企業)で「労災保険」「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」に加入し、技能実習生の労働災害や傷病などに備えなければなりません。
技能実習生の種類
技能実習生は、技能実習1号・技能実習2号・技能実習3号の3種類に分けられています。
技能実習1号(習得)
講習による知識修得活動と、雇用契約に基づく作業などを実習形式で技能修得活動を行います。 1号は技能の「習得段階」とされています。 在留期間は1年間です。
技能実習2号(習熟)
技能実習1号を修了して技能などを修得した実習生が、さらに習熟するために、雇用契約に基づいて修得した技能等を要する業務に従事する活動です。 技能実習1号を修了して、技能検定基礎2級に合格、在留資格変更許可を受けて、技能実習2号へ進むことができます。 また、技能実習2号へ移行した場合の滞在期間は、技能実習1号との合算で、最長3年となります。
技能実習3号(熟達)
技能実習2号を修了したら、技能評価試験に合格をするほか、企業が優良な実習実施者であると認定される必要があります。 職種によっては3号を設けていない場合もあるので、よく確認して申請準備をしたほうがよいでしょう。 技能実習3号へ移行した場合の滞在期間は、技能実習1号・技能実習2号との合算で、最長5年となります。
実習実施機関に求められる禁止事項
保証金・違約金徴収契約の禁止
技能実習生本人または技能実習生の家族など社会生活で密接な関係のある者と、送出し機関や実習実施機関との間で保証金や違約金の支払いなどの契約は禁止されています。 技能実習生の失踪防止などを目的としていたとしても禁止されています。
違約金等徴収の禁止
技能実習生が失踪したことなどで技能実習事業の運営に支障が出た場合でも、実習実施機関が送出し機関から違約金を徴収する契約などは、禁止されています。
講習の実施
講習は、座学を基本としています。 技能実習を実施する施設等の見学は、講習の一部である場合に限り認められています。 商品を生産する施設での機械操作や試作品の製造などの訓練は、商品を生産しない場合でも講習に含まれていません。 技能実習の予定時間は、全体の6分の1以上行うことが義務になっています。 講習の受講は、技能実習の前提条件として技能実習生が日本に入国後に行われます。 講習時間の算定は、1日の講習の実施時間が8時間を超える場合は、8時間として計算します。 上陸基準省令では、実習実施機関が主体となるものを講習とし、 実習実施機関以外の機関が主体となるものを「外部の講習」としています。
報酬の範囲
実習実施機関が技能実習生に支払う報酬などについては、省令で定められています。
上陸基準省令の報酬とは「報酬」「賃金」「給与」「給料」「賞与」などの名称に関係なく、役務の給付の対価として与えられる反対給付、労働の対価として支払われる金銭などのことです。「通勤手当」「扶養手当」「住宅手当」等は、報酬には含まれていません。
報酬の月額は、毎月1回支払われる月額給与に限らずに、1年間業務に従事した場合に支払われる賞与などを含めた報酬の総額の12分の1となります。
企業の賃金体系を基礎に日本人と同等以上であるか、他の企業の同種の職種の賃金を参考に、日本人と同等額以上であることが必要です。
報酬額を一定額として一律に規定されているわけではありません。
外国人が大卒であれば、日本人の大卒者の賃金を参考にします。
専門職・研究職等であれば、日本人の専門職、研究職等の賃金によって判断されます。
労働の対価として支払われる報酬は、労働の質・技能等能力の程度・業務遂行上の責任などで決定されるもので、学歴・年齢のみで決定されるものではありません。
報酬額は、法令で規定される最低賃金額以上であること「日本人が従事する場合の報酬と同等額以上」であることが必要で、賃金を定めた労働基準法その他労働関係法令の規定に適合していなければなりません。
技能実習・講習と雇用契約の関係
技能実習制度は、技能実習生と日本の公私の機関との雇用契約に基づく技能・技術や知識の修得の活動です。
雇用契約は、日本に入国する前に契約します。
技能実習制度の義務である「講習」は雇用契約を前提にしていません。
雇用契約に基づかない講習の実施であっても、在留資格該当性が認められる場合があります
それは、技能実習生が在籍出向として所属機関から出張扱いで日本に入国した場合、もしくは移籍出向として所属機関と雇用契約を解約して本邦に入国した場合です。そういった場合に日本の公私の機関との雇用契約の始期より前に、講習を実施する場合がありますが、雇用前の講習も在留資格該当性が認められる場合があります。
在留資格「技能実習1号イ」の入管法では、「これらの職員がこれらの本邦の公私の機関の本邦にある事業所に受け入れられて行う当該活動に必要な知識の修得をする活動を含む」とし、技能等の修得活動期間中、必要な知識の修得活動である講習の実施が規定されています。
雇用契約に基づく技能などの修得活動期間中に講習を受講することも認められています。
技能実習生が修得する「技能・技術もしくは知識」の種類
技能実習生は、「技能・技術」や「知識」などを日本で修得し、これを本国に持ち帰ることを目的に技能実習活動を行います。
このため、帰国後に修得した技能等を要する業務に従事することが予定されています。
外国人技能実習制度は、日本が先進国としての役割を果たすこと、国際社会との調和ある発展を図っていくために技能等の開発途上国への移転を図って開発途上国等の経済発展を担う人材育成に協力することを基本理念としています。
技能などの種類は「申請人が修得しようとする技能、技術又は知識が同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと」とされており、単純作業や非熟練作業を技能実習として行うことを目的とした場合、技能などに係る上陸基準適合性は認められません。
技能実習の内容は日本で行う必要性のある技能に限られる
外国人が修得する技能などが自国で修得可能であれば、日本で技能実習をする必要性がないので上陸基準適合性が認められません。 ただ、実習生の母国で修得することが可能であったり、習得が容易である職種でも日本で実習を受けることで、より高度な技能・より精密な技能等の修得を目的とする場合においては、上陸基準適合性が認められます。 外国特有の技能等を日本で修得する場合においては、本来、日本以外の国で修得されるべきものであって、そのような技能などの修得を目的とする場合には上陸基準適合性が認められません。
技能実習生の指導員に関する要件
技能習得の指導員と、日本での生活における指導員を行う職員を置くことが求められます。
技能実習指導員
適切な指導能力のある技能実習指導員の指導のもと、技能実習が実施されることが求められます。 技能実習指導員は常勤職員で、技能実習生が修得しようとする技能等は5年以上の経験のある職員に限られています。 5年以上の経験は、同一の機関に限られず、他の機関の経験年数も通算できます。
生活指導員
技能実習生の日本での生活について適切な指導能力のある生活指導員が必要です。 生活指導員は、常勤職員である必要はありません。 技能実習生の日本での日常生活の基本的なルールなどについて生活指導をして、技能実習生の生活状況を把握、相談役の役割を担います。 技能実習生の生活上の補助をするので、技能実習生が技能等の修得活動及び日本での生活に不安のないような適任者にすることが重要になります。
技能実習生の受け入れ人数に上限がある
実習実施機関に受け入れできる技能実習生の人数枠は、技能実習の指導体制の目安として設けられています。 実習実施機関の常勤職員の総数の20分の1以内、常勤職員数の5パーセントを超えて技能実習生を受け入れることができません。 常勤職員には、実習実施機関に雇用されている正社員職員が該当します。 また、アルバイトやパートタイマーなどの短時間就労者でも、雇用保険に加入している被保険者である短時間就労者の場合は「常勤職員」となります。
受け入れ企業の体制づくり
技能実習を実施する実習実施機関は、技能等を教える「積極的な体制」を整えなければなりません。 「技能等を修得する生産機械」「設備」「講習の実施場所」などの活動環境の条件や、技能などの十分な知識と経験のある指導員がいることなどが求められます。 また、技能実習のカリキュラムや技能実習施設の確保と生活指導などを行う体制の整備も必要になります。
受入れ企業の財務状況の把握
実習実施機関の経営が安定して継続していくことも大事です。 実習実施機関の財務状況は、貸借対照表や損益計算書などの決算関連資料で、技能実習を実施できる経済活動の実態があるかどうかで判断されます。 赤字決算であっても財務危機は別として、技能実習生の受け入れを認められないわけではありません。
不正行為に関する事実報告
「不正行為」は地方入国管理局へ報告することが義務付けされています。 報告する不正行為は、上陸基準省令の不正行為の表に規定されている技能実習に関連する行為です。 不正行為を行ってしまった場合においては、不正行為の程度を問わず地方入国管理局への報告対象となります。 そして、技能実習生の受け入れができなくなります。 不正行為の内容によって受け入れ停止期間が異なります。
不正行為 一覧
- 暴行、脅迫、監禁
- パスポートまたは在留カードの取り上げ
- 賃金などの不払い
- 人権を著しく侵害する行為
- 入国管理局にうその証明文書の提出を行うなどの偽変造文書等の行使・提供
- 保証金の徴収など
- 雇用契約に基づかない講習の期間中の業務への従事
- 二重契約
- 技能実習計画との齟齬
- 名義貸し
- 地方入国管理局への報告不履行
- 行方不明者の多発
- 不法労働者の雇用など
- 労働関係法令違反
- 再度の不正行為
- 文書の作成など不履行
- 帰国報告の不履行(監理団体のみ)
実習機関が実習生の受け入れができなくなった時の対応
実習実施機関の事業縮小・廃止や、不正行為等で技能等修得活動の継続が不可能な場合、地方入国管理局に報告し、新たな実習実施機関を確保することが義務付けられています。
講習実施施設の確保
技能実習機関には、技能実習生が講習を受講する施設が必要とされています。 講習の施設は、机・椅子・ホワイトボードなどが備えられ、学習に適した施設のことです。 実習実施機関に対し当該施設の確保が義務となっています。 講習実施施設は、学習に適した施設であること以外に、施設の広さなどの具体的な要件は求められていません。
宿泊施設の確保
技能実習生が技能などの修得活動を継続していくために技能実習機関に宿泊施設が必要です。 宿舎の規定は、労働基準法第10章(寄宿舎)により寄宿労働者の私生活の自由を保障し、安全衛生を維持するためのものです。 労働基準法第94条では寄宿舎生活の自治、同法95条では寄宿舎規則の作成及び届出等、同法96条では寄宿舎の設備及び安全衛生をそれぞれ規定しています。 寄宿舎設備の設置基準は、厚生労働省令の事業附属寄宿舎規程が定められ、寄宿舎の設置場所、男女別収容、寝室等について規定されています。労災保険等による保障措置
技能実習生が実習実施機関での技能などの修得活動で死亡・負傷・疾病に罹患した場合に補償が行われるよう、補償措置を義務付けるとされています。 保険料は、ひとつの労働保険料として徴収されます。 法人・個人事業主は(農林水産事業の一部を除いて)労働者を1人でも雇用すれば労働保険に加入して労働保険料を納付します。技能実習生の帰国に支障を来さないようにするための帰国旅費担保措置(上陸基準省令第16号)もあります。 これは、技術や技能を母国に持ち帰るという技能実習制度の趣旨に沿った措置です。 帰国旅費担保措置は帰国旅費が中心で、実習実施機関が帰国旅費の全額を負担します。 労働保険関係法令に従い労災保険に加入している場合、補償措置がされていると認められます。 民間の任意保険に加入することは、義務ではありません。
帰国旅費担保措置
技能等を海外へ移転する技能実習制度の趣旨があるため、技能実習生の帰国に支障を来さないようにします。 帰国旅費担保措置は、帰国旅費の確保が中心で、実習実施機関が帰国旅費の全額を負担します。 実習実施機関は、万が一事業の縮小や廃止などで技能実習が継続できなくなり技能実習生を帰国せざるを得ない場合など技能実習終了後の帰国に備えて、日本に入国した時点で帰国旅費を確保しておきます。
技能実習生を受け入れる方法
在留資格「技能実習」で受け入れる方法は、企業単独型(技能実習イ)と団体監理型(技能実習ロ)の2つに区分されています。
技能実習イ(企業単独型)
海外の現地法人、合弁企業、海外取引先企業などの職員を日本企業が研修生として受け入れる場合が、企業単独型にあたります。 企業単独型で受け入れる技能実習生は「技能実習1号イ」となります。
技能実習ロ(団体監理型)
団体監理型は、営利目的でない日本の公的な「商工会議所」「商工会」「事業協同組合などの中小企業団体」「公益法人など」が監理団体として技能実習生を受け入れます。受け入れ企業は監理団体に加盟している企業です。 監理団体の指導や監督のもとで、技能実習生を受け入れます。 団体監理型で受け入れる技能実習生は「技能実習1号ロ」となります。
「技能実習1号ロ」の監理団体とは
日本の企業が技能実習生を受け入れたいと考えたとき、団体監理型であることが多いようです。 「技能実習1号ロ」の技能実習生の技能もしくは知識の習得のための活動内容は、監理団体が作成した実習実施計画に沿って、監理団体の責任のもと、監理団体による「技能実習制度の監理」が求められています。
監理団体の要件
団体監理型の技能実習生の受け入れは「営利を目的としない団体」に限定されます。
商工会議所、中小企業団体、農業協同組合などの団体の要件が規定されています。
団体要件省令にない団体は(法務大臣告示の監理団体を除き)技能実習生を受け入れることはできません。
技能実習生を受け入れる監理団体は、要件を条件に法務大臣が告示で個別に定めることができ、公益財団法人や公益社団法人で受け入れできる技能実習生の人数枠が適用されます。
公共団体の資金等の援助及び指導
団体監理型の技能実習生の受入れでは、国や地方公共団体などからの資金等の援助や指導を求めることができます。 監理団体の技能実習は、企業単独型の技能実習生の受入れとは違い、実習実施機関と送出し機関との資本関係や取引関係等の要件はありません。 そのため、国や地方公共団体が適正で有意義な技能実習と認めて支援・協力し、適正な技能実習制度が保たれるよう、効果的な技能実習とするよう指導することになっています。
3か月ごとの定期監査
団体監理型では、実習実施機関の技能等の修得活動は、監理団体の責任、監理のもとに実施されます。 監理団体役員による監査の実施が3か月ごとに1回以上あります。 実習実施機関の不正行為があった場合の地方入国管理局への報告が義務となっています。 監査は、技能実習の運営責任のある監理団体の役員が実習実施機関の技能実習の実施状況について実施し、地方入国管理局の監査報告も責任のある役員で行われる必要があります。
毎月の訪問指導
監理団体の役員や職員の訪問指導が義務となっています。 これは、1か月に1回以上あります。 技能実習計画の技能実習が実施されているか確認し、適正な技能実習の実施を指導します。 訪問指導は、技能実習計画を把握し実習実施機関に適正な指導ができる者が行います。 技能実習計画策定者が実施しなければなりません。 訪問指導を実施したら、指導文書の作成、事業所への備え付け、技能実習終了日から1年以上の保存が義務となっています。
監理団体の「責任」
団体監理型の技能実習は、監理団体の責任で行います。 技能実習制度の目的である、技能実習生の技能等の開発途上国等への技能、技術や知識の修得の移転を図って、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを技能実習で行います。
監理団体の「監理」
監理とは、実習実施機関で技能実習計画に基づいて適正に技能実習が実施されているかどうかについて状況を確認、指導するこということです。 団体監理型技能実習制度は、単独では受け入れられない中小企業などでも技能実習生の受入れで国際貢献ができます。
企業単独型(技能実習イ)を送り出す「外国にある事務所」
在留資格「技能実習1号イ」の企業単独型の技能実習生の送り出し機関の所属機関は、入管法で「本邦の公私の機関の外国にある事業所」、「本邦の公私の機関と法務省令で定める事業上の関係を有する外国の公私の機関の外国にある事業所」と外国機関省令で規定されています。 在留資格「技能実習1号イ」の在留資格該当性を判断する上で、技能実習生の送り出し機関の所属機関と実習実施機関との関係性が必要になります。
技能実習生の本人に関すること
技能実習生本人が派遣機関の所属企業で常勤の職員であること、申請人が日本で転勤または出向で活動することとされています。 派遣機関の所属企業とは「本邦の公私の機関の外国にある事業所」もしくは「本邦の公私の機関と法務省令で定める事業上の関係を有する外国の公私の機関の外国にある事業所」です。 技能実習で技能等の移転を確保するとされています。 帰国後に技能実習の成果が十分にいかせることが、派遣状や復帰予定証明書などによって客観的に認められることが必要になります。 申請人の本国での職業と無関係な職種の技能実習は、帰国後に修得した技能などを要する業務に従事することが予定されているとはならないので、上陸基準適合性は認められません。
本邦の公私の機関の外国にある事業所
入管法で「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所」と規定されています。
外国にある事業所
日本の公私の機関の外国にある支店、現地法人、合弁企業で、在留資格「企業内転勤」として、職員を日本に転勤させることができる「外国の事業所」と同じになります。
本邦の公私の機関と法務省令で定める事業上の関係を有する外国の公私の機関の外国にある事業所
出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の技能実習の項の下欄に規定する事業上の関係を有する外国の公私の機関を定める省令(外国機関省令)で規定され、国際取引の実績などを基準としています。
日本での技能実習を実施するには
取引先商品の品質が向上するなど、実習実施機関に利益をもたらすなどの合理的な理由があることが必要です。 「引き続き1年以上の国際取引の実績」とは、取引金額に基準はなくて、取引の内容と技能実習の内容との関連性や取引を継続的に行っているか、などが審査されます。
まとめ
技能実習生は、発展途上国の経済発展のために現地の外国人を日本に迎え入れ、雇用契約を結んだうえで技術や技能、知識を教えて、習得した技能を母国に持ち帰って活躍してもらうための制度です。
受け入れる企業にとってはグローバル展開の足掛かりとなったり、若くて元気な年代の外国人が技能実習生として仲間入りすることで社内に活気が生まれたり、メリットも多々あります。
日本人特有の「言わなくてもわかる」が外国人には通じないため、すべて言葉で説明する必要があり、なおかつ「やさしい日本語」で伝えることが求められます。
これが、これまで気付かなかった業務改善につながることもあるようです。
いっぽう、2022年から制度そのものに見直しが入り、2023年秋には見直し結果の最終報告がされる予定となっています。
これにより、技能実習生の制度が廃止され、特定技能に統合される可能性もあります。
時代とともに、制度も変化がありますが、外国人の受け入れを検討している企業は、制度の仕組みや背景を知り、正しい知識があることで、制度に変化があっても問題なく対応できるのではないでしょうか。